社会での椅子取りゲーム.
会社の慕っていた、先輩が転職をした。
その先輩の穴を埋めるような人材が社内にいなかったことや、その人のスキルや経験値に依存している仕事がいくつもあったので、僕はとても不安な気持ちになった。
実際に社内では先輩が退社した後の業務のことについて不安を口にする人も多くいた。
そして先輩がいなくなってから、数ヶ月。
会社は特に悪い方に動くことはなく、安定的に成長している。
辞めるということが発覚したのが数ヶ月前だったので、会社も新しい人材をすぐには用意することが難しかった。
ただ紆余曲折ありつつも、辞めた先輩の枠には新しい人材が入り、その先輩の穴はあっという間に埋まった。
そして今、会社でその先輩のことを話す人はもう誰もいない。
何かイレギュラーなことがあっても組織が大きく崩れることなく、バランスを保っているのは本当にすごいことだなと思う。
僕はその状況にとても驚いたが、よく考えるとこのような事象はあちこちで発生しているように思う。
お笑い芸人でもこの人は替えがきかないと思うような大物でも代わりの代打が埋めてくれることがある。
サッカー選手でも、日本を代表するようなトッププレイヤーがケガをしたり、女性問題のスキャンダルで試合に出れなくなったとしても、代わりになる若手のスターが現れたりする。
身近な例でいうと、仲睦まじい姿を見せていたカップルが別れて、数ヶ月経ったら別のパートナーを見つけて、結果的に幸福になっていくパターン幾度となく見てきた。
一時的にそれが穴のように見えたとしても、結果的に均衡を保っているという現象があり、社会はくるくるとうまい具合に循環しているんだなと感じる。
きっとどんな人間もある程度代替人間みたいなものがいて、自分の代わりになる人はたくさんいるんだろうと思ったりする。
ただそこに絶望感みたいなものをあまりなくて、むしろ前向きに捉えている。
僕もいつか誰かが空けた、いや空けてくれた席に座る日がくるのかと思うとなんだか待ち遠しいと思える。
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