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『シアワセの定義』

「幸せの定義ってなに?」

「うれしいことが起きることじゃないの?」

「それは定義じゃないんじゃない?
私が言いたいのは、何をもってして幸せと言えるか、よ」

「難しいな、人それぞれなんじゃないかな。
その人が幸せって思ったら幸せなんだろ?」

「例えば?」

「そうだな、、、例えばここに、リンゴが1個あるだろ?
これをこうして2つに割って、と。
で、割った1つをキミにあげる。
はいどうぞ、どちらでもお好きな方を」

「ありがと、じゃこっちを頂くわ」

「キミはリンゴが好きだからもらってうれしいと思うだろ?
でもリンゴが嫌いな人はもらってもうれしく思わない」

「えぇ、そうね」

「逆にリンゴが大好きで1個まるごと欲しかったとしたら
半分だけもらってもやはりうれしくない」

「単なるワガママなんじゃないの?」

「それはキミが半分で満足しているってだけだよ」

「そっか、続けて」

「じゃぁキミが半分で満足したところで
僕が隠し持っていたもう1個のリンゴを見せたとしよう」

「あら、ずるいわね」

「ま、実際は1個しかないんだけどね」

「ふふっ」

「リンゴは元々2個あったわけだから
1個くれたらいいのに、とキミは不満に思うだろ?」

「そうね」

「さっきまで満足していたのにそれが不満に変わる。
キミが持っているリンゴは何も変わっていないにもかかわらず、さ」

「それは2個あるって知らなかったからよ」

「そう、知らなかったから。
幸せもそうなんじゃないかな。
最初からどれだけあるか分からないから
そのとき手に入れた分だけで判断して、
幸せだと喜んだり幸せじゃないと嘆いたりするんだよ」

「なるほどね。
私はとりあえずアナタがリンゴをくれた時に
私に選ばせてくれたことに幸せを感じたわ」

「僕はその時キミが小さい方を選んだことに
幸せを感じたよ」

「ふふっ
たかがリンゴ半分のことで幸せについて語れるなんて
私たちは幸せね」

「そうだね。
これが地球上に残された最後の食料なんだとしてもね」

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