ヨーロッパでは、インフルエンザ、HIV、結核よりも抗生物質耐性のスーパーバグが大きな犠牲者となっている

2022年11月19日 16:49

https://www.telegraph.co.uk/global-health/science-and-disease/antibiotic-resistant-superbugs-bigger-killer-flu-hiv-tb-europe/

欧州大陸ではスーパーバグにより年間35,000人が死亡しており、薬剤耐性病原体は無視されがちな「緩慢で静かなパンデミック」である。

著者
サラ・ニューイ
グローバルヘルスセキュリティ特派員
18 11月 2022 - 12:08pm
抗生物質耐性のスーパーバグは、ヨーロッパで毎年、インフルエンザ、HIV、結核を合わせたのと同じ数の人々を殺していると、保健当局が警告し、「静かな大流行」と戦うためにさらなる行動を促しています。

欧州疾病管理センター（ECDC）の報告書によると、2016年から2020年の間に、年間約80万件の薬剤耐性感染と3万5000件の死亡が記録されています。

"これは毎日100人近くが亡くなっていることを意味します "と、ECDCのディレクター、アンドレア・アモンは述べています。"EUにおけるAMR（抗菌剤耐性）の負担は、インフルエンザ、結核、HIV/エイズを合わせた負担に近い状態が続いています。"

この3つの感染症による死亡者数は、EU諸国平均で年間約31,500人と推定され、中でもインフルエンザは最も死亡率が高いと言われています。しかし、アモン博士は、抗生物質耐性のスーパーバグがもたらす脅威の増大は、それに比べて無視されていると警告している。

「AMRは、静かでゆっくりとした疫病なのです。「過去数年のコビドパンデミックのような波やピークはありませんが、本当に深刻な脅威なのです」。

ECDCの最新レポートには英国は含まれていませんが、推定では2019年に英国で12,000人が抗生物質耐性のスーパーバグで死亡したとされています。

ヨーロッパの研究では、薬剤耐性感染症の70％が病院や保健所で拾われることが分かっています。また、一部の抗生物質耐性病原体による感染症は2020年以降2倍に増加しており、その増加の少なくとも一部はCovid-19の大流行と関連していると警告しています。

昨年、アシネトバクター細菌群の報告例は、パンデミック前の年間数と比べて2倍以上に増加しました。最後の砦である抗生物質に耐性を持つ別の細菌、クレブシエラ・ニューモニエによる感染症は、2020年に31％、2021年に20％急増しました。

抗菌薬耐性および医療関連感染症の責任者であるドミニク・モネ博士は、スーパーバグの増加は、パンデミック期間中の長期入院中にコロナウイルスや他の細菌感染症の治療のために抗生物質を広く処方したことと関連しているというのは「もっともな仮説」であると述べています。

極めて憂慮すべき」急増
AMRは、抗生物質の誤用によって部分的に発生します。Monnet博士は、2012年以降、ヒトにおける抗菌剤の総使用量が23％減少したことを示唆する結果を歓迎すると述べています。

しかし、同じ期間に「広域スペクトル」薬剤の使用量が15%急増し、最も薬剤耐性の高い感染症に使用される「最終手段」の抗生物質の数が倍増していると警告しています。

「モネ博士は、「私たちは警戒を緩めてはなりません。「AMRは次のパンデミックではなく、すでにここにあるのです。AMRはゆっくりと静かに進行するパンデミックであり、毎年、感染症が増加し、生命が失われているのです。

さらに、病院でのアウトブレイクを迅速に特定し、感染予防策を講じること、耐性感染症を検出するためのゲノム解読の利用を後押しすること、不必要な抗生物質の使用を減らすことが重要であると述べています。

ECDCの研究には参加していないオックスフォード大学のサミュエル・シェパード教授（微生物ゲノム・進化学）は、この数字は「厳しい警告」であると付け加えています。

ECDCの調査には参加していないが、オックスフォード大学のMicrobial Genomics and Evolutionの教授は、この数字は「厳しい警告」であり、AMRの増加への対応を誤れば、壊滅的な結果になるだろうと述べている。

「広域スペクトルを持つ最後の防衛ラインの抗生物質の使用が増加していることは、非常に憂慮すべきことです。この時点では、自分の免疫システムと外科医のナイフに頼らざるを得なくなるのです」。

世界的には、Lancetに掲載された画期的な推定では、2019年に127万人がスーパーバグで死亡し、サハラ以南のアフリカと南アジアで最も負担が大きいと推定されています。

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