仏教的_実践すべき8つの行動_八正道_

八つの正しい道と書いて、「八正道 (はっしょうどう) 」と読みます。
この意味として、仏教の最終目標でもある「悟り (涅槃) の境地」に達する為の正しい8つの修行 (行動) の事になります。

仏教には、様々な修行方法があります。
それらに通底する基本的な考え方が、「八正道」なのです。

その修行 (行動) 内容を簡単に書きたいと思います。

① 正見 (しょうけん)
「正しいものの見方、考え方を持つ事」

正しいものの見方とは、偏りないものの見方とも言えます。
自信の固定概念等が入らず、物事をありのままに見る事を意味します。
「物事をありのまま見る」のは、とても難しい事なのです。
人間関係や愛着のある物に対してや憎しみや怒り、そして愛情を持っていると物事をありのままに見る事が難しくなり、それが苦しみを生む原因となります。
その苦しみから解放される為に、この世の真理を知り、物事をありのままに見る眼を養う事が必要なのです。

② 正思惟 (しょうしゆい)
「怒りや憎しみに左右される事なく、正しい思想で判断し、心の行いを正しくする事」

正思惟とは、「偏らない正しい考え方」を持つ事を意味します。
仏教の説く「物事の正しい見方」とは、自己中心的な考え方を捨て、この世の真理に照らし合わせて考える事です。
誰もが幸福に生きていきたいと考えると思います。
その幸福に生きる為に、「自己中心的な考え方」走ってはいけないという事です。
◎貪欲 (どんよく)
  ► 自分が幸せになる為に、自己中心的な考えから生まれる欲望
◎瞋恚 (しんに)
  ► 憎しみ、怒りに任せた考え方
◎愚癡 (ぐち)
  ► 物事の道理に無知である事
具体的には、このような「自己中心的な偏った考え」を捨てるという事です。

③ 正語 (しょうご)
「噓や悪口を言わず、正しい言葉を使う事」

正語とは、「正見に基づき、正しい言葉」を使う事を意味します。
◎妄語 (もうご)
  ► 相手を騙す為や自分を偽る為の嘘
◎両舌 (りょうぜつ)
  ► 自分本位の二枚舌
◎悪口 (あっこう)
  ► 相手を悪く言い傷つけるような言葉
◎綺語 (きご)
  ► 出まかせ、事実とは違い言葉で飾り立てる事
嘘や悪口、陰口で相手を傷つける言葉は論外ですが、正しい事を伝えるだけでは相手を傷つける事もあります。
相手の心を慮り、場合に即して「正しい伝え方」をする事も正語の大事なポイントです。

④ 正業 (しょうごう)
「殺生や盗み等をせず、正しく生きる事」

「正業」とは、正しい行為をする事です。
仏教では、「心、口、身体」全ての行いを「業」と言います。
ここでは「身体の行い」を指します。
◎殺生 (せっしょう)
  ► 生き物を殺す事
◎偸盗 (ちゅうとう)
  ► 他人の物を盗む事
◎邪淫 (じゃいん)
  ► 邪な男女関係を持つ事
このような悪い事をしないという教えです。

⑤ 正命 (しょうみょう)
「正しく生きる手段 (職業) を用いて、正しい生き方をする事」

「正命」とは、正しい生活を送る事を意味します。
規則正しい生活を心掛け、殺生等に基づく、道徳に反する職業や仕事をせず、正当な生業を持って生活を営む事なのです。

⑥ 正精進 (しょうしょうじん)
「善い事に向かって、正しい努力をする事」

「正精進」とは、正しい道に向かって正しい努力する事です。
精進と言うと、肉や魚を食べない事だと思われますが、そうではありません。
「努力」の事を指します。
「正精進」には、最初に「正」とある様に、努力は努力でも間違った努力では、「正精進」にはなりません。
「悪い行いは改め、良い行いをする」即ち、正しい努力をする事なのです。

⑦ 正念 (しょうねん)
「正しい意識、思いを持つ事」

「正念」とは、「瞬間瞬間の自分に気付く、正しい気付き」の事です。
正念の意味は、辞書等に「物事をあるがままに心に留め、真理を求める心を忘れないこと」や「正しく念想する事」等と書かれている事が多いかと思います。
しかし、正しい意味「自分の好き嫌いや判断を入れずに、物事を見る」という事なのです。
お釈迦様が「ただ、観よ」と仰った言葉通りなのです。

⑧ 正定 (しょうじょう)
「正しい心を保つ事」

「正定」とは、正見や正念という正しいものの見方、正しい信念を胸に、正しい座禅を行う事を言います。
少し話は逸れますが、最近では「マインドフルネス」という言葉がアメリカ西海岸で流行した事をきっかけに、様々な座禅法や瞑想法が身近な存在になりつつあります。
「座禅・瞑想」は、一般の人で行う習慣を持つ人はあまりいないと思います。
しかし、「座禅・瞑想」を行う事で、「メンタルを強くする」「相手への共感能力が高まる」「集中力を高める事が出来る」
この様な効果がハーバード大学等の名立たる大学の研究によって観察されています。
ちなみに、正定においての「正しい瞑想の方法」というのは上座部仏教では「ヴィパッサナー瞑想」と言う方法とされます。
この「ヴィパッサナー瞑想」は、上記出見たような有名な大学での研究でも効果が最も高いと立証されています。

これらの「8つの正しい行動」を行う事が、苦しみから開放される為の修行となります。
また、偏りがない正しさを「中道」と言います。
仏教では、この思想をとても大事にしており、一方に偏ってもう一方を疎かにする事なく、決して両極端のものに執着する事なく、自分自身の安らかな心で迷いなく正しく生きる事の大切さを伝えています。
「八正道」は、苦しい修行でも楽な修行でもありません。
「中道」の実践的な修行の道でもあるのです。

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