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【書評】「母性」※心に余裕があるときだけ読んでください

先ほど湊かなえさんの「母性」を読み終えました。

仕事がある平日にも関わらず1日で読了! 
夢中になって読んだのですが、月曜日の夜から暗い気持ちになりました笑

ネタバレを避けるために多くは語りませんが、母親の愛がテーマになっています。

以下あらすじです

女子高生が自宅の中庭で倒れているのが発見された。母親は言葉を詰まらせる。「愛能う限り、大切に育てて来た娘がこんなことになるなんて」。世間は騒ぐ。これは事故か、自殺か。·······遡ること十一年前の台風の日、、彼女たちを包んだ幸福は、突如奪い去られていた。母の手記と娘の回想が交錯し、浮かび上がる真相。これは事故か、それとも──。圧倒的に新しい、「母と娘」を巡る物語。


感想

まだ独り身の男性である僕にとって、「母性」は最もかけ離れている立場だとは思うものの、誰にだって母親はいるので関心を持ちながらページを進めることができた。

こんなにも自分が置かれている状況によって捉え方が変わる小説はそうそうないと思う。女性の方が感情移入して読めるのはもちろんのこと、母親との関係性に後ろめたさや嫌な記憶がある人は、読み進めるのが辛いと思う。
※下手したら読まない方がいいかも


仮に自分に子供が産まれたとして、いつから母親の子から、子の親へと気持ちが切り替わるのだろう。もしかしたら既に子供のいる人がこのブログを読んでくれているかもしれないが、ぜひその方に聞いてみたい。そう思わせられるような本だった。



何より気になるのが、文化によって「母性」に違いはあるのだろうかということ。

本作には姑の存在が絡んでいて話が複雑な方向に進んでいくのだが、これは日本ならではなのかなと思ったりする。他にも、妻は働かずに専業主婦をするもの-夫は働いているのだから家事は一切しなくていい-このような固定観念は変わりつつあるものの、未だに根強く日本の社会にはびこっている気がする。そのような日本特有の家族観にある程度の理解があるからこそ、この話にはフィクションっぽさを全く感じず、感情移入した状態で読み進めることができた。

ぜひ海外の人にも読んでもらって、どう受け止めるのか聞いてみたい。それぐらい大きなテーマに本作は挑んでいるし、「母親」ないしは「親」とは子にとってどういう存在なのか、どういう存在であるべきかを考えさせられる。


小説としての面白さを評価するなら、100点満点をつけたいくらい面白かった。まあ1日で読んでるくらいだからね笑

ほとんど舞台が変わらない中で、読者の興味を惹き続ける構成・文才は見事だし、母と娘のそれぞれの想いや葛藤が見事に描かれている。


最後になりますが、もう一度
ぜひ、湊かなえの「母性」読んでみてください。


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