見出し画像

#20. 一般的な3C分析は帰納的分析アプローチではない、その理由はXXだから!

本noteは、大変めんどくさい内容です。論理展開だらけで、頭の体操になるはずです。

 3C-Competitor/Company分析を同時におこなう理由

3CのCustomer分析が終わった段階で、想定ペルソナおよびカスタマイズド・バリューチェン(CVC)が出来あがっています。順番的には、Customer分析を先に行いますが、この作業中にも、自社(Company)のこと、競合(Competitor)のことが、頭の片隅にちらついていたはずです。「自社製品/サービスを販売する」ために、3C分析を行っているので当然です。

そもそも、CVCへの落とし込みをする際には、自社や他社の製品マニュアルをみながら、想定ニーズを拾い上げているので、自社や競合を意識しないわけには行かないはずです。

そう、ボクのやり方、「マーケティング・フレームワーク・フロー(MFF)」では、全てのフレームワークが有機的に結びついており、切り離して考えるほうが不自然だったりします。

なので、Competitor分析もCompany分析も一緒に行ってしまいます。そちらの方が、精度の高い分析ができるからです。その理由を説明したいと思います。

ーーー
本noteは、ポートフォリオワーカー*になった、外資系IT企業マーケティングマネジャーによる、『初めてマーケティングを学ぶキミに伝える マーケティングフレームワーク活用講座』の連載企画です。

*「ポートフォリオワーカーって何?」は、こちらを参照下さい。自己紹介とともに説明しています。

前回はこちら、最初から読まれる場合はこちらからどうぞ。
ーーー

一般的なCompetitor分析方法、Company分析方法

ボクにとっては、不思議なことですが、「Competitor分析とCompany分析を同時に行う」と書かれて本に出会ったことはありません。

多くの本で「Customer→Competitor→Companyの順で分析を行う」「Company分析は、CustomerやCompetitorで検討した結果を自社の内部分析とともに行う」と書かれています。

手順だけの違いなので、順番に実施するのでも、同時に実施するのでも、結果に違いはでないのとさえ思えてきます。

しかし、ボクは全然違うと考えます。その理由を説明していきたいと思います。

3C分析は、「経営戦略上の課題を導く (Wikipedia)」ために、Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)を分析します。

そして、実際に、次のことを行います。

3C分析のやり方
各Cにおいて、次の項目を中心に分析を行う。
Customer:顧客
市場規模、成長性、顧客ニーズ、消費行動・購買行動、PEST(政治、経済、社会、技術)

Competitor:競合
競合のシェア、特徴、強みと弱み(営業人数、生産能力)

Company:自社
理念やビジョン、現有リソース、資本力

ですよね? 

なんでもWikipediaが正しい訳ではありませんが、一般的にはこういうものだ、という指標にはなると思います。教科書的内容として、ボクも#11で取り上げました。図で表すと、こんな感じですね。赤い部分が、自社が競合優位性を確立しやすい領域であり、目指すべき方向といった感じですね。

画像1

これを見て、疑問に思うことありませんか?
トンチや脳トレではありません。

3C”分析”とは

ボクもずっーと、何も疑問に思わず、昔は3C分析をこのように行っていました。

でも、分析って、「物事をいくつかの要素に分け、その要素・成分・構成などを細かい点まではっきりさせること。(Oxford Languages)」です。

そして、具体的なやり方としては、

分析については、マトリックス表を作成したり、要素の分類を行ったりするなどの作業が行われる。また、分析した事柄に対して証明を行うためには、演繹法と帰納法による証明が行われる。(Wikipedia)

こんなアプローチが一般的だと思います。

3C分析と照らし合わせてみて、「あれ?」と思うことありませんか?

Wikipediaによると、「分析とは、マトリックス表を作成したり、演繹法や帰納法を用いて行う」とのこと。

もう一度、囲みの3C分析のやり方、見て下さい。
これで帰納法使えますか?

帰納とは、個別的・特殊的な事例から一般的・普遍的な規則・法則を見出そうとする論理的推論の方法のこと。(Wikipedia)

そうです、帰納法は、”似たような”個別的・特殊的な事柄の”比較”から、普遍的な法則を見出そうとするアプローチです。

この分析の定義と照らし合わせてみて、一般的な3C分析の方法(順番に実施)は、正しいアプローチといえるでしょうか?

一般的な3Cの分析のやり方は、調査対象がバラバラ過ぎるし、分断しすぎているように感じます。

特に教科書的と書いた、Wikipediaのまとめのように、個別個別に調査していく方法では、帰納的分析は行なえません。いくら、Customer→Competitor→Companyと先にやった結果を使って”分析”したとしても、後で実施するC(Customerの後で実施するCompetitor、Competitorの後で実施するCompany)の分析で新たに出てきた要素を、前のCで検討しないのも気に入りません。図で表すとこんな感じです。

画像2

CustomerとCompetitor/Companyは、買い手と売り手と、明らかにポジションが違うので、同じ内容で検討する必要はないかもしれません。しかし、CompetitorとCompanyは、同じ売り手というポジションであり、Customer獲得のために競い合っている関係です。その両者を同じ物差しで比較検討しないのは、科学的ではありません。

また、Customerはポジションが違うと書きましたが、販売対象のモノ/サービスに対しては、CustomerもCompetitor/Companyも、ある程度は共通の物差しで、モノ/サービスを見て、判断しているはずです。

そこで、ボクのやり方では、Customer分析においても、マーケットに存在する製品/サービスとしてCompetior/Companyが提供している機能やサービス内容を予め把握し、それをベースにペルソナのニーズを推測するアプローチをとります。

同様に、競合ひしめく市場で、競合と自社は、顧客に同時に比較される存在であるため、同じ判断基準で、同時に違い(強いか弱いか)を判断するのがいいと考えます。CompetitorとCompanyは同一基準がないと、優劣の判断はできないはずだからです。

CompetitorとCompanyを同じ基準、物差しで分析してみるとわかるとおもうのですが、ほとんどの項目において同じぐらいの評価となると思います。優劣がつけられない状態になるはずです。差は本当に少ししかないはずです。それが、成熟したマーケットでの特徴だからです。

より正確に表現すると、プロダクトライフサイクルが”成長期後期””成熟期”に入っているカテゴリの製品/サービスでは、差はほとんど無いはずなのです。両製品/サービスともに、市場において、販売数の大小はあれ、売れ続けているのは、ある顧客層には受け入れられ、競合環境で勝ち抜いているからです。

そういう状況を理解し、製品/サービスを競合から差別化し、競業優位を確立する必要があります。そのために、3C分析を行います。図で表すと、こんな感じです。


画像3

*XXは、機能やサービスなどが入る

極論すると、3Cは「自社が競合より強いXX(赤字部分)」を探す分析作業と言えます。

暗黙の判断基準

3Cのやり方に出ている、Competitorの「強みと弱み(営業人数、生産能力)」は、どういった判断基準において、”強いのか弱いのか”を客観的に判断するのでしょうか。

営業人数比較

A社は30名
B社は100名
C社は10名
自社は20名

だからB社は強い

と、考えるのが普通です。業界比較、あるいは自社との比較をして、初めて、帰納的に、「強い(多い)」「弱い(弱い)」の判断ができるはずです。

ところで、業界比較だけ、自社を比較対象に入れずに、A社、B社、C社だけで、競合分析をすることはあるでしょうか?

おそらく、ありません。営業人数という客観的事実(数字)は把握できますが、B社が強いことを理解して、それで調査(分析)を終了するのは、娯楽の調査や調査会社だけです。

娯楽においては、A社をAチームに置き換えるとわかると思います。「Aチーム~Cチームを比較すると、やっぱりBチーム、強いよね~」といった具合です。

しかし、この場合においても、ひいきにしているCチームと暗に比較を行っているはずです。「Bチーム、強いよね~、Cチームの層をもう少し拡大できたら、Bチームに勝てるのに」などです。

そう、比較分析する際には、大抵の場合は、自社を基準に他社を客観評価しようとしています。

Competitor/Company分析の物差し

はなしが、抽象論に偏りすぎてきたので、話を3Cに戻します。

3Cにおいても、CompetitorとCompanyは同時に分析するのが自然なのは、おわかりいただけたと思います。その際に注意するのが、「判断基準、物差し、つまり、”分析/検討内容”も同じにする」と、いうことでした。

では、なにを”分析/検討内容”にすればいいでしょうか?

すでにCustomer分析で実施したCVCがまさに、CompetitorとCompanyを同時に分析する”分析/検討内容”になっています。機能一覧も、そのまま、Competitor/Company同時分析の物差しとして使用できます。

これにより、Customerが欲すると思われるスペックやサービスはもとより、競合(Competitor)と自社(Company)が、どうバリューチェンを構築しているかがわかります。

例えば、Companyの「理念やビジョン」は、働く社員の行動指針となりえるものです。しかし、それを調べたところで、分析において直接的にヒントを与えるものではありません。

仮にあるとすると、A社の理念が「売って売って売りまくれ」、B社の理念は「顧客のあったらいいねに応える」だったとした場合、それが製品やサービスラインナップにどう反映されているかはチェックはできるかもしれません。

A社は攻撃的な価格で「売り切り」型、B社は全方位的なサービス展開で価格は高めでも特定顧客に受ける「付加価値」型と、理解できるかもしれません。指針や調べる上でのベクトルになるかもしれません。

しかし、実際それが、CVCに反映されているかが重要です。

とはいえ、理念やビジョン」がいくら素晴らしくても、それがただのお飾りという会社が少なくないのが現状ですが(苦笑

雑感

今日のnoteは禅問答みたいになってしまいました(苦笑

通常と違うアプローチをとる場合は、納得感ある理由説明が必要と思ったのですが、その目的は果たせたでしょうか。

頭で思っている因果関係を含む思考を、論理的に文字化、言語化することは、ホントに時間がかかります。書いているそばから、その論理構造が消えています。あるいはおかしくなっています。

ただでさえ、誤字脱字が多いのに、それに輪をかけてぐちゃぐちゃになります。

どうすれば文章をスラスラ書けるようになるのでしょうかね。数十年来のボクのテーマです。。。

次回は、実際の3C Competitor/Company分析のやり方、具体例を説明したいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?