観た映画の感想 #126『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』
『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』を観ました。
ベビわる3作目。
公開日が同じ日だったのもあって犯罪都市とハシゴで観たんですけど、一日で摂取していいアクションの量じゃなかったですね……いやー楽しかったけど疲れた。
それはさておき。
この手のアクション映画ってナンバリングが重なっていくとだんだん尻すぼみになっていったり「こういうこと前にもやってない?」ってなるものも少なくないと思うんですが、本作は3作目にしてまだこんな引き出しがあったのか! ってフレッシュさも沢山あったし、少なくともアクション面で言うなら現時点での最高傑作を更新してきたんじゃないかと思います。
特に宮崎県庁内でのアクションシーンですよね。
まひろと冬村かえでが長い廊下を走りながら、どちらか一方が持ってる銃を格闘戦をしつつ奪い合いながら殺しのターゲットを追いかけていく流れ。直線的な動きだけじゃなく、階段を使った立体的な追いかけっこを挟むところまで含めて「こんなアクション見たことない!」ってワンダーに溢れてましたし、ここで伊澤彩織さんとタイマンでやりあって全く引けをとらない池松壮亮さんの身体能力の高さもバッチリ見せてくれる。
今まで池松さんにそこまで本格的なアクションができる人だってイメージもなかったですし、ベビわるのファンとしては前2作での主演2人のアクション能力の高さも見てきてるので「シリーズ最強の敵!」ってキャッチコピーが相応しいキャラクターになるのかなって疑問も正直ないわけではなかったんですよ。ところが蓋を開けてみればアクションも十二分にこなせてるし、あとはやっぱり彼自身が持ってる俳優としての格みたいなものも「絶対的に強い奴」ってイメージに強く寄与してて。
逆に言うとこれだけ動ける俳優なのに『シン・仮面ライダー』での(特にラストバトルの)グッダグダなアクションって本当に何だったんだって思い返してしまったり……庵野監督には申し訳ないんですけども……
「圧倒的に強い殺し屋」ってなるとターミネーターみたいな感情の読めない殺人マシン的なキャラ造形かと思いきや、実際はめちゃくちゃ人間味のある奴だったっていうのもベースの演技力がしっかりしているからこそであって。普通の社会を生きていくのが下手で、結果的に殺し屋業に邁進していくしかなかった青年なんですよね、冬村。それってちさととまひろも同じであって、隣に「その人」がいるちさまひといない冬村が裏表の関係で。
「そうなれた側」のちさまひに対して「そうはなれなかった側」の人間が敵っていうのは前作でもやったパターンですけど、『2ベイビー』の神村兄弟と冬村では全然味わいが違うのもキャラ作りが上手いところ。
池松さんの話ばかりになってしまいましたけど、ちさまひだって勿論今作も最高でしたよ。今作は髙石さんのアクションが特にパワーアップしてましたし、インファイトが多めのまひろに対して銃とナイフで武器使いのちさとっていう戦闘スタイルの違いがなんとなく出来てる印象もあって。
関係性の話でいうと、二人ってやっぱり「バディ」なんですよ。
どっちが欠けても成り立たない関係で、でもそれ以上の温度感とか湿度感がないというか、二人でいること以上に必要なことが何もないというか。だからこそまひろの二十歳祝いに二人で缶ビール飲んでるところとか、仕事終わりの打ち上げで二人だけでショートケーキ食べてるところがめちゃくちゃ良いシーンなの……!
前田敦子さんと大谷主水さんの協会組も良いコンビでしたね。
このシリーズのサブキャラって清掃班とか須佐野さんみたいないつメン以外の人間は死にがちなので、最後まで生き残ってくれて良かった。
あと最後!
エンドロールで宮崎県のローカルチェーンの企業ロゴとかゆるキャラの名前がズラッと並んで固まってるところがあったのがめちゃくちゃ羨ましかったので、今後もちさまひが色々な都道府県に出張する流れにしてずっと続けて欲しい。東京と宮崎は実績解除してるからあと45作はいける!