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ドラマトーク#13 2022冬ドラマ総括

遅まきながら、前クール(1月期)の連ドラ総括をば。
(放送中の所感記事はこちら↓)

すべての謎が解き明かされないまま終わった『ミスなか』『DCU』『ケイ×ヤク』

今クールは謎解きや真相究明ものの作品比率が多かった。
上記の3作品以外にも、『ドクターホワイト』(関テレ/フジ系・月曜22時)『逃亡医F』(日テレ系・土曜22時)『愛しい嘘~優しい闇~』(テレ朝系・金曜23:15)などがそうだった(ちなみにこれらは謎を残さずに終わっている)が、つまりはミステリー系の6作品中半数の3作品で、謎が残されたまま最終回が終わったということになる。
さすがに、あっちでもこっちでも謎を残したまま終わられるのは、観ている側としてはちょっとフラストレーションが…(笑)。

『ミステリと言う勿れ』(フジ系・月曜21時)は、最終回が時系列的には過去に遡ったエピソードだった。
1話完結型の連ドラでは、この、放送順と時系列が実はバラバラでした、という手法は今までにももちろんあり、印象深いところで言うと、同枠で以前放送されていた『コンフィデンスマンJP』などはこの手法が実にうまく機能して、複雑な伏線回収のタイミングや衝撃度が、作品を面白くしていたと思う。
だが今回の『ミスなか』においては、最終エピソード(最終回とその前の回とでの前後編)以外は時系列通りだったこともあり、最終エピソードだけを敢えて後ろに持ってきたことの効果が、正直あまり感じられなかった。

原作ではどういう順番でエピソードを並べているのかを知らないので何とも言えないが、この時系列の入れ替えがもしドラマオリジナルでのことなら、キーパーソンである瑛太演じる我路が登場するエピソードを最終回に持ってきたかっただけなのかな、と思ってしまう。
また、このドラマは毎回、1つのエピソードが完結した後に次のエピソードのさわりを少し見せたところで次回に続く、という各話の区切り方をしていて、それは1話完結物のみせ方としてはちょっと新鮮さもあり良かったのだが、最終回でも、事件自体が一応解決した後、え? これで終わり? という尻切れトンボな締め方をされたのでびっくりした。
回収されてない伏線もいくつもあった気がするし…。
決してすべて解決してスッキリすることだけが連ドラの終わり方ではないとは思うが、それまでの各エピソードは面白かっただけに、ちょっと残念な気持ちになった。

『DCU』(TBS系・日曜21時)は、こちらも1話完結ものでありながら、海上保安官である阿部寛演じる主人公が15年前に関わった事件の真相解明が軸となるドラマだったわけだが、確かにその事件の真相自体はラストで明らかになったものの、その真相解明の過程で関与が明らかになった謎のテロ組織と、その組織の一員となっていたかつての同僚・吉川晃司については、結局捕まえることも何もできずに終わるという、こちらもスッキリしない結末だった…。
もっと、テロ組織の対峙とまでは行かないにせよ、少しは核心に迫るような展開に終盤なっていくのかと期待していたが、結局黒幕も吉川の組織での立ち位置すらもわからないまま終了。
そもそも、殉職したはずの吉川がなぜ生きていてテロ組織の一員になったのかの経緯も15年間どうしていたのかも何一つ出てこないし、これはもう、対吉川&テロ組織で続編か映画化を見据えてのことなのかな、と邪推せざるをえない…。
よくよく振り返ればドラマ全体の印象は悪くなく、スケールも大きくて見応えのある作品だったのに、最終的に私の中では謎を残し過ぎという印象だけが強く残ってしまう結果となった。

『ケイ×ヤク』(日テレ/YTV系・木曜23:59)は深夜ドラマらしからぬ豪華キャストと作りの重厚感に期待して観ていた作品。
こちらも、過去の事件の真相とその黒幕を追う、という点では、ある種『DCU』と作りというか構成は似ている。
違うのは、こちらでは黒幕(平田満)が登場し、対峙するところまではたどり着いたというところ。
だが結局、最終的に黒幕は野放しのままで、黒幕とその一味がなぜ事件を起こしたかも謎のまま、ドラマは終わってしまった。
原作マンガがまだ連載中ということも関係あるのかもしれないが、ドラマの結末としては最後ちょっと物足りなさは否めず。
原作が続いているので、それこそ続編ていうことなのかな…。

ダントツ1位はなかったが粒のそろったクール

やや批判的な内容から先に入ってしまったが、全体的な今クールの評価としては、例えば前クールの『最愛』のような、ダントツ1位の飛び出た作品はなかったものの、わりと良作ぞろいというか、粒がそろっていたように思う。
『妻、小学生になる』(TBS系・金曜22時)は設定は完全にファンタジーだったが、キャスト陣が良かったし、特に子役の毎田暖乃の演技は本当に素晴らしく、ドラマ後半はほぼ毎話号泣しながら観ていた。
『となりのチカラ』(テレ朝系・木曜21時)と『ゴシップ #彼女が知りたい本当の○○』(フジ系・木曜22時)も当初の期待通りにラストまで見応えがあり楽しめた。

また、意外とハマったのが、『ムチャブリ! 私が社長になるなんて』(日テレ系・水曜22時)。
純粋にお仕事系ドラマなのかと思っていたら、後半になるにつれて恋愛要素がどんどん増えてきて、しかも主人公(高畑充希)の相手役はてっきり松田翔太だと思っていたら、主人公に敵対的で前半では別に好きな人がいた志尊淳が急に心変わりして、松田に惹かれていたはずの高畑もいつの間にやら…で、終盤甘々になるという…(笑)。
2人の心変わりの経緯はイマイチ無理くり感はあったが、30歳の主人公と年下イケメンのラブは、やはり需要しかないわけで、一視聴者としてキュンキュンさせてもらった。

あとは深夜枠の『愛しい嘘~優しい闇~』(テレ朝系・金曜23:15)も良かったと思う。
連ドラとしては全7回と少し短めだったが、サスペンス物として毎話、解ける謎と残る謎の加減というか塩梅がちょうどよく、最後までハラハラしながら観ることができた。
深夜ドラマにしてはこちらもキャストが豪華で、主演の波瑠をはじめ安定した演技の役者が揃っていたが、当初特にメインどころではなかったはずの徳重聡の怪演が回を重ねるごとに凄みを増していき、いつのまにか私の中では他の誰よりも目立って見えたほど。
彼はちょうど同時期にNHKの朝ドラ『カムカムエヴリバディ』にも出演していたのだが、そちらの役(作中のシリーズ物時代劇『破天荒将軍』で主役を務める俳優だが実生活は全く破天荒ではない男、という役どころ)とのギャップもありすぎて、今までそこまで演技達者な役者さんという印象がなかっただけに衝撃が大きかった。
何気に今期、最も印象に残った役者の一人かもしれない。

その他最後まで観たもの

ここまででまだタイトルが挙がっていないのは『鹿楓堂よついろ日和』(テレ朝系・土曜23:30)と『ファイトソング』(TBS系・火曜22時)の2本だが、『ファイトソング』は結果的にやはり、以前の所感で書いたとおり、残念ながら恋愛物と清原果耶の親和性がイマイチだった…。
なんならもっとベタで甘々とか、ドロドロの恋愛物とかだったら逆に良かったのかもしれないが、もともと彼女に恋愛物のイメージがあまりないところに、さらにさっぱりしたキャラクターとさっぱりした恋愛ストーリーで、観ていてあまり面白みを感じられず…。
相手役の間宮祥太朗に関しても、恋愛物で彼が男性1番手では少々パンチが弱いのでは…と懸念を書いたが、役の大人しいキャラクターとも相まって、やはりパンチの弱いままだった…。
清原も間宮も、演技力のある若手をせっかく起用しているのに、作品との相性があまり良くないせいで役者が生きず、また作品のほうのストーリーや中身も決して悪くなかったのに、双方にとってもったいない結果だったな、と思ってしまった。
まあ、とは言ってもなんだかんだ結局最終回まで観ているのだが。

『鹿楓堂~』と、冒頭でちょっと触れた『逃亡医F』『ドクターホワイト』も、当初の予想を超えてくることはなかったが、癒されたり、脇役陣が面白かったり、真相解明が気になったりして結局最後まで観た。
今期は、どうしても無理で、観始めたのに途中で脱落してしまったという作品はなかったので、そういったところからも、やはりある程度粒のそろったクールだったということが言えるのではないかと思う。

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