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ユングを詠む_(020)『タイプ論』から『タイプの一般的説明(序論)』

ユングを詠む_(020)『タイプ論』から『タイプの一般的説明(序論)』

『タイプ論』https://amzn.asia/d/2t5symt [3]の第10章『タイプの一般的説明』の紹介と感想になる。
 先回も『序論』と表題がなっていて今回も『序論』で紛らわしいが今回は第10章の冒頭の『序論』である。

1.     イントロ

  先回の『序論』では関心の・リビドー(心的エネルギー)運動の・方向によって内向と外向を区別する。関心の方向とリビドー運動の方向が主体(自分)に向いていることがもっぱらになっていると内向。客体(周囲の家族や友人、クライアント、知り合い時には偶像など心的シンボルなど)に向いていることがもっぱらになっていると外向。という説明だった。

これをユングは『一般的な構えのタイプ』と呼んでいる。

 さらに、大雑把に2つのタイプをさらに細分化した『機能タイプ』について触れていく。今回は機能タイプまで書けなかった。機能タイプとは以前に心的機能として紹介した2ペアにされた4つの機能のことだ。

一般的態度;「外向(E; Extraversion)⇔内向(I; Introversion)」
心的機能;「感覚(S; Sensation)⇔直観(N; iNtution)」
     「思考(T; Thinking)⇔感情(F; Feeling)」

2.『構え』とは

 これまで、何も紹介せずに『構え』という言葉を使ってきたが、第11章では3ページも割いて説明がある概念だ。原語で Einstellung 。英語では AttitudeかSettingと訳すのだろう。

私の解釈では、ある刺激が与えられたら、その人特有の心理的反応のことと受け止めている。
 
 例えば、他人から褒められるという刺激があったとしよう。プライドの高い人は褒められても嬉しくないという反応を示すかもしれない。褒められると嬉しくてやる気が出てくる人もあるだろう。

そして褒めてくれる人が尊敬する人なら嬉しいが、目下から褒められると侮辱と受け取って不機嫌になったりとかもありえる。

あらかじ褒められることに対する反応が用意されているというイメージだ。

 具体的な事例がないのでわかりにくいが。『タイプ論』の定義はこうだ。

この概念は比較的新しく心理学で使われるようになったものである。

これを使い始めたのがミュラーとシューマンである。キュルペは構えを特定の興奮や持続的な刺激に対する感覚中枢や運動中枢の即応態勢と定義しているが、これに対してエビングハウスはもっと広い意味にとって、これを不慣れな個々の仕事を慣れ親しんだやり方でしようとする常習現象と理解している。

このエビングハウスの構えの概念にわれわれの用法も基づいている。

われわれは構えを、一定方向に作用ないし反応しようとしる心の準備態勢とみなす。この概念こそは複雑な心的現象を扱う心理学にとって極めて重要である。というのはこの概念はあるときには強く作用するが別の時にはほとんど、あるいはまったく作用しないという独特の心理現象を表しているからである。

構えているとは何らかの特定のもの––––例えこれが無意識のものであっても––––に対して準備ができていることを意味する、というのは構えている状態とは特定のもの––––それが表象されるか否かに関わらず––––へ向かうようア・プリオリに方向付けられている、ということだからである。

私は構えをこうした準備態勢と理解しているが、これは要するに、ある一定の主観的布置・さまざまな心的要素や心的内容の特定の組み合わせ・が存在し、しかもこれによって行動の特定の方向をどちらかにするかが決定されたり、外的刺激が特定の形で受け取られる、という意味である。(以下略)

[3]p455

3.『一般的な構えのタイプ』

話を『一般的な構えのタイプ』に戻す。

 同じ母親から生まれ、外的条件を可能な限り同じにしても、二人の子供が違うタイプに育つ事例をたくさんユングは観察してきたという。

 他の章では、このタイプは極論すると遺伝するとまで言い切っている(ゲノム解析したんかい?)。

タイプは見たところバラバラに分布している。同じ家族でも、ある子供は内向的であり、別の子供は外向的である。こうした事実に照らすと、構えのタイプは明らかに偶然に分布している普遍的な現象であって、意識的な判断や意識的な意図のなせる業であるはずはなく、それ故これはおそらく無意識的本能的な基盤からきたものに違いない。

したがって、タイプの対立は普遍的な心理現象であり、何らかの生物学的な先駆形態を持っているに違いない。

[3]p355

 “無意識的本能的な基盤からきたもの“でないタイプを強制されるとどうなるか言及されている。

 母親の構えが極端でありそれゆえ異常である場合には、その子供たちは、もし異常な外的影響が干渉して擾乱しなかったらおそらくもう一つのタイプを取ることになっていたはずの本来の素質が捻じ曲げられ、{母親と}かなり良く似た構えを取らされることもある。

 このような外的な影響によってタイプが偽造されている場合には、その人は後になって神経症になることが多く、その治療は、彼の自然にあった構えを引き出して育てることによって初めて可能となる。

[3]p357

 確かに、あなたも真逆の『一般的な構えのタイプ』を持っている兄弟、姉妹はよく知っているのではないでしょうか?

 そして、親の都合で、無理矢理構えを変えさせて、神経症とは言わなくても引きこもりや反抗的になったりとかありそうではないだろうか?ただし深い原因についてはまだ我々の知識は及んでいないとしている。

最後にこの章で書かれてる内向と外向の特徴を書いておく。

内向型の人は客体を無視する態度をとる。すなわち彼がいつも配慮しているのは結局のところ客体からリビドーを奪い取ることでありそれは、まるで客体が優位に立つことを防がねばならないかのようである。

閉鎖的で心の内を明かさない、しばしば内気な性格の人々

[3]p354

 “リビドーを奪い取る”とは実際に心的エネルギーが客体から主体に移動することがあるのだろうか?

よく、「元気をもらいました」とか、いう人がいるが実際に気という形でエネルギーを得るような現象があるのか興味がある。気のせいではないと面白い。

外向型の人は客体に対して積極的な態度をとる。彼は客体の意義を高く評価しており、そのため自らの主観的な構えをいつも客体に従って方向づけ、それと関連づける。

要するに彼にとって客体は最高の価値を持っており、このためその重要性が高まらざるを得ないのである。

開けっぴろげで愛想がよく概して陽気であり、少なくとも親切で人好きのする性格の人々がおり、この人は周りの誰とでも上手に付き合い、例え争うことがあってもその人との関係を断ち切ることなく、お互いに影響を与えたり受けたりする。

[3]p355

これ読むとなぁ、私は明らかに外向でないと確信する。

今回はここまで。

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参考文献[2] MBTIタイプ入門 タイプダイナミクスとタイプ発達編https://amzn.asia/d/70n8tG2
 
参考文献[3] 『タイプ論』https://amzn.asia/d/2t5symt
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こころざし創研 代表
ティール・コーチ 小河節生
E-mail: info@teal-coach.com
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