見出し画像

ドラマトーク#15 連続出演記録を更新する役者たち 2022春

今期のドラマを見渡してみると、前クールでも見た顔があちこちに。
ということで、2クール、もしくはそれ以上の期間で連続出演している気になる役者についてピックアップしてみる。

5期&4期連続の強者が同じドラマに集結

『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』(日テレ系・水曜22時)に出演中の高橋文哉は、なんと昨年の4月期から実に5クール続けて連続ドラマに出演している。
数年前、息子が夢中で観ていた仮面ライダーゼロワン、めっちゃ売れっ子になった!笑
2021年4月期の『着飾る恋には理由があって』(TBS系・火曜22時)を皮切りに、7月期は『うきわ -友達以上、不倫未満-』(テレ東系・月曜23時)、10月期には主演の吉高由里子の弟役で注目を浴びた『最愛』(TBS系・金曜22時)に出演、そして前クールの今年1月期は『ドクターホワイト』(関テレ/フジ系・月曜22時)。
しかもすべて、レギュラーキャストでというのが凄い。
今作でも主要キャストの一人で出演している。
ほんと、ずっと出てる。
だが、意外にまた出てる感は薄いのが彼の良いところかもしれない。
イケメンだが、お顔がさっぱりしているというか、印象の強い濃い顔ではないので、役柄が違うと別人というか、おそらく、以前のあのドラマのあの役と同じ役者、ということに気がついていない視聴者も少なくないのではないだろうか。

同じく『悪女(わる)』に出演中の鈴木伸之も、ここ4期で5作品にレギュラー出演。
前クールの1月期『ケイ×ヤク』(YTV/日テレ系・木曜23:59)は、深夜帯ではあるが主演作(犬飼貴丈とのW主演)だったし、その前の昨年10月期は『ラジエーションハウスⅡ』(フジ系・月曜21時)と『ヤンキー君と白杖ガール』(日テレ系・水曜22時)の2本に同時出演。
さらにその前の7月期には『僕の殺意が恋をした』(日テレ系・日曜22:30)に出演していた。
彼は確実な演技力で主役、相手役、脇役のどれもいけて、正統派イケメンながら良い人も嫌な奴も演じられるマルチな役者さんだと思うので、連続登用になるのも納得。

ちなみに『悪女(わる)』には30年前の同ドラマで主人公・麻理鈴を演じた石田ひかりも出演しているが、彼女も前クールの『ファイトソング』(TBS系・火曜22時)からの連投になっている。

実力あるのにゴリ押し感⁈が漂ってしまう、少々不可解な連続出演 

今期『ナンバMG5』(フジ系・水曜22時)で主演を務めるのは、前クール『ファイトソング』で主人公・清原果耶の相手役を演じていた間宮祥太朗だ。
これまで地道にいろんな作品に出演して、男性2,3番手あたりとしてはもう十分に実績のある良い役者さんだと思っているが、ここにきてなんだか急に立て続けに主演級の役がきて、たまたまなのか、それとも今さら何かに猛プッシュされているのか…? というのが情報を知ったときの正直な感想だった。
実際、間宮が男性1番手は弱いのでは…と懸念していた『ファイトソング』は、ラブコメなのに作品もヒロインもサバサバしすぎという全体的なイマイチさももちろんあったが、終わってみて正直やはり彼は2,3番手で力量を発揮するタイプなのかも、と思わされた。

だが、『ナンバ~』では、普通の高校生活を送りたいヤンキー一家の次男坊の、少し憂いを帯びた普通の高校生姿も、金髪で特攻服のヤンキー姿もどちらもサマになっていて、一見無理のありそうなこの二重生活を送る高校生という設定も自然にみえるくらい適度に力が抜けた感じでナチュラルに演じていて、前作より全然良い。
主役でも十分いける役者だということを実証したと思う。

ただ、つい先日、次期7月期の『魔法のリノベ』(関テレ/フジ系・月曜22時)にも、波瑠演じる主人公の相手役での出演決定が発表されて、もうちょっと脇役とかならまだしも、主演級で3クール連続はさすがにちょっとやりすぎなのでは…と感じてしまった。
なんでこんな仕事詰め込まれてるのかな? 事務所と何かあるのかな? と余計な勘繰りをしてしまう…笑。
良い役者なんだから、そんなに一時に詰め込まなくても、もっとコンスタントにいろんな作品にいろんな立ち位置で出たらいいのにな。

怪しい役が似合う役者たちが引っ張りだこ

その人がドラマに出てくると、良い人そうな役でもいつか豹変するのでは…、と疑ってしまう、いわば佐野史郎タイプの役者はどの時代にも一定数存在している。
その中で、ここ最近で一番インパクトがあるのは何と言っても、昨年10月期から3期連続出演を果たしていて今期『インビジブル』(TBS系・金曜22時)に出演中の酒向芳だろう。
ここ数年、いろいろな作品でよく見かけるようになった現在63歳、遅咲き中の遅咲きともいえる酒向だが、前クール『逃亡医F』(日テレ系・土曜22時)では風変わりな教授役、その前の10月期は『最愛』で失踪した息子を病的なまでに探し続ける父親役を見事に怪演していた。
過去2作の役のキャラクターが濃すぎて、『インビジブル』では普通の、人の好さそうな刑事課の上司役、というのに未だ慣れず、画面に彼が映ると無駄にドキッとしてしまうのだが、むしろ貴重な、酒向の普通のおじさん役がちょっと楽しみでもある。

また、同じく『最愛』にレギュラー出演していた岡山天音も、独特の雰囲気を放つ個性派役者の一人だが、前クール『ミステリと言う勿れ』(フジ系・月曜21時)ではゲスト出演ながら、前後編2週にわたるエピソードでのメインゲストとなる犯人役だった。
今期は『恋なんて、本気でやってどうするの?』(関テレ/フジ系・月曜22時)で、描かれる3組のカップルのうちの男性の一人を好演しており、今回はどう考えても悪役ではなさそうだけれど、それでも1%くらいはまだ疑っている自分がいる…笑。

『パンドラの果実』(日テレ系・土曜22時)に出演している板尾創路も、今や佐野史郎タイプの筆頭格。
前クールの『ケイ×ヤク』から一転、今作は人のよさそうな刑事局長役なのだが、まだわからない、信用してはいけないと思わせてくる滲み出てしまう怪しさ(笑)。
さて、どちらに転ぶのか。

一方、期待を裏切ることのない悪役で連投しているのは『やんごとなき一族』(フジ系・木曜22時)に出演中の石橋凌
前クール『ドクターホワイト』(関テレ/フジ系・月曜22時)でも、悪い人の役だった。
逆に、コワモテなのに2期連続良い人キャラで出演しているのは『受付のジョー』(日テレ系・月曜24:59)に出ている橋本じゅん
前クールは『ファイトソング』でヒロインの主治医役を穏やかに演じていた。
この2人は、別に、悪役ばかりで出ているわけでもないはずなのだが、一度抱いた印象やイメージって、根強い。

また、佐野史郎タイプとまではいかないが、前作で怪しい役だったと言えば、昨年10月から今年3月まで2クール続いた『真犯人フラグ』(日テレ系・日曜22:30)の出演者で、今期『俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?』(テレ朝系・土曜22:30)でも共演している芳根京子迫田孝也である。
特に迫田に至っては、今期は『マイファミリー』(TBS系・日曜21時)と同時出演の上、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK・日曜20時)にも大泉洋演じる源頼朝の弟・範頼役で出演中と、ちぎれそうなくらいに引っ張りだこ状態。
『鎌倉殿~』では穏やかで優しく兄弟思いで真面目な役どころを演じているのが、『マイファミリー』では少々斜に構えた打算的な刑事、『俺かわ』では調子のいいおちゃらけた営業マンと、きれいに演じ分けていて、「また出てる」感をあまり感じさせないのも素晴らしく、今後の活躍が楽しみなバイプレイヤーである。
芳根も、すでに次期7月期の日曜劇場『オールドルーキー』(TBS系・日曜21時)への出演が発表されており、こちらも連続出演が続くもよう。

不思議な感覚に陥る? 共演続きの役者たち

迫田と芳根以外にも、今期は前クールでも共演していた役者たちが同じドラマにまた出ている、連続共演というパターンがいくつもあって興味深い。
『やんごとなき一族』には2期連続出演の役者が複数出演しているが、その中でも『ミステリと言う勿れ』にどちらも刑事役で出演していた尾上松也松本若菜が、今作ではキャラの濃い夫婦役で共演している。
『ミスなか』では松本は最終エピソードのゲストで、尾上との共演シーンもほとんどなかったが、その頃には『やんごと~』の番宣でバラエティ番組などにすでに揃って出演していたので、なんだか不思議な感じだった。

『元彼の遺言状』(フジ系・月曜22時)では1月にスタートした大河ドラマ『鎌倉殿の13人』でバチバチに対立する婿舅として共演していた大泉洋浅野和之が再び共演。
大河のほうでは浅野はすでに退場(死亡)しているわけだが、『元彼~』の役柄がすっとぼけて飄々としているキャラクターなので、関係ないドラマなのにひょっこり帰ってきた感じがしてなんだかクスっとしてしまう。

そして今期もっとも注目された連続共演は、『恋マジ』のSixTONES・松村北斗小野花梨だろう。
朝ドラ『カムカムエヴリバディ』(NHK・2021年度後期)では第二次大戦中という時代設定の中でヒロイン・上白石萌音の相手役と親友役という純朴な間柄だったのが、今作では現代を舞台になかなかの修羅場を演じていて、ネット上でも「あの稔さんときぬちゃんが…!」と朝ドラの役名のままに注目を浴びていた。
特に、小野のカムカムからの豹変ぶりは見事。
見た目からして全然違うのだが、誰が見ても嫌悪感を感じるような、ねっとりとしたあざといSNS匂わせ女を、むしろ観ていて気持ちいいくらい感じ悪く演じきっている。

やはり多い、朝ドラからの連続出演

松村と小野以外にも、『持続可能な恋ですか?』の松重豊、『やんごとなき一族』の佐々木希、『インビジブル』の平埜生成、『マイファミリー』の濱田岳など、『カムカム~』出演者の今期のドラマ出演は多い。
必ずしも半年間でずっぱりというわけではないことも多い朝ドラだが、朝ドラ後に別のドラマに出ているのを見ると、あ、この人もカムカム出てたなー、と思うので、やっぱり朝ドラの影響って大きいんだなと感じる。
現在放送中の『ちむどんどん』(NHK・月~金朝8時)からもすでに、ヒロインの妹役で出演中の上白石萌歌『金田一少年の事件簿』(日テレ系・日曜22:30)でヒロイン・美雪役を演じており、今年後半の連ドラでは『ちむどんどん』出演者があちこちで見られることになるかもしれない。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?