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『サンデー毎日』 表紙デザイン考察 〈後編〉

いよいよ完結、後編は1980年代から現在までのデザインの変遷を見ていきます。
今回は雑誌タイトル(題字)のデザインの変遷に注目してみてください。

中編
https://note.mu/no4ko4/n/n03c153d876f1
前編
https://note.mu/no4ko4/n/nd8142dfad5bf

サンデー毎日(サンデーまいにち)は、毎日新聞出版発行の週刊誌。1922年(大正11年)に週刊朝日と並んで最も早く創刊され、日本の週刊誌の老舗となっている。発行部数11万部はSPA!に次いで業界第11位※。

※ 発行部数については、年月によって変わるので最新のものはこちら
https://www.j-magazine.or.jp/magdata.html

1983年

昭和53年1月29日発行

モデル:松尾久美子、撮影:吉川秀子、構成:長峰八州男
THE 大衆誌という感じのデザインですね。色がとてもカラフルです。
今の感覚で見ると女性誌っぽいですね。文字の量も色数も多く全体的に賑やかで楽しそうです。

1987年

昭和62年7月19日発行

構成:黒田征太郎、野村高志
表紙タイトル(題字)が岡本太郎の作品のようにうねったカタチになりました。コラージュっぽい「オイルショック」の文字がとてもアーティスティックですね。80年代、糸井重里さんらコピーライターがトレンドだった時代背景が影響しているんですかね。『コピー至上主義』を感じさせる表紙です(すいません、テキトーなこと言ってます)。
言葉のセンス、ロジカルで知的、楽観的、そんなイメージ。

1989年

平成元年7月23日発行

絵:黒田征太郎、AD:野村高志、題字:桑原 徹
『コピー至上主義』は続き、題字が変更されました。マス目に収まり『サンデー』が太く大きく強調されています。前デザインの岡本太郎的な有機的、生物的文字も好きだったんですけどね。・・・違和感もありましたけどね。
「WEEKLY MAGAZINE」がタイトルロゴの一部分として含まれてますけど、グローバル化の一環でしょうかね?でもこの後なくなっちゃうし、ノリですかね?謎です。

コピーの文字の強弱、ベタ塗り部分を作って色面を作るなどレイアウトやタイポグラフィで見栄えを持たせる工夫がなされています。平面構成の課題のようですね。

1994年

平成6年8月7日発行

デザイン:Adfox、モデル:永井美奈子、イメージプロデュース:プレスハウス、題字:PAOS
題字(雑誌タイトル)のデザインがほぼ現状のものになりました。
制作はCI/VIデザインの開拓者PAOS。
毎日新聞社のロゴマーク(MAINICHI)もこの時期には入れられているようです。
※手に入れた雑誌の痛みがひどく、画像が汚くてすみません。。

1998年

平成10年11月22日発行

モデル:田中美里、写真:写真:高橋雅司(※「橋」は異体字)、デザイン:MIND、題字:PAOS
個人的感想ですがデザイン的にブラッシュアップされ熟成された気がします。現行のデザインフォーマット(2018年6月現在)に近いデザインになりました。題字の上の色帯コピー、スッキリした無駄のない(タレントなど有名人)写真、コピーも少ないですね。

1999年

平成11年11月21日発行

モデル:奥菜恵、写真:高橋雅司(※「橋」は異体字)、AD:中城裕志、題字:PAOS
テキストエリアとビジュアルエリアを分割したデザインに。「見出しコピーはいっぱいあったほうがいいんじゃないか」という意見が出たのでしょうか、電車の中吊り広告のようなデザインに。文字が読みやすくなった分、写真がちょっと窮屈そう。

2001年

平成13年6月3日発行

モデル:室伏広治、写真:伊藤シンイチ、AD:Public Design Service
ここで突然変異が起こります。かなりの方向転換。ポップ。
雑誌タイトルや年月日表記が丸みのあるポップな書体になり、コピーもパースがつきカラフルに。室伏さんの硬派さとは対照的にデザインは遊んでます。今見ると「らしくない」感じなんですが、このデザインはあまり続かなかったようで使用期間はおそらく1年前後だったようです。

2005年

平成17年7月24日発行

モデル:広末涼子、写真:三輪憲亮、AD:藤山 進
前デザインの反動か、とてもコンサバなデザインに。雑誌タイトルもクセのない、硬派なゴシック体に変更。対して見出しコピーは明朝体で意味深に見せていますね。

2008年

平成20年10月5日発行

モデル:堀北真希、写真:サト・ノリユキ、AD:藤山 進(たき工房)
題字がPAOS制作版に戻りました。
基本的に背景が白地で人物がいて(いわゆる白ホリで撮影)、コピーがスミ(黒色)で入るフォーマットに。

2013年

平成25年4月21日発行

モデル:広末涼子、写真:細野晋司、AD:鈴木 理(たき工房)
現行のデザインフォーマット(2018年6月現在)。
「サンデー毎日」という雑誌タイトル(題字)の上に帯に乗ったコピーが入っています。コンビニや売店の棚に並べられた時、上部だけ見えることを意識しての工夫だそうです。
色も毎号一色だけをベースにまとめられています。シンプルですがキレイでステキです。

まとめ

1980年代から2018年現代まで40年近くをまとめてみました。また前編・中編・後編と90年弱の表紙デザインをみてきた訳です。
自分で想像していたよりも変化の幅があり興味深いまとめになったと思ったのですがいかがでしょうか。
70年代から90年代くらいは試行錯誤というか前回までのを否定して真逆の軸にしてまた戻ってみたいな感じが楽しかったです。
今回は表紙だけ見てきた訳ですが、掲載された記事が表紙と同じくらい、コンセプトやトーンが変わったのか検証して見たいですね。

取り上げなかった、もしくは見落としているデザイン改訂がありますがどうかご了承ください。

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