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#15.マーケティングフレームワーク・フローを効率的に実施する仮説(思考)

今回のテーマは、仮説(思考)についてです。当時ボストンコンサルティンググループの日本代表であった内田和成氏の著書『仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法』からヒントを得ています。

今回このnoteを書くにあたり、再度読み直そうと思って蔵書を探してみたのですが見当たりません。「探す」といっても、6冊の本を残して全部電子化しているので、実際にはファイル検索を行いました。

意図する本は見つかりませんでしたが、「仮説」をキーにすると、面白いぐらいヒットします。

内田氏の本からアイデアをもらったと思っていましたが、実は多くの本からアイデアをもらっていたようです。

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本noteは、ポートフォリオワーカー*になった、外資系IT企業マーケティングマネジャーによる、『初めてマーケティングを学ぶキミに伝える マーケティングフレームワーク活用講座』の連載企画です。

*「ポートフォリオワーカーって何?」は、こちらを参照下さい。自己紹介とともに説明しています。

前回はこちら、最初から読まれる場合はこちらからどうぞ。
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「マーケティングフレームワーク・フローにおける仮説(思考)」

「仮説(思考)」は、マーケティングフレームワーク・フロー(aka 首尾一貫マーケティングフレームワーク)の重要なアプローチ要素でもあります。#10で初出しした全体図の一連のアクティビティをスタートする基本姿勢でもあります。

MKTG戦略

「自分の仮説(思考)をベースに」を赤字表記しているのは、意味があります。

3C→SWOT→STP→4Pを進めていく上で、「SWOT - STP - 4P」は3Cの調査/分析結果を基に、ぐるんぐるん行ったり来たしします。3Cのどこに注目するかで、すべてが変わるからです。

例えば、狙おうとしている顧客特性Aと自社製品の機能Xをペルソナとした場合と、顧客特性Bと機能Yをペルソナにした場合とでは、「SWOT - STP - 4P」が全く異なってしまうことすらあります。

このペルソナ[A-X]、あるいは[B-Y]で行こうというのが仮説(思考)の例です。もっと、わかりやすい言葉でいうと、「顧客A(あるいは顧客特性A)に機能Xをアピールする方向でアピールすれば、この製品売れるんじゃない?」です。

この仮説(思考)を持って、3Cも行うことは勿論のこと、「SWOT - STP - 4P」まで、一貫性ももってマーケティングプランが実行できるか、論理破綻を起こしていないかを検証していきます。図の左側に「検証」と書いているのは、こういうことです。

仮説、別の言葉でいうと、色眼鏡で、あるいは意図したベクトルで、分析/調査、評価を行うことになります。途中、論理破綻を起こすことがあるかもしれません。

「この顧客に、この価格での提供は無理じゃない?」とかですね。

でも、いいんです。この仮説[A-X]がダメだっただけなので。次には仮説[B-Y]で、分析/調査、評価を行えばいいのです。

もしかしたら、仮説[B-Y]は「3C - SWOT - STP」までは、論理破綻を起こすことなく、首尾一貫した方向性でマーケティングを実施できる可能性があるかもしれません。

しかし、4Pを考えると、コスト的に実現が難しいとなるかもしれません。考えて、考えて、そうなら、仮説[B-Y]は成り立たない仮説なのかもしれませんね。

で、あるなら、仮説[C-Z]あるいは、仮説[B-X]で、「3C - SWOT - STP - 4P」が首尾一貫性を持て、論理破綻を起こしていないか、検証すればいいのです。

そして、「首尾一貫性がある、論理的である」と、自信をもっていえるプランができたら、それが成功確率が高いマーケティングプランとなります。

すべてのスタートは、仮説(思考)というのが、おわかりいただけたと思います。

面倒くさそうですね。

はい、面倒です。でも、知的好奇心を刺激され、とても楽しいです。
苦しくもありますが(苦笑

仮説(思考)の重要性

では、なぜ、このような面倒な仮説(思考)をベースに行うかです。
仮説(思考)をセットせずに、3C分析を行い、SWOTで評価し、STPを決定すれば良さそうです。

このアプローチでやってみるとわかるのですが、3C分析をやっていると、漠然とですが、傾向値というか方向性というかが見えきます。もっと直接的な表現でいえば、「見えてきてしまい」ます。

この「見えてきてしまった」傾向値や方向性は、正しくもあり、正しくもありません。

傾向値や方向性としては正しいのだと思います。でも、それがマーケティングプラン的に正しいかは、「見えてきてしまった」レベルではわかりません。それが、使えるか使えないかはわからない、段階なのです。

でも、使える可能性もあるわけです。
検証しないのは、勿体なくないですか?

そう、仮説(思考)をベースに、マーケティングフレームワーク・フローを行うのは、「見えてきてしまった」方向性が、使えるかの答え合わせを行いながら、「3C - SWOT - STP - 4P」の検討、検証を行うためなのです。

この仮説(思考)がないと、答え合わせができません。

すると、首尾一貫性をどう確認するか、また論理破綻が起きているか、の判断ができないのです。

何度も書いている通り、この首尾一貫性、論理的であることが、マーケティングプラン作成では非常に重要となってきます。

したがって、仮説(思考)がないと、このチェックができないため、そもそもプラン策定すらできないのです。

仮説(思考)のやり方

では、どうやって仮説(思考)をひねり出せばいいのでしょうか?
実はとても簡単です。

上に書いたように、3C分析中に、「見えてしまう」こともあります。

それ以外には、製品やサービスを売り出す際に、「どうやって売ろうかな」と漠然と考えると思うのです。その際には、

「これで、いけるんじゃない?」

とヒラめくこともあると思います。それでいいんです。

そう、「自分のFirst Impressionで感じた方向性」が最初にセットすべき仮説です。

どうせ、ダメならまた違う仮説で検証しないといけないので、ここは気軽にセットしてしまえばいいです。

「見えてしまった方向性」「感じた方向性」が、「仮説のもと」です。そのため、この仮説には、次の特徴があります。

✔経験がものをいう
✔自分の得意技

考えや経験のベクトルを受けやすい特徴があります。過去の成功体験にも引きづられやすく、「同じ型」で仮説を思考してしまう傾向があります。

これは、いい悪いではなく、こうゆう特徴があるというだけのことです。

ベテランや経験者は、過去の成功体験に基づく、自分の得意の型でプランを作成しようとします。過去に成功しているので、可能性は一番高いですからね。

一連の検証で、今回もそれで首尾一貫性を保て、論理的であるなら、それで行けばいいです。再検証する時間ももったいないです。

一方、新人さんや経験が浅い人が仮説を立てたら、どうでしょう?
もしかしたら、「何も見えない」かもしれません。「何も感じない」かもしれません。
それは仕方のないことです。

だって経験ない人がベテランを同じ知識や引き出しをもっている筈はないですからね。

ベテランや経験者は、成功体験とともに、それを実現される基礎となる知識習得や経験を積んでます。時間をかけて、痛い目にあいながらも習得したものです。引き出しの量が違います。また、実際に手を動かした、あるいは頭の中で実施した検証の数も違います。

自分の「3C - SWOT - STP - 4P」の型、方程式をもってしまっています。

では、新人さんや経験が浅い人はどうすればいいか?
当たり前のことしか書けません。他に方法があるかもしれませんが、思いつくまま書きます。

<新人、経験が浅い人が仮説思考を持つには>
✔ベテラン、経験者に教えてもらう
✔多くの本から勉強する(真似る)
✔ローデータを細かく調べる
✔やみくもに仮説を無理やり立てててみる

先に挙げたものほど有効性が高いのはおわかりになると思います。

「ローデータを細かく調べる」だけ簡単に説明します。自分の経験則でもあるのですが、確認できるローデータ、例えば売上データや賃貸募集データを手を使って一件一件調べ上げていくと、傾向値が見えてきます。

「あれ、XXがやたらと多くない?」といった感じです。

そこで、今まで手入力した、あるいは確認したデータをもう一度あたってみると、やはり、「XXが多そうです」。次から調べるデータも「XX」を意識してみてみると、やはり「YY」より、多く傾向があるようです。

はい、できました。「XXが多い」という仮説が立てられましたね。こんな感じで、多くのローデータを分析するために直接いじっていると、なんとなくですが傾向値が見えてくるものです。

この傾向値が見えてくるは、あくまでも、ボクだけに当てはまる経験則なのかもしれませんが。

雑感

本の紹介まで行きたかったのですが、またタイムオーバーです。
これからテレワークを開始します。

明日は、コンサルティングファーム出身者の著者の「仮説(思考)」を見てみたいと思います。ボクと違うこと言ってないか、少々ドキドキです!

以下では、この連載を書いている背景を説明しています。



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