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柴海 祐也/柴海農園

法人名/農園名:株式会社柴海農園
農園所在地:千葉県印西市
就農年数:13年
生産品目:米と年間60品目の野菜のほか、6次加工品(ジャム、ピクルス、ジュース、米粉麺など)
HP:http://shibakai-nouen.com/

no.107

400年続く農家の16代目。親とは別経営で若い仲間と新規就農

■プロフィール

 落花生からトマト作りに転業した農家に生まれ、幼い頃から「将来は農業をする」と意識しながら育つ。

 東京農業大学短期大学部に進学し、在学中は農業サークル「緑の家」に所属し、農家に泊まり込んで畑作業を手伝いながら学生生活をおくる。

 卒業後は、愛知県の「渥美どろんこ村」で働くなど、国内で実践的な取り組みをしている農家を半年かけて訪問したのち、農業生産法人国立ファームに入社。

 レストラン「農家の台所」で、店舗の立ち上げや採用、野菜販売などを担当。3年後の2009年に脱サラし、親の農地の一部を借りて、別経営で独立を果たす。

 最初の3年間は夫婦2人で野菜セットの生産・発送と、規格外品を使ったジャムなどの加工を行なっていたが、妻の出産を機に、4年目に料理人を雇用して加工部門を拡大。

 以後、サラダ野菜の生産開始に伴って、スタッフ雇用を進め、8年目の2017年に法人化。野菜オーガニックスーパー「ビオセボン」をはじめ、百貨店や高級スーパーやレストラン、産直サイトなど複数の販路を持つ。

■農業を職業にした理由

 400年続く農家の16代目として、農業を身近に感じながら育ったが、就農を最初に意識したのは、小学生の頃に家庭菜園で初めて作った春菊を天ぷらにして食べたところ、家族が喜んでくれたことがきっかけ。

 東京農大短期大学の在学中に所属した農業サークルでは「種テロリスト」のあだ名で呼ばれるほど種まきが大好きで、愛読書は「種のカタログ」という筋金入り。

 卒業後は経験値を広げるために、国内外の実践的な農家を見て回った後、国立市の飲食店で3年にわたって店舗経営を経験し、2009年に独立。

 農地の一部は親から借りているものの、目指す農業が違うので、経営は別の形でスタート。植物性の有機物を堆肥として、無農薬栽培で年間60品目を生産。単品出荷はせず、野菜セットの形で販売しようと近辺住民へのポスティングやマルシェ出店で知名度を広げる。

■農業の魅力とは

 今の生産規模は8ヘクタール、1区画20~100アール程度の畑を20カ所に借り、圃場ごとに、播種の時期をずらして1種類ずつ異なる作物を育てています。

 いろいろな場所に畑があるので、同じやり方でも出来が悪い畑は、毎年土壌分析を行なって科学的に原因を突き止めるようにしています。

 緑肥を活用した土づくりや、通常の3倍以上の植物性有機物を堆肥にするなど、土づくりには特にこだわりを持っています。

 農業はモノづくりのなかでも、栽培計画を立てて、播種から販売まで、自分がすべてに関われるコンパクトなビジネス。自然相手なので、計画通りにいかないこともありますが、だからこそおもしろいのです。

 僕らのやり方は、年1作とスパンが長い分、クリエイティブな部分も多いので、2017年の法人化以来、正社員は7人、パート12人を雇用しています。多様性のあるチームを目指して、さまざまなキャリアを持つ人を選んでいますが、農業に対する熱意の部分を念入りに見て採用しています。

■今後の展望

 トマト専業農家の両親と比べて、少量多品目栽培は農業分野ではマイナーです。千葉県のなかでも印西市は、八街市や成田市のように特産品がある産地ではないため、いろいろな売り先に対応できるよう品目を増やしましたが、多品目であればあるほど、さまざまな課題にぶつかります。

 規格外品を使ったジャムやピクルスなどの加工品は、独立就農した2009年から、飲食店の空き物件で作っていましたが、2020年に出荷場と一緒に加工場も新設しました。

 コロナ禍で収穫量の3割を出荷していた飲食店の売上は一時的に下降しましたが、現状では回復してきました。またコロナ禍をきっかけに産直サイトでの直販も始めました。

 しかしながら最近では野菜セットの売れ行きも落ち着いています。そこで以前から準備していた有機JAS認証を取得し、オーガニックナス、トマト、玉ねぎ、カボチャの生産販売を始めました。今後は白菜やケールなどにも手を広げていきたいと考えています。

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