見出し画像

パキスタンの桃源郷フンザ

春には杏や林檎の花々が咲き誇り、桃源郷と呼ばれるフンザ(Hunza Valley)は、パキスタン北端にある人里離れた楽園です。日本では映画「風の谷のナウシカ」の「風の谷」のモデルとも言われ、また、映画「草原の椅子」もフンザを舞台に撮影が行われました。

広義では、藩王が1974年まで支配していたフンザ藩王国、狭義ではその王都があったカリーマーバードを指します。ギルギット・バルティスタン州フンザ=ナガル県に位置し、北は中国、北西はアフガニスタンと国境を接しています。中国のカシュガルへ向かうカラコルム・ハイウェイ沿いに、観光ホテルなどが集まるカリーマーバードなどの集落が点在しています。

カラコルム・ハイウェイ

フンザ渓谷の地形は、雄大な山々、透き通った川、緑豊かな渓谷など、畏敬の念を抱かせるものです。ラカポシ山、ウルタール・サール、フンザピークといった世界最高峰の山々がそびえ立つこの地域には、世界中から登山家やトレッカーがやってきます。

ラカポシ山

フンザ川が渓谷を曲がりくねって流れ、絵のように美しい景色を作り出しています。春になると、杏子、サクランボ、林檎の果樹園が咲き誇ります。雪を頂いた山々を背景にした鮮やかな色の花が広がります。

フンザ川

フンザは長寿住民として注目を集めています。「長寿の地」とも呼ばれるこの地域の食生活は、研究者や健康愛好家の関心を集めています。穀物、果物、ナッツなどの自然食品を豊富に含む食生活は、フンザの人々の素晴らしい健康と活力に貢献していると考えられています。

フンザで採れる果物やナッツ

フンザの有名な観光名所のひとつは、2010 年の大規模な地滑りによって形成された、息を呑むようなターコイズブルーのアタバード湖です。険しい地形を背景にした湖の鮮やかな色は目を見張るもので、その静かな水面をボートで漕ぎながらフンザの景色を楽しむことができます。

アタバード湖

フンザのもうひとつの観光名所は、ユネスコ世界遺産に登録されているバルチット要塞です。カリマバード村の丘の上に建つこの古代の要塞では、この地域の歴史と建築を垣間見ることができます。複雑な木工品と戦略的なロケーションにより、歴史愛好家にとって必見の場所となっています。

バルチット要塞

ヒマラヤ山脈にあるこの隠れた桃源郷を旅すると、息を呑むような風景だけでなく、そこに住む人々の不朽の精神を発見することができ、一生大切にしたい経験となるでしょう。

この記事が参加している募集