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Twitterには書ききれない文章を書きたくなった時用 主に観た映画とか遊んだゲームの感想なんかを書いてます

最近の記事

映画感想 #135『トラップ』

『トラップ』を観ました。 作品によって当たり外れが激しいことに定評のある(?)シャマラン映画ですが、今回はかなり面白かったと思います。前作が割と観念的な部分が多くて個人的にはあまり乗れなかったっていうのもあって、今作のシンプルな筋立ても楽しかったですし、「やっぱりヒッチコック大好きなんだなーこの人!」っていうどストレートなヒッチコック風スリラーなのも良くて。 ものすごーく古典的なカメラアングルなのにどこか気味が悪くて、左右のパンとか遠景からアップの切り返しで視線誘導する絵

    • 映画感想 #134『最後の乗客』

      『最後の乗客』を観ました。 『侍タイムスリッパー』では主人公の相手役だった冨家ノリマサさんが本作では主演。 本作がどういう映画なのか、何についての話なのかっていうことは作品のオフィシャルHPとか、製作資金調達のためのクラウドファンディングでも説明がされてますし、今は監督や出演者のインタビューなんかも諸々出てるので少し調べたら分かることではあります。 なんですが、まずは何も知らずに観て欲しいタイプの映画なんです、これ。 なのでここでは具体的なことは出来る限り書かないよう

      • 映画感想 #133『2度目のはなればなれ』

        『2度目のはなればなれ』を観ました。 マイケル・ケインの俳優引退作にしてグレンダ・ジャクソンの遺作。 個人的にはとりわけマイケル・ケインの引退作ということで絶対に観たかった一作でした。 それ以外の事前情報は特に入れずに観に行ったんですが、なんとなく老夫婦のハートウォーミングなコメディなのかと予想してたら思いのほか硬派でビターな帰還兵・退役軍人ものでちょっと意表をつかれましたね。 映画が始まってすぐに明らかになることなんでネタバレでもないと思うんですが、バーニーが一人で旅

        • 映画感想 #132『ジョーカー フォリ・ア・ドゥ』

          『ジョーカー フォリ・ア・ドゥ』を観ました。 「あのジョーカーに続編ってどうやるんだ……?」って思って観に行ったら、「なるほどこれは『あの』ジョーカーの続編だ……!」となりました。 そもそも個人的には映画において、ジョーカーほど「内面の掘り下げ」という行為が無意味なキャラクターもいないと思ってます。 (映画において、と限定したのは原作コミックには疎いからです。既に原作にその手のエピソードがあったら申し訳ない、というかありそう……) アーサー・フレックという社会で生きるの超

        映画感想 #135『トラップ』

          観た映画の感想 #131『悪魔と夜ふかし』

          『悪魔と夜ふかし』を観ました。 ホラー映画にとっての「面白さ」って「怖い」ことがまず何よりも優先されがちだしそれは間違ってはいないと思うんですけど、こういう観やすいホラーにこそまずはヒットして欲しいと思ってます。ジャンプスケアも全然なかったですし(グロは後半に少々あり)、あとはCGなんかの特殊効果も良い意味で古めかしくて。 海外のTVショーはほとんど見たことがないんですが、「これ全部台本がある芝居だとしたらとんでもないことしてないか……?」ってくらいTVショーの司会者にし

          観た映画の感想 #131『悪魔と夜ふかし』

          観た映画の感想 #130『花嫁はどこへ?』

          『花嫁はどこへ?』を観ました。 製作はアーミル・カーンのプロダクションで、彼もプロデューサーとして関わっている映画。アーミル・カーン自身は出演していないんですが、作品のテーマといい作中で印象に残るキャラクターの人物像といい「アーミル・カーンの映画だなー!」っていう映画でした。 『きっと、うまくいく』では学歴社会、『PK』では宗教、『ダンガル きっと、つよくなる』ではスポーツ分野における女性の地位、といった感じで、アーミル・カーンの映画は社会問題、とりわけ長い歴史の中で社会

          観た映画の感想 #130『花嫁はどこへ?』

          観た映画の感想 #129『シビル・ウォー アメリカ最後の日』

          『シビル・ウォー アメリカ最後の日』を観ました。 A24って一風変わったホラーが多いじゃないですか。 アリ・アスターはずっとA24と長編作ってるし、タイ・ウェストの『マキシーン』三部作もあるし、それこそアレックス・ガーランド監督も『MEN』とか作ってるし。『エクス・マキナ』も捉えようによってはSFホラーかな? そういう一連のホラー作品と比べても今作は圧倒的に怖いし、それどころかここ数年で観た映画の中でもトップクラスに怖い映画でした。心だけでなく体にもずしんと来る怖さという

          観た映画の感想 #129『シビル・ウォー アメリカ最後の日』

          観た映画の感想 #128『Cloud クラウド』

          『Cloud クラウド』を観ました。 まず、菅田将暉さん×黒沢清監督って今までありそうでなかったなーと思ったんですけど、これが初めてとは思えないくらいしっくり来てた印象です。より正確に言うと今回の役みたいな「温度感のない菅田将暉」と黒沢監督の作風がすごく合ってるというか。 吉井が健康器具を「買い付け」に来る冒頭のシーンでの工場長夫婦とのやり取りで世間一般の感覚とは明らかにズレてる人間だってことが分かる一方、買ってきたものを闇サイトに出品して一つずつ売れていくのを夜通し監視

          観た映画の感想 #128『Cloud クラウド』

          観た映画の感想 #127『憐れみの3章』

          『憐れみの3章』を観ました。 1年に2回もヨルゴス・ランティモスの新作が公開されるという。 その二作のうちのひとつ『哀れなるものたち』がどちらかと言えば割とストレートなエンタメとして観られる映画だとすると今作は怪作。 理解できたかというと正直だいぶ怪しいんですけど、でも「ヨルゴス・ランティモスの映画観たなー!!」っていう満足感は凄かったです。 まずは変なカメラアングル。 人物に寄らない監視映像みたいなアングルとか、第1幕でジェシー・プレモンスがウィレム・デフォーを駐車場で

          観た映画の感想 #127『憐れみの3章』

          観た映画の感想 #126『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』

          『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』を観ました。 ベビわる3作目。 公開日が同じ日だったのもあって犯罪都市とハシゴで観たんですけど、一日で摂取していいアクションの量じゃなかったですね……いやー楽しかったけど疲れた。 それはさておき。 この手のアクション映画ってナンバリングが重なっていくとだんだん尻すぼみになっていったり「こういうこと前にもやってない?」ってなるものも少なくないと思うんですが、本作は3作目にしてまだこんな引き出しがあったのか! ってフレッシュさも沢山あった

          観た映画の感想 #126『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』

          観た映画の感想 #125『犯罪都市 PUNISHMENT』

          『犯罪都市 PUNISHMENT』を観ました。 犯罪都市シリーズ4作目。 僕は本作を観るために前3作を慌てて予習したニワカなのであれこれ語るのもおこがましい感じではあるんですが、今のところシリーズ最高傑作なんじゃないかと思います。いやーめっちゃくちゃ面白かった。 駆け足で完走したなりに感じるこのシリーズの魅力というものがあって、まず一つ目は言わずもがな主演のマ・ドンソクの強烈なキャラクター性。で、もう一つが意外と大事だと思ってて、それは主人公のマ・ソクト刑事が所属する捜査

          観た映画の感想 #125『犯罪都市 PUNISHMENT』

          観た映画の感想 #124『ヒットマン』

          『ヒットマン』を観ました。 飛ぶ鳥を落とす勢いのグレン・パウエルの新作。 今回は脚本も共同執筆してますけど、演じる以外の映画製作のプロセスにもガッチリと関わるようになるってなるともう本当に未来のトム・クルーズみたいな大スターになっちゃうかもしれないなあ。現状やってないのは死ぬスレスレのアクションシーンくらいじゃないかな で、映画の中身なんですけど、思ってたのとはちょっと違う映画だったなというのが正直な感想です。 前半から中盤にかけては思ってた通りの映画だったんですよ。

          観た映画の感想 #124『ヒットマン』

          感想『ばくうどの悪夢』

          『ばくうどの悪夢』を読みました。 少し前に短編集を読んだのと、映画『来る』を観返したのをきっかけに澤村伊智にすっかりハマってしまいました。で、文庫版で読み進めてた比嘉姉妹シリーズも残すところ『すみせごの贄』のみというところでまだ文庫化されてないタイトルがあるのを(遅まきながら)知って読んだのが本作。 これがまたホラー小説としても面白いわ他人事とは思えないイヤさもグサグサ刺さるわで非常に印象深い一冊になったので個別に感想を残しておこうと思った次第です。 なお、本作は構造上ネ

          感想『ばくうどの悪夢』

          観た映画の感想 #123『侍タイムスリッパー』

          『侍タイムスリッパー』を観ました。 もとは1館のみで上映の自主映画、それが口コミでの大評判に伴って超絶拡大公開。評判になり始めた時からいつか観たいなーと思ってたんですが、こんなに早く念願叶うとは思いませんでした。最初に盛り上げてくれたファンの皆さん本当にありがとう。 いやーーーーーーーーーーーーーーーーーほんっっっっとうに面白かった。無類の面白さってこういうことを言うんだなって。今年観た映画の中には面白い映画も傑作!っていう映画も勿論いくつもあったけど、観終わって映画館を

          観た映画の感想 #123『侍タイムスリッパー』

          観た映画の感想 #122『エイリアン ロムルス』

          『エイリアン ロムルス』を観ました。 フェデ・アルバレス監督、エイリアンシリーズ好きすぎ!! ノスロトモ号の残骸が浮かぶスペースデブリ帯から「何か」を回収するオープニング、ここからして映像の質感といい美術といい、今の映像でありながら1作目のトーンもたっぷりで1作目への偏愛っぷりが溢れまくってて、おまけにこのシーンの素晴らしいところは船内のモニターに電源が入るまで無音なんですよ。エイリアンへの溢れんばかりの愛を炸裂させつつ、同時に監督の「この映画は自分の一番得意なやつで行く

          観た映画の感想 #122『エイリアン ロムルス』

          観た映画の感想 #121『映画検閲』

          『映画検閲』を観ました。 サッチャー政権下のイギリスで実際に行われていた、ビデオ・ナスティ(過激な暴力や性描写などを理由に低俗な作品とされた映画群)への検閲がテーマの心理スリラー。この時代が舞台の映画だと『エンパイア・オブ・ライト』とかもそうでしたけど、街に充満する生きづらさ、閉塞感が凄い。その空気感を「検閲」という、人が自らの手で自由の幅を狭めていく行為と絡めてパッケージングしているという点がまず上手いポイント。 そして心理サスペンスとかスリラーだと「現実と悪夢の境目が

          観た映画の感想 #121『映画検閲』