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『明日旅立つ君へ』

離ればなれに生まれた僕らは
ある時点で出会いひとつになり
そして明日また離ればなれになる

「自分の進みたい道を進めばいいよ」
僕の口から出た、偽りの言葉だ

君はためらいもなく「ありがとう」と言って
僕の手を一度握り締めてから席を立った
でも、後ろを向いた君の肩が
小さく震えていたのを僕は知っている

どうにもならないことなんて
僕らのあいだにはなかったと思う
僕らは自分たちの意思でこうすることを選んだんだ

追いかけることがかっこ悪いとか
君のために身をひくとか
そんな気持ちはさらさらなかった
君は旅立ち僕は残る、ただそれだけのこと
それ以上でもそれ以下でもない

明日旅立つ君へ
僕は今夜君のために歌を作るよ
コードしか押さえることのできないギターで
大学ノートの切れ端に

多分出来上がる頃にはすっかり夜が明けて
君はもうこの町にはいないんだろうな
それでも僕はこの部屋で出来上がったばかりの歌を歌うよ
ありきたりの言葉じゃなく、僕だけの言葉でね

届かない言葉はこの部屋にいつまでもとどまり
僕はそれらに埋もれて暮らすことになるだろう
君は僕のために泣いてくれるのだろうか
遠い旅の空の下で

明日旅立つ君へ
僕の言葉が大学ノートを埋め尽くしていくよ
君に対する言葉がこんなにあるなんて
そしてまだ尽きることがないなんて

明日旅立つ君へ
このたくさんの言葉たちを全部つなげていけば
君に届くんじゃないかなんて
そんな事を考えたりなんかして

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