薄羽 哲哉/薄羽養鶏場
市場調査で磨いたマーケティングの知識を養鶏に活かす
■プロフィール
祖父の代から続く養鶏場の3代目。生き物相手の仕事なので、家族旅行の思い出はなく、子供の頃から親の仕事を恥ずかしく感じていた。
マーケティングを専攻するために英アストン・ビジネス・スクールに進学・修了し、外資系市場調査会社の日本法人でマーケティングリサーチャーとして働いていたが、一念発起して家業を継ぐ。
データ分析とマーケティングの知識でネット販売を通じて販路を拡大するとともに、高品質な飼料にこだわって平飼いで育てられた鶏の卵にはファンも多く、複数の産直ECで部門賞受賞。
2022年:食べチョクアワード総合1位
2023年:食べチョクアワード総合2位
2020年、2022年、2023年:食べチョクアワード畜産物カテゴリ1位で殿堂入り
2022年、2023年:ポケマル生産者 畜産物部門1位
2023年:関東農政局「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」ビジネス・イノベーション部門選定
■農業を職業にした理由
両親に結婚を報告した時、創業者の祖父が不当な値段で飼料を買わされて借金が膨らんだり、赤字経営の立て直しをはかった2代目の父が、取引先から数々の嫌がらせを受けていた事実を初めて聞かされショックを受ける。
親の仕事を知ったつもりでいたが、大変な思いをして自分たちを養ってくれていたと知り、築いてきたものを続けていきたいという使命感で就農。
■農業の魅力とは
農業は新しい技術やサービス、異業種での知識などを取り入れることで、成長の余地があるのが魅力です。
地方は人口が特に減っており、将来、地元客だけでは事業が成り立たないと考え、就農直後から、一般的な農家が苦手とするネット販売を始めました。
さらにマーケティングのキャリアを活かして、全国のお客さまに商品の魅力を伝えることに力を入れてきました。
酵母や魚粉、海藻など餌に徹底的にこだわって、自然に近い平飼いで育てた鶏の卵は、臭いがなく、コレステロール値や脂質、カロリーが低くて幅広い世代に支持されています。
私自身も子育て中なので、卵アレルギーのお子さんが食べても、スーパーの卵と比べて症状があまり出ないと感謝の言葉をいただくのが嬉しいです。
■今後の展望
現在の飼養頭数は、ケージ飼いが1万羽、平飼いの鶏は1,500羽で、売上の6~7割はネット販売や直売所、残りの3〜4割は卸売業者です。
今後は餌代の高騰が見込まれるので、鶏の数を10〜15%ほど減らして飼育数を調整し、その分、販路を拡大して、利益率の良い直販比率の向上を図っていきます。
パッケージの工夫で破損率は低くなりました。今後は母の日ギフトなどでテスト販売してきた知見を活かして、プリンやマヨネーズ、タルトなどの加工品の販売を通じて、収益性を上げていきます。
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