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恩師の病

伯父の話もそうですが、自分が歳を重ねるということは関わってきた人も歳を重ねているわけで、どうしてもあちこち悲しい話が聞こえてくることが増えてきています。

ウサツキの恩師、大学と職場の所長としてお世話になった先生がいまして、先生はウサツキの父と同じ年齢で、研究室での寝泊まりや仕事で遠出など一緒に過ごした時間も長く、勝手ながら父親のような存在でもありました。結婚してからは仕事を辞めたこともあり、連絡は年賀状程度になっていて、少し電話でお話する機会があったりもしましたが、なかなかお会いすることができずじまいでいました。
ウサツキ自身が出不精になっていたこともありますが、先生が参加すると聞けば頑張って行ってみよう!と重い腰をあげてみたりしても、先生が都合が悪くなって不参加になったり、少し前に大々的に行われた研究室の同窓会にも参加されず、お忙しいんだろうと思っていました。まだコロナの時期でもあったので、高齢であることを考えての不参加もあり得るなと思い、それならば少人数でお会いできればと先生にアプローチをかけてみることに。

たまたま仕事で先生の事務所にいたときのことを紹介することがあり、事務所を検索してみるとあったはずのHPがすべてなくなっており、???
事務所、いつの間にかなくなった?と焦って事務所の先輩に連絡を入れると昨年あたりに事務所は閉めたと。先輩も詳しくは知らないようで、ただ、少し先生のご体調がよくないようだと。

そこで、最後のスタッフだった後輩に連絡を入れて聞いたところ、詳しくはわからないがやはりよくない様子。先生に連絡をとる際のメールアドレスを聞くとメールは開いていない可能性があるのでお手紙の方がよいと思うとアドバイスをもらい、ウサツキの近況と会いたい旨をお手紙にしたため…

返ってきたお手紙は奥様が書かれたものでした。ウサツキが思ってもみない内容で、先生は数年前からパーキンソン病を患い、現在はほとんど寝たきりで人と会うことで幻視幻聴に悩まされるため会うことは難しいと。思うように言葉も出てこない状態で、認知症も出てきている様子。
読みながら絶句しました。

いつも明るくにこやかで物腰の柔らかい先生に、存在するのにもう会えない。いや、そりゃ一番つらいのは先生ご本人でしょう。わかってはいるものの会えたらいいな、会いたいな、から、もう会えないに変わることは受け入れがたく、返信をいただいたお手紙からまだ何も返せていない状況です。奥様が今どんな思いでいることかを考えると言葉が見つからず、今こうしている間も大変な状況であることを想像すると胸が痛みます。

お手紙の内容と数年前からにもかかわらず、その情報が回ってこなかったことを考えると、元スタッフだから教えていただいたことだと察すると、一緒に会いに行こう!と話していた同期の仲間たちにも伝えれず、ずっと悶々としたまま日々をやり過ごしていて、頭の中がいつまでも霞んでいるままで…

伯父の死と伯母の状態、また別の伯父の年老いた様子と恩師の病。
どれも老いには勝てない結果ではあるものの、時の流れは残酷なまでにとめられない。

何にも出来ないことが歯痒い。

会いたかったな。
話したかったな。

会いたいな。

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