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中古マンション(リゾマン)を契約するぞ! -不動産投資家が確認したポイントを公開

以前、別荘=リゾートマンション(略して「リゾマン」)が買えそうだと、うれしくて、うれしくて、先走りでnoteに書かせていただきました。その物件の契約が今週末に控えています。そこでボクが仲介会社に聞いた確認事項を公開したいと思います。リゾマンに限らず、これからマンションを購入する方、特に中古マンションを購入する方にとって有益となるはずです。

実は、ボクもほとんど知識がなく、マンション一部屋の投資(マンション区分投資、単純に区分投資ということが多い)をやっている友人に教えてもらいました。何件も何件も区分投資をやっている人*なので、抜けはほとんどないはずです。

*不動産投資にもスタイルがいろいろあり、ボクは「首都圏新築木造投資」カテゴリの投資家になります。実際、他のスタイルの投資手法には詳しくありません。全てのスタイルを行う「雑食系」の方もいらっしゃいます。

この物件を仲介してくれた営業マンに確認事項のメールを送ったところ、「ここまで確認項目を送られた方は初めてでした。調べて回答するために時間がかかってしまいました」とお褒めの言葉(?)を頂きました。

チェック項目がNGの場合、前のめりになっている購入心を自制できる自信はありませんが(汗、リスクを事前に確認しておくことは重要です。

ちなみに購入する物件(マンション区分)は、築50年超の箱根のリゾートマンションになります。「そんな古いマンション買って大丈夫?」という方は、前に書いたこちらのnoteも参照頂くと、理解しやすいと思います。

中古マンション契約時のチェックポイント

不動産売買契約書/重要事項契約書

不動産を購入する場合は、「不動産売買契約書(売契)」と「重要事項契約書(重説)」を締結します。このドラフト版をもらって、内容を確認した後に、追加の質問をするのがマナーです。売契と重説には、もろもろの情報が載っているものなので。

不動産売買契約書は、
✔物件概要(住所や購入する土地、区分の場合はその中での持ち分比率等)
✔支払条件(契約金額、頭金、残金はいくらで、いつ支払うか等)
✔その細かな取引条件(書面通り実施しなかった場合のペナルティ等)
といった契約内容が記されています。

重要事項契約書は、
✔宅地/建物関連事項(電気ガス水道の供給状況、建物構造、警戒区域にあるか、法令に基づく制限、建物状況調査結果、等々)
✔取引条件(代金支払方法、瑕疵担保責任、等々)
✔その他重要な事項
の構成になっています。

この内容をちゃんと読もうと思っても、素人がわかるものではありません。そこで見るポイントをご紹介します。いろいろなサイトに出ているので、それを参考にされる前提で、ボクなりのショートカット方法のご紹介です。読む必要がないと言っているのでない点だけご注意下さい。

不動産売買契約書

これは公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会のサンプルになります。1ページ目に上述した物件概要や取引者氏名などが記載されます。ここはじっくり中身を確認しましょう。

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そして2ページ目がポイントです。これは実際にボクが契約しようとしている物件の売契の2ページ目です。

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何か気づきませんか? 個人情報がネット掲載でも意識される中、実際に契約しようとしている売契をそのまま掲載する、愚かな不動産投資家?

ではなく、これテンプレートそのままなんです。

不動産仲介会社が所属している宅建協会が買い手/売り手/仲介にも配慮して作成された、多くの不動産取引で使用するものなのです。なので、三方よしの内容になってます。そんなに目くじらたてて読み込む必要はないと考えます(あくまでも個人の意見です!)。

第12条 契約不適合に修繕請求
「引渡完了日から3ヶ月以内に通知を受けたものに限り、契約不適合責任を負い」とあり、その内容として1)給排水管の故障、2)シロアリ
が記載

は、認識していた方がいいです。3ヶ月以内の水のトラブルは売主負担で修理してもらえる一方、3ヶ月経ってしまったら、買主負担になります。

重要事項説明書

これはボクが契約する本物の重説です。なので、スミだらけですね。個人情報がもろに記載されています。このページでのポイントは、2つです。

まずは右上の赤丸部分からですが、「一般仲介用・区分所有建物(敷地権)<契. No.7>」と書かれています。そう、つまり、これもテンプレートに沿った内容が記載されています。なので、自分が購入しようと思っている物件の個別部分を中心に読み解けばいいのです。

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左の赤丸は、物件を仲介する「宅地建物取引業者」が、宅地建物取引免許の更新を何回したかを表しています。5年に1回(昔は3年に1回)の免許更新が必要なため、この仲介会社は約25-30年(3年 x 8回、最近は5年に1回なので)ぐらい、仲介業務を行ってきたとわかります。

長く事業を継続されてきたということは、それなりの信頼や実績がある=いい加減な取引を行う会社ではない、ということがわかります。創業したたばかりの企業が悪いと言っている訳ではなく、創業が古い会社は、初めて取引する際、「仲介会社としての安心感」はあるのでは?ということです。

不動産仲介業は大金が動くので、いろいろな詐欺事件などがあります。その被害者にはなりたくないですから、三方良しを長年実施してきた業者に仲介してもらうことで、リクスをミニマイズすることにつながります。

飲用水・電気・ガス

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水は井戸水で、固定で月2000円かかるということですね。神奈川県の水道基本料金は1ヶ月710円の従量課金体系なので、Apple to Appleで比較は難しいですが、まー目くじらを立てる必要はないと判断します。

電気は、東京電力ではなく、別会社で、個別には契約できませんよ、という内容です。これもスルーでいいですね。

ポイントはガスです。都市ガスではなく、集中プロパンです。都市ガスの1m3単価は141円なので、318円は2倍以上の価格です。。。

と、表面だけで高そうですが、プロパンガスと都市ガスの熱量を考える必要があります。プロパンガスは都市ガスと比べて約2倍の熱量があります。すると、Apple to Appleで比較すると、このリゾマンのプロパン単価は159円となり、約13%高いだけになります。そう、かなり安いのです。

さらに、これは仲介会社に確認してわかったのですが、基本料金は不要とのこと。都市ガスの1000円程度と比べても、それほど高くないことがわかります。箱根は、冬はかなり寒いと思うので、それでもガス代がかなりかかってしまうのでしょうね。とはいえ、このマンションのLPガスは、一般的に言われるLPガスと比べるとかなり安いです。

(ちなみに、ボクの所有するアパートのLPガス代は、基本料金1800円、1m3あたり430円です。ガス配管やエアコンをガス会社に支給してもらうので、ちょっと高めです)

専有部分の用途

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ペット飼育ができますね。ここはポイントでした。古いリゾマンだと、結構NGだったりすので、この点がこのリゾマンを契約する理由の一つでもあります。

「用途制限」で、民泊やシェアハウスはNGとなってます。コロナの前までは箱根は外国人観光客だらけだったので、自分が使わない時には貸し出せたらとは思ったのですが、仕方ありません。

ただし、よく読むと「シェアハウス、短期賃貸住宅、グループホーム、休憩・宿泊施設に供すること、規則に違反する用途で使用すること(中略)も禁止されています」とあります。

短期賃貸住宅の定義があえて曖昧になってます。飽きたら、中期賃貸住宅で提供しようと思ってます。

「ひと夏を箱根のリゾートマンションで過ごすのはいかがでしょうか。家具/ネット環境装備、コンドミニアム感覚で使えて、2ヶ月40万円!」

とかw ハワイに家族で行くよりもPricelessの思い出になると思います!

計画修繕積立金

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ここがマンション区分を購入しても大丈夫と思うポイント箇所になります。売主に修繕費の滞納はなく、約100世帯で、8000万円の修繕積立金が溜まってます。それも最近、大規模修繕をしたばかりで。資金面においても、しっかりとした長期修繕計画を立てているのがわかります。

ちなみに、大規模修繕費用ですが、ネットで調べてみると、1世帯あたり75-125万円前後が普通とのこと。何年後に再度大規模修繕を行うかわかりませんが、最近実施したことを考慮し、10年後としても、修繕積立金は軽く1億円は超えていそうです。大規模修繕時の一時金支払いや値上げもなさそうです。

さらに、滞納金が60万円程度しかないこと。100世帯でと考えると、これまた優秀です。

管理費

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管理費についても、売主の滞納はありません。また、マンション全体としての滞納も110万円と、100世帯規模のマンションで考えると、いい方だと思います。

以上が、売契、重説での重要確認ポイントでした。最低限、ここは抑えましょうね、という内容です。

不動産投資家の確認ポイント

ここからが不動産投資家の確認ポイントになります。まーボクは教えてもらったので、偉そうに書けませんが(苦笑。共有させていただきます。ボクが仲介会社に送って質問内容のポイントです。

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第12条 1)給排水管の故障
・現在、認識されている事項はないとの認識でよいか

飲用水・電気・ガス
・電気代は普通の料金と考えていいか
・ガス代のりゅーべ単価318円はとてもお安い、基本料金が高いのか?

「用途制限」の続き
・「規約に反する用途で使用することを禁止」とありますが、短期賃貸はNGで、中期賃貸はOKか?

修繕積立金/管理費
・大規模修繕積立金および管理費滞納額は優秀だと思うが、滞納取り立てに関する管理組合の対応は?
・前回の大規模修繕時期及び金額
・次回の大規模修繕計画時期
・管理規約
・長期修繕計画書
・管理組合の総会議事録(過去3回分)

関連施設関連
・関連施設の部屋数割合は?
・関連施設と区分所有者で、修繕積立金/管理費負担の違いはあるか?

流動性
・かなり流動性がいいと思うが、その理由は?

管理会社のXX株式会社は問題なさそうです。

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排水管、電気・ガス、用途制限については、仲介からの回答も踏まえ、売契と重説部分で説明させてもらいました。残り部分の質問意図について解説します。

修繕積立金/管理費
今後の維持管理に想定外のコストが発生しないかを事前確認する大切な事柄です。重説に書かれている以上の内容を確認する必要があります。

「滞納取り立て方針」
ずるずると滞納が進まないための方策を、管理組合がどうとっているかの判断をするための質問です。その対応がいい加減だと、滞納が進み、区分所有者となるボクに降り掛かってきます。

回答は、売主の滞納ありで競売で販売されたので、滞納は解消されるとのことでした。かなり強力な管理組合です!頼もしい!

「前回の大規模修繕時期及び金額」「次回の大規模修繕計画時期」
現在の積立修繕金がセキュアかどうかを見極める質問です。一般的にはすでに書いたように、75-125万円のようですが、当該物件にそれが該当するかを判断する必要があります。

回答は、次回の大規模修繕計画は未公開とのことでした。前回実施した時期から想定するしかありませんが、上に書いたようにあと10年以上先だと予想します。でも、予想ではダメですよね? 

なので、「管理規約」「長期修繕計画書」「管理組合の総会議事録(過去3回分)」を見せてほしいと要求しました。

「管理規約」「長期修繕計画書」「管理組合の総会議事録(過去3回分)」
「長期修繕計画書」は、所有者にしか開示されないものなので、ボクが現段階で見ることは不可でした。ただし、「管理規約」「管理組合の総会議事録(過去3回分)」は、買主が用意し、契約時に開示してもらえることになりました。

総会議事録を3回分見れば、修繕の方向性や金額、現在の問題点/改善実施策等、当該マンションで起きていることが大体は見えてくると思われます。この3点セットは提示を要求しましょう。

関連施設関連の質問
このマンションには、関連施設があり、スペースを共有しています。いいことにその運営会社は公開企業で直近の決算書を見ることができました。コロナ禍の影響もあり、債務超過に陥っており、その施設運営を放棄せざるを得ない状況になる可能性もあります。そのために、そうなった時の影響を把握しようと思いました。

ボクがどうこうできる金額の話ではないのですが、その施設を売却はできそうなので、一時的には影響が出るかもしれませんが、まーなんとかなるでしょう、と判断しました。

管理会社
これは、リゾマンだけの問題かもしれませんが、管理会社の管理と修善時の業者癒着を調べる必要があると、友人にアドバイスをもらいました。

調べてみると、ボクのが契約しようとしているマンションは、マンション管理を得意とする大手の上場会社が行っていることがわかりました。であれば、ずさんな管理や業者癒着も心配することはあまりないだろうと判断し、特に質問はしませんでした。

流動性
流動性がいいのは、ボクがこの物件に目をつけた理由です。友人曰く「良すぎる!」というのです(関連note参照)。一応聞いてみました。

すると、ボクが気に入った点「修繕費/管理費の徴収がセキュア」「ネット対応」「ペット可」「手頃な値段」「手頃な積立修繕費/管理費」「温泉あり」がウケているとのことでした。全部揃うのはあまりないようです。

ちなみに、このマンションの2LDKプランは、6ヶ月経っても売れないようです。広すぎるのと、「手頃な値段」「手頃な積立修繕費/管理費」が満たされないから、とのことでした。あと、部屋の修繕箇所が多すぎると、引かれるとのことでした。

さらに、1階と2階は、湿気があり、安くても、すぐには決まらないとのことでした。予定していた予算より高くなりましたが、リゾマンは流動性を考えて購入するスタンスで問題なさそうです。

保険の考え

築古のマンション区分を購入した場合ですが、損害保険の加入はどうしようか考えていました。自分だけ入っていたところで、建物が崩壊してしまったら、保険金がでてきたところで慰めにしかなりません。

ところが、古い物件については、上述したような給排水管が破損するトラブルがあるかもしれません。もし自分の部屋でそれが発生し、階下の部屋を水浸しにしてしまったら、その被害額は甚大なものになることでしょう。

そんな事態になった時に役立つ保険があります。
「施設賠償責任保険」というものです。

施設の所有者・占有者が負担する恐れのある賠償リスクや、業務遂行中の事故に起因して負担する恐れのある賠償リスク、つまり「施設(Facility)」に関するリスクをカバーする賠償責任保険である。Wikipedia

つまり、ボクの部屋の給排水管が経年劣化で破損してしまい、下の部屋を水浸しにし、家電製品から洋服、家具までの台無しにしてしまった、賠償金額は300万円だ!と、いわれた際に、保険金支払いをしてくれる保険です。

掛け金もそれほど高くなく、一部屋で見積もったことがないので不明ですが、アパート9室とかでも数万円/年なので、1万円/年もかからないのでは?と予想します。

築古の区分を所有する場合は、契約した方がよさそうです。

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最後まで読んでくださった方にチラ見です。部屋からの借景。

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