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アロンソ世代

松坂世代という言葉が生まれたくらい、
松坂大輔さんはとても大きな存在だと思う。
横浜高校での力投、怪物ルーキーとしての活躍、
メジャーでの実績。
歳を重ねて少しずつパフォーマンスが衰えていく中でも諦めることなく…というより松坂大輔さんは諦めない人なんだと思う。
その姿に同じ1980年生まれの人たちは希望や勇気をもらっていたのだろう。
勇気を与える人をヒーローと呼ぶのだとしたら松坂大輔さんは間違いなくヒーローなんだろうな。

さて、僕は…というと1981年生まれなので松坂世代ではない。
というよりここまで影響力のある人はいないような気がする。
年齢的にはビヨンセやロジャー・フェデラー、
星野源さん&浜野謙太さんに斎藤工さんと細かく見ていけば実に才能あふれる人がいるのだけど、
なかなかどうして松坂世代のようなジャンルを超えた存在ではないような気がする。
(それぞれの分野では偉大な存在です)
やはり松坂大輔さんが与えた影響が非常に大きかったんだろう。
けれどたぶんそれぞれに同い年のヒーローがいるんだと思う。

おっと前置きが長くなってしまった。
そんな僕にとって同い年のヒーローはスペイン人F1ドライバーのフェルナンド・アロンソ。
日本ではF1がメジャースポーツとは言えないところがあるので知らない方が多いかもしれない。
かつては地上波でも見ることができたけど現在はCSやサブスクリプションサービスでしか見ることができないのでさらに簡単に見ることができなくなっている。
なのでまずはアロンソのことをざっくり紹介したいと思い…留まりました。
なぜならキャリアが20年とかなり長いのでざっくりがざっくりにならない(できない!)
なのでキャリアについてはウィキペディアなどで調べていただくとして…
端的に言うと2年連続でワールドチャンピオン(世界王者)になっていて絶対王者だったミハエル・シューマッハに引退を決意させた実力のあるドライバーだ。
ただそれ以降は運が悪いというかトップチームに移籍したらマシンが遅かったり待遇が悪かったりと、
思うような成績を残せずにいた。
時に公然とチームを批判することもあって特にホンダファンからは嫌われているフシもある。
とはいえF1だけに留まらずトヨタのル・マン2連覇に貢献していたりするのでドライバーとしては超一流であることは間違いないし、他のドライバーも現役最強はアロンソだと口を揃えている。

モータースポーツ、特にF1はマシンの性能が露骨に出る(資本力もあるけど)
チャンピオンチームが翌年、劇的に遅くなって目も当てられないなんてことが数え切れないくらいあった。
そういう状況下でもアロンソは結果を出してきていた。
ポディウム(表彰台)に乗れないとしても入賞してポイントを稼いだり格上のマシンに対して堅実なディフェンスをしてみせたりと腐ることなく最大限のパフォーマンスを発揮してきたと僕は思っている。
速いマシンで速いのは当たり前。
遅いマシンでも腐ることなく(批判はするけど)キャリアを積んできたアロンソの姿に僕はずいぶん勇気をもらってきた。
一度は引退(本人的には休止)したものの複数のチームから復帰を打診されるというのは名誉なことだと思う。
そして実際に2021年に復帰して衰え知らずのパフォーマンスをアルピーヌ(旧ルノー)で発揮。
ベテランならではの経験をフルに活用して天候やクラッシュで荒れたレースをチャンスに変えることでボジションを上げたりポディウムに上がっている。
翌年の2022年はたびたびマシントラブルでリタイアする場面が増えたことでチームへの不信感が募りサマーバケーション明けにアストンマーティンへの電撃移籍が発表された。
アロンソはアルピーヌをトップチームにすると宣言していたこともありメディアやファンから批判されることもあったけれど、
アロンソからすればマシンが遅いのは自分のスキルでカバーできる一方で完走できないマシンに乗っていたらどうやったって勝てない。
モータースポーツの頂点というシビアな世界だからこそ移籍を決めたんだと思う。

そして今年、2023年の開幕戦。
アストンマーティンがマシン開発に成功したことでレッドブルは別としてもフェラーリ、メルセデスに並ぶどころかコース上で追い抜いて(しかもそこで抜けるの?みたいな場面ばかり)いきなりポディウムに上がった。
伊達に現役最年長じゃあない。
蓄えた経験とスキルをいかんなく発揮していて衰えるどころかますます速くなっている気がする。
シーズン開幕早々にポディウムに上がり僕は感動して涙を流したけれど、
きっと今年は何度も感動させてもらえる気がする。
ポディウムの頂点もあり得る。
アロンソは改めて現役最速を証明してくれると僕は信じている。
だから僕にとってアロンソは同い年の希望なんだ。

勢いのある人というのは良くも悪くも他人を惹き付けやすい。
ただ落ち目になると手のひらを返したように
「調子に乗りすぎ」とか「天狗になってたツケ」なんて批判をして一斉に離れていったりする。
僕は比較にならないくらい超小さな世界で離れていく側と批判される側の両方を経験してきたけれど、確かに調子に乗ってしまうこともあったと思う。
一方で周りが勝手に盛り上がって僕の考えを二の次にして好き放題やり始めてしまい揉めに揉めたこともある。
それがより良い可能性に繋がるなら僕もそうするけれど、本来の趣旨から外れるのであれば当然、断る。
するとなぜか天狗扱いされたり下手すると恩知らずなんて言われたりもする。
僕からすると「いや…都合よく解釈したのはそちらなのですが…」という感じなのだけど、
挙句の果てには知りもしない人から嫌われているという得体のしれないことが起きていたこともあった。
正しく風説の流布…

けれどそれに流されず共に動いてくれる人もいる。
個々の利益ではなく根幹にある可能性や公益性のようなものを信じて
時に僕以上に心血を注いでくれた人もいるし、 実際ハマッチャやあいりきはそんな人が集まったチームだと感じている。
たぶんどちらの活動も利己主義だと続けられないと思うし。

僕がアロンソから学んだのはここだ。
若かりし頃は利己的だったこともあった。
けれど今はチームのために自分の持つ経験を余すことなく伝えているし、
チームの意見も積極的に取り入れている。
そうすることで自分もチームも良い結果を残すことができる。
チームを公然と批判するのも同じプロフェッショナルとしての自覚があまりにも足りないからだろうし、
そのことによって「言ったからには」という感じで自分に対するハードルを上げていると思う。
よくブーメラン現象なんて言うけど言動の不一致は人から徹底的に嫌われる。
僕から見たアロンソは最低の環境でも最高のパフォーマンスを発揮し続けている。
F1は過酷な世界で結果が出なければ1年後には消えている。
そんな世界で20年もの間、走り続けていて他のドライバーからもリスペクトされていることがそれを証明していると思うのは僕だけだろうか。

例え風向きが悪かろうと愚直なまでに自分にできることを貫くアロンソ。
その姿を見るたびにまだまだやれることがあると勇気をもらっている。
だから「松坂世代」とか「大谷世代」なんて言葉があるなら、僕は「アロンソ世代」を名乗ろう。
今年で42歳。
まだまだこれからです。

Vamos!フェルナンド。
Vamos!僕自身。
Vamos!ハマッチャ!

ってなとこでアディオース!

※写真はグランツーリスモ7で僕が所有しているアストンマーティン。
実車ではございません。

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