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3度目の引っ越し。寂しさと、次への期待と、何とも言えない「エモさ」。

人生3度目の引っ越しを経験した。
1度目は実家からの移動だったため、「部屋を空にする」必要があるのは今回で2回目。前回の引っ越しの際に考えたことを見返しているが、そうそう考えていることは変わっていない。今回はさすがに距離の問題で親に来てもらうことは難しく、自分1人で荷造りやら掃除やらを行ったのだが、やはり孤独感は否めず、改めて「掃除を手伝ってくれたことのありがたさ」を実感した。

「引っ越し」という出来事は、これまでの日常が非日常になり、非日常が日常になるというちょうど区切り目にあたるように思う。まだ2度しか経験していないけれど、空っぽになった部屋を見ると、様々な感情が湧き出してくる。このミックスジュースのような感情をあえて一言で表すとすれば、文章で書くのはやや抵抗のある言葉ではあるのだが、「エモい」というもの以外当てはまらないだろう。

「学生」から「社会人」へ。「1人暮らし」から「シェアハウス」へ。「関西」から「関東」へ。この節目は今後の人生を考えても、片手に入るほどの転機であることはほぼ間違いない。立場の変化や環境の変化を経験できたのが、この場所で本当に良かったと思う。

内見時、備品の充実具合やラウンジのおしゃれさに驚愕したシェアハウス。思えば「社会人1日目」をともに過ごしたのもこの部屋だった。僕らの1つ下の後輩からは出社で研修が行われるようになったが、僕らの時代はオンライン入社式で、「社会人だ」という実感があまりわかなかったあの日を今でも覚えている。その後、営業で成果を出せないときにも、上司の期待に応えられないときにも、寝て、食べて、ときには飲んで、次の日は元気に出社した場所。いろいろな感情を持ち帰ってきて、ひとつひとつの感情に向き合って。そんな部屋で過ごした「感情タンク」はいつのまにかたぷたぷに溜まっていたようで、堰を切って一気に流れ出してくる。

思い入れがあるのは部屋だけではない。よく歩いた場所。行きつけのスーパー。安くておいしいパン屋さん。ちょっと遠くても通っていた図書館。マラソン前にトレーニングした河川敷。この2年間で本当にいろいろな場所に行った。きっとそれらの場所を忘れることはこの先ないだろうし、偶然近くに来た際には思わず寄ってしまうような、そんな「思い出の場所」が増えていくことはとても幸せなことだ。

改めて、こうやって書いていると、なんとなく懐かしいような、寂しいような、そんな感情が襲ってくる。そして、そんな感情を得られる機会は、日々の生活の中だと案外少ない。引っ越しは、これまでに過ごした場所、そこで抱いた感情を振り返る絶好の機会だ。

だからこそ、「引っ越し」という機会を、僕は前向きにとらえている。
もちろん、部屋の掃除は大変すぎるし、カーペットの汚れが取れないなどと心配するし、行政やサービスサイトの変更手続きも面倒だ。新たな場所での人間関係や治安など不安はつきない。お金も時間もかかる、そんなネガティブイメージがどうしても付きまとうもの。だけど、それ以上に「思い出の場所」が増えていくことにわくわくするし、知らない世界に触れられることは楽しみなもの。

実は今回は前回ほど「大きな」変化ではない。職場は同じで関東圏だし、行こうと思えばまたすぐに行ける距離だ。だけど、社会人のスタートを切った、あの部屋にもう戻ることはない。そう考えるとなんだかんだちょっと寂しいのだが、そんな「ちょっとエモい気持ち」はいったん段ボールに大切に詰め込んで、今はスーツケースの中の「わくわく」とともに、新たな地域での生活を前向きに楽しんでいきたい。


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