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石牧 紘汰/イシノマキ・ファーム(あぼーばら・いしまき農園)

法人名/農園名:一般社団法人イシノマキ・ファーム(あぼーぼら・いしまき農園)
農園所在地:宮城県石巻市
就農年数:1年
生産品目:かぼちゃ 「ダークホース」「白爵」「紅爵」等10種類
HP:https://www.ishinomaki-farm.com

no.189

農業を通じて地域社会をもっと良くしていきたい。就農希望者の支援をしているうちに自分も・・・!

■プロフィール

 神奈川県横浜市出身。舞岡高校を卒業して目白大学で心理学を専攻。

 卒業後は、医療用品メーカーの営業担当として活躍するが、配置換えを機に転職。転職期間中、一般社団法人「イシノマキ・ファーム」を知って、25歳だった2019年に石巻へ移住。

 同ファームでは石巻市と連携して農業担い手センターを担当で、新規就農者のサポートを担当。実際に農業を始めている人たちの気持ちがつかめないことから、自分も就農を経験しようと、市内のかぼちゃ農家の元に弟子入りし、半年かけて週末のたびにかぼちゃ栽培を学ぶ。

 2022年3月からは「イシノマキ・ファーム」の職員として働きながら、兼業で就農へ。石巻では春まきと夏まきの年2回栽培できるので、「ダークホース」という品種をメインに、年間10種類以上のかぼちゃ栽培に挑戦中だ。

■農業を職業にした理由

 大学時代、福島県の矢祭(やまつり)町で、トマトの収穫やイチゴの定植準備などのボランティアに参加する。

 東日本大震災の影響で農作物の販売に苦戦しながらも、地域の復興のために農業を続ける人々の姿に「格好いいなあ」と感銘を受け、その後も毎年矢祭町に足を運んだり、東京都内での野菜販売などを手伝った。

 だが卒業後、就農への一歩を踏み出す勇気はなく、まずは社会人としてのマナーを身につけようと、一般企業に就職。営業職として2年半勤めたが、異動・配置換えを機に子供の頃からの夢を叶えようと転職を決意した。

  インターネットで「農業」と「地域」をキーワードに就職先を探した結果、石巻で農業と福祉を軸に活動する高橋由佳さんが代表を務める「一般社団法人イシノマキ・ファーム」を発見。

 「農業を通じて地域を活性化していく」という理念に惹かれ、就職後は地元自治体と連携して新規就農希望者のサポートを担当。しかし、農地や補助金の取得などの知識は増える一方で、自分には就農経験がないことに悔しい気持ちが募り、ファーム職員と兼務する形で就農を志すことに…。

 石巻市内の生産者を回っているなか、ブランドカボチャを生産している農家と出会った。高齢化が進み生産者が減少していることを聞き、「こんなに美味しいかぼちゃを無くしてはもったいない」と、名人から栽培を学ぶようになる。

 イシノマキ・ファームの休日を利用して半年かけて学んだのち、2022年4月からは、本格的に兼業農家として踏み出した。

■農業の魅力とは

 2022年に立ち上げた農園には、ポルトガル語でかぼちゃを意味する「あぼーぼら」と名づけました。キャッチフレーズは「かぼちゃでつながる輪」。

 僕は、子供の頃から「農村で暮らしたい」と考えていましたが、農業の魅力は生産だけでなく、"多様性”や"自由”にあると思っています。

 イシノマキ・ファームに就職したのも、地域資源である農業を通じて、その地域社会をもっと良くしていこうという理念に共鳴したから…。新規就農希望者のサポートを通じて、就農者を増やすことで地域に還元できると考えたからです。

 かぼちゃ栽培を始めたのは、イシノマキ・ファームの職員として活動中に知り合ったベテラン農家に勧められたのがきっかけです。生産者が減少していることにも直面し、この美味しいカボチャを広めていきたいと思いました。

 かぼちゃは年に2回、およそ5トンほど収穫できるのですが、2022年は水害で1作分をダメにしました。それでも農業は自由なところが魅力です。自分に合う作物を選択し、規模も自ら決め、働いた分だけ自分に返ってくるところが魅力です。

 かぼちゃにしても栽培方法は生産者それぞれで、僕も試行錯誤しながら栽培しています。また、朝日を浴びながら作業し、日暮れと共に家に帰る時間がとても好きです。

■今後の展望

 「かぼちゃで繋がる輪」を体現したく、農の可能性をもっと作っていきたいです。まだまだ、栽培した作物を直接お客様に届けることができていないため、もっとカボチャに対する想いを皆様に知っていただき、繋がっていきたいと思います。

 かぼちゃは年間5トン取れるうち、3/4を農協に出荷し、残る1/4は、SNSなどを通じて消費者に直接販売していますが、将来的には、直販の量を増やし、栽培規模の拡大も目指します。

 今は生産だけでも手一杯なので、取り組むことができませんが、今後はかぼちゃの生産、販売だけではなく、加工品にもチャレンジしていきたいと思っています。

 農業を始めたからには、収益だけにとらわれず、農の底力を感じたいし、非農家で移住者の僕が、新規就農する姿を見せることで、「アイツができるなら、俺も挑戦しようかな」と後に続く若い人たちが増えることを願っています。そのためにもお客さまとの交流や、農業体験など一緒に汗を流すイベントを企画していきたいと思っています。

 僕は今まで10品種以上のかぼちゃを栽培してきましたが、かぼちゃって保存の期間によって、ポクポクした食味からネットリした甘いものにも変わるんです。そのせいでお客さまにはよく「栗みたい」って表現されるのですが、栗に負けるのは本当に悔しい!と思うくらいかぼちゃ栽培に夢中です。

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