見出し画像

秘境駅〜最北の木造駅舎をもつ「抜海駅」

 道北の旅を終えて、宗谷岬から札幌の自宅へ向かおうとカーナビで「自宅」をセットすると、約6時間ほどかかる。出発時の時刻は13時位だったろうか。19時には自宅に着くと思い走り出した国道40号線。途中、稚内のしまむらで、買い物をして出発する前、ひと呼吸ついた駐車場で思い立った。せっかくここまで来たんだから、秘境駅が多いという宗谷本線の駅に「寄り道」してみようと。宗谷本線での秘境駅でGoogle検索して出てきた、4つの候補駅「北比布駅」「北星駅」「安牛駅」「抜海駅」。

 豊富あたりからバイパスに乗るのと、そこから天塩に抜けて、海を見ながらドライブあわよくば、きれいな夕日をみたいな、と欲張ると、行けそうなのは「抜海駅」くらい。まぁ、それでもいいやと、カーナビの寄り道ポイントに「抜海駅」とセットしてゆっくりと車を出した。

40号線を南へ進み、ちょっと右折して、すぐに着くだろうとたかを括って走ること20分以上。もはや寄り道じゃなく、かなりのドライブだなと思い到着。地図を見返すと、もうほぼ、日本海沿岸だった。

51分は宗谷岬からの時間
かなりのドライブ

 牛さんに見守られ、風力発電の工事現場を抜けて、たどり着いた。
「抜海駅」 ”ばっかいえき”と呼ぶその駅は、秘境駅と呼ばれるにふさわしい、木造駅舎の趣のある駅だった。

途中、牛さんにお前本気で行くのかい?と言われ(笑)


着いた秘境駅
ばっかい と呼びます
カビ臭い駅舎の中
一日の利用者は平均2名くらいだそう

 Wikipediaで調べると、この駅は、日本最北にある木造駅舎の駅とのこと。「南極物語」などの映画の舞台になったこともあるようだ。

 そして、この駅は、廃止か存続かを稚内市とJR、そして地元住民で協議中で揉めていること。2022年7月20日の北海道新聞の記事にその様子が報じられている(この文章も、この記事をきっかけに書いている)。

 北海道のローカル鉄道には、昨今のJR北海道の経営危機も相まって、かならず、利用者の少ない駅や路線は廃止が打ち出され、地元住民は鉄道がなくなると町が衰退するという危機意識があり、猛反対。こういったニュースが後をたたない。
地元民ではなく、サッポロという都会に住んでいる僕には、どちらが正しいかなんて判断はできない。ましてや鉄道網が張り巡らされている東京に住んでいる人には想像つかない問題だろう。

 ただ、損得勘定だけで行けば1日に1−2人しか利用しない駅に、年間、百万円もコストを掛けて維持するのは、経営的にはありえないという気持ちもわかるし、だからといって、鉄路がなくなると、地域が衰退していくと反対する住民の気持ちもわからなくはない。難しい問題。

 個人的には、子供の頃鉄道ファンだったこともあり、北海道からどんどん鉄道がなくなっていくのは非常に寂しい。単なる感情論なので、一つも役には立たないが。
インターネットの反対署名活動みたいなのもやっているみたいだが、百万円の維持費+付加価値もセットにした画期的なアイデアも必要そうで、どうなるか注目だ。

 実は僕がこの駅にたどり着いたのは、平日の昼間で、当然のことながら?僕しかいなかったんだけど、その後続々と本州ナンバーの車がやってきて(3組くらい来てた)、この秘境駅に興味がある人が結構いるんだと感心させられた。

 軽い気持ちで寄り道した、北の秘境駅、立ち寄ったきっかけで、北海道の抱える深刻な問題に触れてしまった。しかし、そこから逃げ出すのではなく、今後、なにかの行動に繋げなければならないと思った出来事だった。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事が参加している募集

旅のフォトアルバム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?