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アレルギーがひどくなり湯治場に一週間滞在した話

昔の話をしたいと思います。

中学生の頃の夏休みの事、アトピー性皮膚炎がひどくなり薬を飲んでいましたが、副作用で“眠くて 眠くて”一日のほとんどを寝て過ごしていました。

両親はどこからか「アトピーに良く効く湯治場の宿がある。」という話を聞いてきて私とおばあちゃんを滞在させる事を決めたのです。こうして、私は一週間湯治場に滞在する事になりました。

食べ物は心に効く

人里離れた山奥にあるその宿は、とても古い建物でした。

「ここに一週間いなくちゃならないのー!」という不服な顔を両親に向けましたが、その視線は完全に無視され、帰りたいという意思表示は惨敗し粉々に。私は暗い気持ちがしていました。父と母は宿の部屋に入ると一周見渡し、「それじゃ」と言ったのでした。

夕食時になり食堂に行くと、心ひかれるメニューがありました。“もつ煮込み”です。食べた事は無いけれど、お店の看板で見た事はありました。「これ!食べてみたい。」とおばあちゃんに言い、皿を取ってテーブルに持って行きました。匂いは何だか独特な匂いがします。「どうかなー?」と食べてみると「おいしい。」「好きかも。これ。」何だか、美味しいのです。独特な匂いも食べてみると気になりません。「んー。これ食べられるなら、ここにいても良いかも。」と思ったのでした。その後は滞在中、毎夕食もつ煮込みにしていました。まるで飲兵衛のおやじのようです。( ´∀` )

酒のつまみとして大衆居酒屋にあるイメージのもつ煮込みですが、野菜も入っていて、ミネラル、ビタミン等の栄養が取れる栄養豊富な食べ物です。食べ物が心に効いたのですね。元気をくれたのです。

何の下調べも無く、一人で山に登る

さて、湯治場の生活は暇で、暇で仕方がありません。周辺には自然しかありません。宿には娯楽設備もありません。宿はお年寄りばかりでしたから、おばあちゃんはお友達を作って楽しそうでしたが、私はとても暇でした。

ある日、散歩をしていて細い登山道の入り口を見つけたのです。立札が立っているので登山道に間違いはありません。私は暇つぶしの為に登ってみる事にしたのです。

どのくらい登ったかのか覚えていないのですが、見晴台が見えて来ました。たどり着いて、呼吸を整えようと顔を上げて景色を見てみると目の前に雄大な富士山があったのです。私はその時知らなかったのですが、その山は富士山の眺望抜群の絶景が見られる山だったのです。

その山は“杓子山”という山で、山頂からは360°パノラマの景色が広がる山ですが、私が登った時は霧が濃くて山頂から富士山は見られませんでした。しかし、野生のシカが何頭もいて何とも幻想的だったのを覚えています。

下山は何度も転び、途中おしりを着いて滑りながら降りました。登山用で無い靴での登山は非常に危険です。やめましょう。私の様な事をする人はいないでしょうが。

温泉のおかげと自然に触れた事により、湯治場から帰る頃には体も心もすっきりしてアトピーもきれいな状態に戻っていました。お父さん、お母さん、冷たい感じで書いてしまって御免なさい。両親はいつでも私のアレルギー体質を心苦しく思ってくれています。自分を心配してくれる存在がいるって事は本当にありがたいです。

最後に。温泉情報

湯治場は山梨県“不動湯”といって、今でも秘境の湯治場として訪れる人が多くいます。特に皮膚病に効く事で有名です。

↓下記情報ページです。

昔の記憶をたどりながら書いているので、記憶違いの部分があるかもしれません。今は宿の様子もかなり変わっていると思います。

山登り後に日帰り温泉も出来るみたいなので、機会があれば行ってみてはいかがでしょうか。

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