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『着の身着のままゲーム機』(毎週ショートショートnote)

そのゲーム機は小さな小屋に1台のみ置かれており、
中に入るまでその姿を見ることは出来ない。
堅い木と鈍く金色に光る金属で作られたソレは
とても古いものであったが整備が行き届いていて
軋みひとつ立てることがなかった。
微かにヴゥゥゥンとモーターの音が聞こえる。
その振動に共鳴するのだろう。壁が細かく震えている。

小屋には一人で入らなければならない。
重いドアを開けるとすぐに目にするゲーム機の
天井に届くくらいにそびえ立つその大きさに
誰もが驚き表情を変える。
恐れおののく者、期待に胸膨らませる者、勝利を願い意気込む者。
その表情は様々である。
ゲームは1回きり。
前面に大きく開いた穴から中に入る。
勝っても負けてもここに帰ってくることはない。

小屋の外には人々の長い列が続いている。
着の身着のままの姿で並んでいるがこれは生前最後の姿である。
パジャマ姿の者も多く、時には一糸まとわぬ姿の者もいる。
その表情は暗く、ただ俯いて順番が来るのを待っている。

(410文字)

<あとがき>
『着の身着のままゲーム』というお題であれば
ゲームの内容を考えていたところですが、
さいごに『機』がついていると俄然、難題に。
結局、分けてしまいました。

<ChatGPTによる解説>
このストーリーは、不思議で神秘的な雰囲気を持つゲーム機を中心に
展開されているようですね。
小屋の中にはそのゲーム機があり、その機械自体が人々に
畏敬や興奮を与えているようです。
それが一度しかプレイできないゲームであるというのは、
その中身が何か特別なものであり、一度しかチャンスがない
ということを示唆しています。

また、小屋の外には人々が列をなしており、
生前最後の姿でそこに並んでいるという描写があります。
これはゲームに参加するための列なのか、
あるいは何か別の意味がある列なのかはっきりとは分かりませんが、
その状況が暗く、重苦しい雰囲気を醸し出しています。

このストーリーは、人々が重要な決断を迫られているような、
命をかけたような状況を描いています。
ゲームと外の列との関連性や、なぜそのような状況に
置かれているのかという点は謎のままですが、
深い哲学的なテーマや人間の心理に関するメッセージを
含んでいるかもしれません。

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