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なぜ、米ドルの為替予約レートは円高になるのか?世界一分かりやすく解説します

全国5万人の若手銀行員の皆さん、こんにちは!

なぜ、米ドルの為替予約レートは円高になるのか?

銀行員なら一度は持つ疑問だと思います。
上司や先輩に聞いてもよく分からないと思った方々に向けて、世界一分かりやすく解説したいと思います。
もちろん、銀行員でなくても、外国為替の世界に興味があれば、ぜひ、読んでみてください

お断り
分かりやすさを追求するため、プロから言わせると、「違う!」というところも混じっています。ご容赦ください

そもそも、為替予約とは何か?

みなさん、説明できますか?

簡単に言うと、
将来、外国通貨を売買するために、あらかじめ価格を決めておくこと です

なぜ、為替予約レートは円高になるのか?

さて、ここからが本題です。

この為替予約レートですが、米ドルの場合、ほぼ必ずと言っていいほど、現在のレート(直物為替レート)より円高になります。
なぜ、円高になるのでしょうか?

はじめに結論

米国の金利が日本の金利より高く、運用差益の分だけ、円高になるのです。
これだけだと何を言っているのか分かりませんね。
具体的な例で考えてみましょう。


一定の前提を置きましょう。

実際とは異なりますが、分かりやすく考えるための前提と思ってください。

<前提>
現在のドル/円レート:130円(現在のレートを直物為替ともいいます)
米ドルの1年もの金利:5.2%
日本円の1年もの金利:1.2%

この時、1年後のドル/円の為替予約レートはいくらになるか?

為替トレーダーの行動を考える

銀行が、お客さんから「1年後に10,000ドルを買いたい」という為替予約のオーダーを受けたとします。

ここで、為替トレーダーの行動を考えてみます。為替トレーダーとは、銀行で外国為替のレートや売買を専門に行っている人たちのことです。


為替トレーダーは、1年後にお客さんに10,000ドルを渡す必要があります。

その際、為替トレーダーが損も得もせずに1年後に10,000ドルを渡すためには、1ドルあたりいくらに設定すれば良いか?という問題になります。
(厳密には利益をいくらか載せますが、ここでは無視します)

1年後に10,000ドルをお客さんに渡す必要があるので、まず、現時点でドルを買っておく必要があります。

米ドルの1年もの金利は5.2%です。
1年後に10,000ドルが必要であれば、現時点で9,500ドル(10000÷1.052)を用意して、このドルを米銀に金利5%で預けておけば良さそうです。

そして、現時点で9,500ドルを用意するためには、1ドル130円ですので、1,235,000円が必要になります。

この日本円を金利1.2%で他の銀行から借りてきます
順番が逆になりましたが、借りてきた日本円でドルを買って米銀に預けるイメージです。

さて、1年後どうなっているでしょうか。

米銀に預けたドルは、元利金で10,000ドルになっています。
他の銀行から借りた円は、元利金で1,250,000円(1,235,000×1.012)の返済が必要になっています。

お客さんに10,000ドルを渡す一方、お客さんから1,250,000円をもらえれば、この取引はチャラ=損も得も発生しない状態になります。

したがって、1ドルあたり125円(1,250,000÷10,000)が為替予約レートになります。

再び、なぜ、為替予約レートは円高になるのか?

当初のお題である、為替予約レートはなぜ円高になるか?です

まとめますと、低金利で円を借りて、高金利でドルを運用するため、その運用差益の分だけ、円高になるということです。
つまり、ドル金利>円金利の状態だから、必ず円高になるということです。

これはアカン!の話

よくある誤解が、「1年後の為替予約レートが円高だから、1年後の直物為替レートは円高になっているはずだ!」というやつです。
これは完全に間違っています。
為替予約レートと、実際に1年後に実現する直物為替レートは全く別物です。
1年後にいくらになっているのかは神しか分かりません。

さいごに

いかがでしたでしょうか。
為替予約がまだ理解できないという方がいらしゃったら、どしどしコメントをください。引き続き、分かりやすく解説できるよう、工夫します。
今後も、デリバティブまわりを中心に、世界一わかりやすい解説を行っていきたいと思います。

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