授業ネタとネタ話「イラク人のメンタル」

猛威を振るっているコロナですが、いつ頃収束するのでしょうか・・・個人レベルではデマに流されず、出来ることに地道に取り組む、国レベルでは台湾での対応策などを見習って、効果的な対策をどんどん推し進めていってほしいところです。

さて、そんなコロナについて先日イラク人のA君と話をしました。

彼とはイギリス大学院留学時に同じ寮に住んでいて、帰国した今も連絡を取り続けています。

コロナについては「今のところ個人的な影響は特にないけれども、経済への影響が心配。旅館が廃業になったり、観光業には影響が出ていて、今後失業者が出るかもしれない。失業率が上がると自殺も心配。」と、とにかくこれからが心配ということを話しました。

「心配するなよ。乗り越えればビジネスはまた再開するさ。」

心配心配、と言っていた私に彼が返してくれた言葉です。特別な言葉ではないけれど、私にとってはとても力強く、励まされるものでした。なぜ彼の言葉がとても強く印象に残ったのか。

彼の前向きな発言の裏には・・・

以前彼が教えてくれた話です。

親戚で集まった時、彼の顔を見て泣き崩れた人がいるそうです。その人の兄弟は突然行方不明になってしまい、恐らくISに殺害されてしまった、と家族は考えていました。そして、行方不明になった人は、私の友人によく似ていたそうで、残された家族は友人を見ると失踪しまった彼を思い出して泣いたのだと。

イギリスで一緒に過ごしていた時には、こんなこともありました。

彼はイギリスにいた時に左ひざに大けがをして、ごついサポーターをつけて松葉づえを使って歩いていた時期がありました。一緒に出掛ける際に、わざわざサポーターをズボンの上から見えるようにつけていたので、私は何も考えずに「ズボンの下につければ?」と言いました。すると

「中東の顔をしているから、いつテロリストだと言われるかわからない。本当に怪我をしているんだとアピールしないとね。」

日本人の私にとって・・・

ISの脅威や残忍さはテレビの向こう、どこか遠い世界の話。自爆テロも国外の話。万が一そんなことがあったら、巻き込まれたくない。

でも、彼は、親戚がISの被害者になってしまったのかもしれない。

彼は自分がテロリスト扱いされる心配をしなければいけない。

でも、そんな経験をしてきても、彼は私の何倍も前向きで、冗談が好きで、ユーモアのセンスが抜群な人です。私が悩んでいた時はよく励ましてくれました(大喧嘩をした時もありますが…笑)。

もちろん個人差はあるだろうし、彼のメンタルがずば抜けて強靭なだけなのかもしれません。けれど、もしかしたら、人は自分の力ではどうしようも出来ない困難に立ち向かわなくてはいけないとき、前向きになることを生きぬく知恵にするのかもしれない、とも思うのです。

辛い経験をすべきだ、というわけではもちろんないけれど、ちょっと辛くなると彼のことを思い出して、「この程度の問題なら、まあ、なんとかなるか」と思うようにしています。

若い世代にぜひ日本を出て様々な経験をしてほしい

「海外に出ると自分の視野が広がる」と色んな人が言います。私にとってA君との関りは、確実に自分の視野を広げる経験の一つになりました。これからますます海外との関りが飛躍的に増えるでしょう。ぜひ若い世代の人々に世界に飛び出して、自分の肌で、色んな経験をしてほしいと思います。

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