第九章 再修羅場④
あれから月日が経過して……。
まだ、仕事に行く事もなく家にいるのには慣れずにいる。
そして、一哉の家に引っ越してきて一番驚いた事は……。
あたしの出ているHEARTYの雑誌と、キャバクラの雑誌、それら全てを一哉ってば持っていたのだ。
そんな事があまりにも嬉しくて……。
キャバ雑誌を手に取り、大きなダブルベッドの上へと横になった。
ポンも一緒になって、あたしの横でゴロゴロしている。
はあ。
また、ブリリアントで働きたい。
そこには、真っ白なドレスを着て、満面の笑みを浮かべているあたしの姿があるのだった。
「ポン。これ、あたしだよ?あたしなんだよ?ポンは知ってるか。こうなる前のあたしを。前にも逢った事あるもんね」
ポンは、大きなあくびを一つした。
そして、愛梨や栞、麗子も載っていた。
店の皆で撮った写真。
栞がまだいた頃。
愛梨がまだいた頃。
何だか、とても昔の事のように思えたけれども。
何気なく次のページをめくると……。
マチルダ。
安奈の顔が、デカデカと載っていた。
安奈は、やっぱり可愛い。
一哉だって、安奈と一線を越えた事はあるはずだと思う。
だって、こんなに可愛い子に言い寄られて断る男なんて、この世にいるの?
確かに、性格に問題はあるかもしれないけれども。
でも、一哉と安奈が……だなんて、考えたくもない。
過去だよ、過去!
忘れよう!
過去に嫉妬してどうするのよ!
「ポン……あたしと安奈、どっちが可愛いと思う?」
ポンったら、シッポを振りながら安奈の顔をペロリと舐めた。
むう笑……。
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