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040『心、精神、魂の違い』-ユングを詠む

1. イントロ

  心、精神、魂という言葉は何となく使ってる。
さて、子供にどう違うん?って聞かれて答えられる?

単純な言葉ほど説明に窮する。愛とか!
自明だ!ア・プリオリだ!なんて言っても子供は納得しまい!

では、ユングはどう使い分けているか書いておこう。


2.「心(Psyche)」、「精神(Spirit)」、「魂(Soul)」

 CGユングは、「心(Psyche)」、「精神(Spirit)」、「魂(Soul)」という概念を独自の意味で使い分けている。

2.1心(Psyche):

ユングにとって「心」は、意識と無意識を含む全体的な心理的システムだ。

  これは、個人の経験、思考、感情、夢、そして象徴を含む、広範で複雑な領域になる。
   心は自己(Self)の中心であり、個人の成長と発展を導く力を持つものとして扱われる。
  また、心は個人の無意識だけでなく、集合的無意識ともつながっており、人類全体の精神的な歴史や遺産とも密接に関係があるとする。

2.2精神(Spirit):

「精神」は、心より高次の概念を示すために使われる。
 
ユングにとって、精神は人間の理性や知性、宗教的または霊的な追求と関連し、自己超越や高次の目的への探求を象徴する。

2.3魂(Soul):

 ユングにとって「魂」は、感情や感受性、深い個人的な体験に関する概念である。

 魂は人間の内面的な生活、特に感情的・情緒的な反応や無意識のプロセスを表し、しばしば自己との関係において最も親密で個人的な部分とされる。

 ユングの視点では、魂は人間の深層心理と自己理解の基盤となるものであり、無意識と意識の間の媒介役を果たします。

3. 心(Psyche)と自己(Self)の違い

3.1範囲と定義:

 心(Psyche)は意識と無意識の両方を含む広範な心理的システム全体を指し、自己(Self)はその心理的システムの中で中心的な存在であり、全体性と統合の状態を表す。

3.2役割と目的:

心はすべての精神活動の場として機能し、無意識と意識の内容を包含する。
自己はその場を意味する。

3.3位置づけ:

心は全体としての心理システムを示し、自己はそのシステムを静的に捉えた言い方。

4. 心(Psyche)において元型(Archetype)と集合的無意識(Collective Unconsciousness)をカバーする範囲について

4.1 集合的無意識(Collective Unconsciousness):

   集合的無意識は、ユングの理論の特徴的な概念。
  これは、個々の経験や記憶ではなく、人類全体に共通する普遍的な無意識の層を指す。
 集合的無意識には、すべての人間が共有する普遍的な心理的内容やパターンが含まれており、個人の夢、象徴、創造的活動などを通じて表れることがある。
  集合的無意識は、個人の無意識の深層に位置し、人類の歴史や進化の過程で形作られたものとされる。これは、神話、宗教、昔話、文化的伝統などに見られる普遍的なテーマやモチーフを反映し、人間の心理的構造に深く組み込まれている。

4.2. 元型(Archetypes):

 元型(アーキタイプ)は、集合的無意識の中でも個人的な無意識を除いた神話、宗教、昔話、文化的伝統な内容。

  具体的にはグレート・マザー、シャドウ、英雄、アニマ、アニムス、老賢者、トリックスター、セルフなど。

  元型は太古の昔から変わらない、人間の心の動きのパターンのバリエーションである。

  自我は元型が活性化されると、元型に駆り立てられるようになり生きる方向性を選び取っていく。ただし、元型のパワーに自我が圧倒されて同一化すると危険な状態になることもあるので注意が必要である。

4.3元型と集合的無意識の関係:

 元型は集合的無意識の中でも個人的な無意識を除いた神話、宗教、昔話、文化的伝統な内容。集合的無意識は太古の神話的なものだけではなく、人類、民族に共通した深層の無意識領域と位置付けられる。
 
  まとめると、心(Psyche)は個人の意識と無意識の全体を含むものであり、その中には集合的無意識という太古からの人類共通の深層心理・イメージが元型が潜在しているという構造になっている。

 これらの要素が相互に作用し合い、個人の心的活動に影響をしている。

5. あとがき

 ユングは晩年、集合的無意識のさらに深いところにある無意識に気がついていたらしいが、それを著作としてまとめなかったそうだ。その辺も次回以降はポスト・ユングとして追っていきたい。

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参考文献[2] MBTIタイプ入門 タイプダイナミクスとタイプ発達編https://amzn.asia/d/70n8tG2

参考文献[3] 『タイプ論』https://amzn.asia/d/2t5symt

参考文献[4] ユングのタイプ論に関する研究: 「こころの羅針盤」としての現代的意義 (箱庭療法学モノグラフ第21巻) https://amzn.asia/d/aAROzTI

参考文献[5] 『元型論』https://amzn.asia/d/eyGjgdX

参考文献[6]『ユング――魂の現実性(リアリティー) (岩波現代文庫)』https://amzn.asia/d/cUEvxPS

参考文献[7] <ミヒャエル・エンデ『モモ』 2020年8月 (NHK100分de名著) ムック – 2020/7/22>

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参考文献[8] 『ユング心理学入門』

原文作成:ChatGTP4o。添削修正:小河節生。

背景画像:原案:経営を語るユング研究者 小河節生。
     作画:ChatGTP4o。
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こころざし創研 代表

「コーチやめました」
経営を語るユング研究者 小河節生

E-mail: info@teal-coach.com
URL: 工事中
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