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観た映画の感想 #82『エクソシスト 信じる者』

『エクソシスト 信じる者』を観ました。

監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン
脚本:ピーター・サットラー、デヴィッド・ゴードン・グリーン
出演:レスリー・オドム・Jr、リディア・ジュエット、オリヴィア・オニール、ジェニファー・ネトルズ、ノーバート・レオ・バッツ、アン・ダウド、エレン・バースティン、他

ヴィクターは12年前に妻を亡くし、娘のアンジェラを1人で育てている。ある日、アンジェラが親友キャサリンと一緒に森へ出かけたまま行方不明になってしまう。3日後、2人は無事に保護されるがその様子はどこかおかしく、突然暴れたり叫んだりと常軌を逸した行動を繰り返す。ヴィクターは50年前に同じような経験から愛娘を守り抜いた過去を持つクリス・マクニールに助けを求め、悪魔祓いの儀式を始めるが……。
(映画.comより)

https://eiga.com/movie/100008/

9月に『午前十時の映画祭』で一作目の『エクソシスト』を観てからずっと楽しみにしてた本作。しかも今回は我が街にも欲しいと以前からずっと思っていた、待望のドルビーシネマでの鑑賞。

まずは鑑賞形態の感想ですけど、期待以上に良い映画体験ができました。
色のコントラストがパキッとクリアで、特に影、もっと言うと「黒」が本当に真っ黒で。音響も通常のシアター以上にあらゆる方向から鳴ってくるし、ドンッてくる音が本当にドンッてくる。今回みたいなホラーは勿論ですけど、常に色調が暗い映画とか観ると本当にしっくりくるんじゃないでしょうか。いやー『ザ・バットマン』やってる時に欲しかったよこれ本当に……!
今まではIMAXが一番好きな上映方式でしたけど、観る映画によってはこっちのほうが好きまである。でもIMAXはIMAXでとにかくデカい画面で観たい映画(スターウォーズとかインターステラーとか)を観る時に絶対欲しいし、今月はScreenXのシアターもできる。

更に4DXもあって、小規模公開の映画とミニシアター系もサツゲキとシアターキノという、やはり街の中心部にある映画館でカバーできる。今の札幌、映画天国なのでは?

それはさておき映画の話。
映像の新しさとかは現代風にアップデートされつつ、全体的な質感はかなり一作目のエクソシストに寄せてるなーというのが個人的な印象。結構強めのジャンプスケアが多めだったのは現代ホラーの演出としては正しいのかもしれないけど『エクソシスト』としてはどうかなー、というのは少し感じましたけど、それも使いどころはきっちり押さえてたと思います。やっぱりブラムハウスがプロデュースしてるだけあって、ホラーでエンタメするのが上手い。

悪魔祓いが始まるまでが長い」のと「事態が飲み込めないことによる恐怖が続く」のも初代オマージュ強めかと思いました。

前者に関しては、そもそも初代エクソシストにおいて悪魔祓い自体が結構おまけというか、カラス神父が抱える悩みやトラウマが形を変えて現れたものが悪魔であって、悪魔祓いはそういう壁を乗り越えるための儀式って面があったと思っていて。今作ではそれが「奥さんを理不尽な災害で亡くした」「その死に自分の選択が関わっている」っていうヴィクターのトラウマと、それに起因する娘のアンジェラとの「一見すると仲が良いようで、実はあまり上手くいってない親子間のコミュニケーション」という不和。
なので、本家(?)のエクソシストではそれこそ(後でも言及すると思いますけど)『ヴァチカンのエクソシスト』みたいに悪魔とのバトルをアクションエンタテインメント的な盛り上げ要素にする必要もないと思ってるんですね。

ただまあ悪魔祓いチームの中に本職の神父が一人もいないのはさすがにちょっと……と思わなくもなかったけど、そこはもうこれ見よがしにフラグが設置されてるんですよね(笑) 参加できないと言いつつ家の外で待っててくれて、「俺は参加できないけど……」って言い訳しつつも悪魔祓いアイテムを貸してくれる若い神父。こんなのもう誰が観たって「あーーーーーはいはいどうせピンチになったところで悩みを振り切った神父が助けに来てくれる流れになるんでしょ」って考えつくやつじゃん!

後者については、悪魔どうこうよりも周囲の人間が何言ってるのか分からなくて怖い、みたいな描写が続くのがカルト(をテーマにした)ムービーっぽい雰囲気で良かった。アンジェラがなぜ様子がおかしくなっているのかまだ全く見当がつかない段階の時、断りもなしに家に謎の呪術師を呼んで祈祷させてたり、一緒におかしくなってるキャサリンの母親が唐突に「神の恩寵が云々……」みたいな話を始めたり、あんなのヴィクターに取ってみたら悪魔なんかよりよっぽど恐怖ですよ(笑)話が通じない人間が一番怖いんだから。

逆に、いくらなんでもそれはちょっと……思ったのはエレン・バースティンの扱いについて。「正当な続編」として原典との繋がりを持たせるために、オリジナルのキャストを復帰させる、っていうのはリブートものでは定番の手法だし、それこそ監督の前作・ハロウィンの新三部作だってジェイミー・リー・カーティスをもう一度主人公に据えたりしてたわけですけど、今回のそれはいくらなんでもキャラクターの使い捨て具合が酷くないですかね……なんか見覚えあるなと思ってたけど多分これスターウォーズEP7でのハン・ソロの扱いと似てる。やっぱりレジェンダリーなキャストを呼ぶならそれなりの扱いってもんがあると思うんですよ……最後のリンダ・ブレアのサプライズ出演でなんかいい感じに誤魔化された気になっちゃうけど。

賛否分かれてるっぽいラストの展開に関しては、良い悪いよりも前に「今のハリウッドでそういう展開やってもいいんだ……」って思ったというのが正直な感想。
ここからは与太話ですけど、ていうか、あの急造悪魔祓いチームの敗因はあの場にアモルト神父がいなかったことですよ! もう何度「アモルト神父来てくれ! この際ウォーレン夫妻でもいいから!」って思ったことか。
我々は今後この手の映画を観る時、ピンチの場面でドアをぶち破って乱入してくるアモルト神父の存在しない記憶幻覚とずっと戦い続けなければならないんですね……

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