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10年後の人事部③

以前から書いている労政時報の特集のまとめのようなものの第三回目。今回は7~10回目。このあたりからあまり面白くなくなってくるが、八木さんの記事は特に面白い。

【第7回:people first 八木さん】

日本企業を取り巻く環境:人財の多様性、人手不足、テクノロジーの急速な発展。

その中でも未だに残っている日本企業の雇用慣行:新卒一括採用、定期異動、定年制。

⇒激化するグローバル競争の時代を勝ち抜くことは難しい。口では戦略人事といいながら、実際は50年以上前の仕組みや制度を使い続けているのが日本の人事。

戦略人事とは、経営戦略と人材マネジメントを連携・連動させることで競争優位を目指そうとする考え方であり、同時にそれを実現するための人事部門の機能や役割の在り方を意味する。

これまでの仕組みは、さまざまなルールを設けて社員を一律に管理するもので、それは社員の手枷足枷になるようなものであり、自由度を奪うようなもの。これでは創造性の時代に勝てるはずもない。

あるポジションが空いたら、そのポジションに就きたい人に手を挙げさせ、手を挙げた人を担当のマネージャーがインタビューして、一番ふさわしい人をそのポジションに就ける。人財の登用にいちいち人事が口を挟む必要はない。

マーシャル・ゴールドスミス「実力とやる気と自信がある人材を育て、そういう人材に仕事を任せるというのが、これからの組織のあるべき姿である」「大事なことは、安心して仕事を任せられる人材を育てて、仕事を任せることです。そういう組織をつくることができれば、仕組みや制度で社員をマイクロマネジメントする必要はなくなる。」

豊かな創造性が求められる現代において全員をお同じに扱うことに対して、非常に大きな違和感を持たざるを得ない。

人事の使命を担当者が自覚しているか。自分がいるから、この会社は将来にわたってサスティナブル存続できるんだ、というくらいの気概を人事担当者が持たないといけない。

言葉の魔術師になれ。言葉によって、人を勇気づけ、人の行動を変え、能力を引き出すことができるか。社員を管理するのではなく、人事担当者にはこういった力が必要。

創造性の時代。今後は脳科学や認知心理学、行動経済学などが急速に発展。人間心理が科学的に明らかにされる。人事がいかにこうした知見を活用できるかがポイント。科学的知見を人事が積極的に学び、科学的な人事を目指していく姿勢が重要。

【第8回:IBM 山口さん】

基本「Watson」の話。

IBMでは、人事管理は、基本的に現場の管理職に委ねている。その現場の管理職をサポートするためのツールを提供している。

人事の仕事は、大きく①制度の企画、②制度の運営、③意思決定の三つに分けられる。制度の運営は今後AIによって、自動化され、結果として、意思決定を現場に委ねることになる。そうなると人事の重要な役割は、「日々の人事管理支援」や「現場の人事戦略支援」になってくる。

データを取り扱う際の課題意識やデータを使って課題を解決するためのセンスはますます重要になる。(データそのものを分析するリテラシーではなく)

またデータだけでは、測り切れない人間の感情を理解したり、共感したりする「エモーショナル・インテリジェンス」も同じくらい重要になる。

【第9回:パーソル総合研究所 佐々木さん、西尾さん】

CoE、BP、OPE、からなる組織モデルこそが、10年後の人事の基本形。

オールド3K(経験、勘、記憶)⇒ニュー3K(客観性、傾向値、記録)

これまでは、パレートの法則により、上位20%を把握し、育成し、モチベーションアップを図ればよかったが、雇用形態の多様化、複雑化が進むなか、上位20%を把握すること自体が困難になってきている。また、把握できたとしても、人事の全体最適をはかることは期待できなくなりつつある。(創造性の時代であり、それ以外の人たちをきちん把握、理解しなければ全体最適が図れない状況)

【第10回:デロイトトーマツコンサルティング 山本さん、小野さん】

ノーカラーワークフォース、人間と機械の協業

AI、RPAなども労働力とみなして、人事がマネジメント。


ここまでで10回なので、全20回の折り返し。ただ、この後のシステムベンダーの話はそんなに大したことがないので、割愛しながら進めていきたい。こうやってまとめていきながら、最後に自身の考えをまとめて書くつもりだけど、だいたい共通している課題のようなものは見えてきた気がする。

背景なんかはみなさん共通。そこからの出口もある程度共通。なのにも関わらず、日本企業の人事が本当の意味で変化できていないのは、なぜなのか。予想できないVUCA時代のなかで、明らかに予想可能な未来もある。さらにそれに対する答えもあるように見える。なのに、まだ問題だけを叫び続けて、その場しのぎの対応になり、「忙しい忙しい」と言っているいまの人事、及び、経営は結構黄色信号状態だと思う。

八木さんが言っていたとおり、捨てる決断をすればいいだけ。正直、今の人事の仕組みを一年間止めたところで、大きな経営上の問題はおきないと思う。そう、機能がなくても、それなりに回るのは回る。本当の意味でこれからの価値を考えるのであれば、それこそ、給与以外のオペレーションは全てとめて、本腰を据えて、考える時期なんじゃないか。

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