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【ぶらり読書の旅】愛するということ<2021年5冊目>

こうさかです。(2020年読書リスト)
読んだ本の感想を、音声と合わせてお届けします。

2021年<5冊目>の読書。

<書籍名>
愛するということ
(著者:エーリッヒ・フロム)

手に取ったきっかけ

『見るだけでわかる!ビジネス書図鑑 これからの教養編(著:荒木 博行)』
にて紹介。

著者 荒木さんのVoicy番組「book cafe」での放送

本の概要

「愛こそが現実の社会生活の中で、より幸福に生きるための最高の技術である。」と著者のフロムは言う。にもかかわらず、
愛について学ぶ必要があると考えている現代人はほとんどいない。

愛の理論と実践の習得をすすめる本書。
原著1956年、世界的ベストセラー。

印象に残った内容

①「愛する」技術を学ぶ必要性

心の奥底から愛を求めているくせに、ほとんどすべての物が愛よりも重要だと考えているのだ。成功、名誉、富、権力、これらの目標を達成する術を学ぶためにほとんどすべてびエネルギーが費やされ、愛の技術を学ぶエネルギーが残っていないのである。
【第1章 愛は技術か P19】

人は「愛される」ための努力は惜しまないが、「愛する」ことにどれだけ注力しているだろうか。

富や名誉といったもので自分を魅力的に見せ、愛する「対象」さえ見つければ、愛を育むことができると思い込んでいる。しかし、そうして繋がった関係は長続きせず、失敗を繰り返す。

自分を魅せることへの努力は相当なエネルギーを要し、気付けば自分を消耗させる。そこから脱却して、心を豊かにする「愛する技術」を学ぶ必要性を本書の冒頭から感じる。

②「愛される」から「愛する」ことへの変化

私は無力だから愛される。私は可愛い子だから愛される。(中略)
子どもはそうした状態を乗り越え、愛することを通じて、愛を生み出す能力を自分の中に感じる。幼稚な愛は「愛されているから愛する」という原則にしたがう。成熟した愛は「愛するから愛される」という原則にしたがう。
【第2章 愛の理論 P68】

子どもは親から無償の愛を受け取っている。

成長の過程で自分と周りの区別ができるようになり、親から「愛されている」ことに気付く。最初は親から与えられる一方であるが、似顔絵をプレゼントするなど「贈る」行為を通じて、相手に与える喜びを覚える。
そういった経験から、「愛される」よりも「愛する」ことの方が喜ばしいことを学ぶ。

「愛する」ことを通じて、より豊かな人格が形成される。
自分が「愛する」技術を心得ておくことは、子どもが育っていく過程で大きな影響を与えること、肝に銘じておきたい。

※以前読んだ書籍『世界は贈与でできている』
「贈与」の概念を思い浮かべる。

③自分の人生の問題を自分で解決する

子どもにかける期待は、まず、自分の人生の問題を子どもの人生に投射することによって決まってくる。自分の人生に意味を見出せない人は、そのかわりに子どもの人生に意味を見出そうとする。しかし、それでは自分の人生にも失敗するし、子どもにも誤った人生を送らせることになる。
【第3章 愛と現代西洋社会における崩壊 P153】

「愛する」技術を持たないことで、現実の関係において「愛」を感じることができず、空想のなかに経験を求める。

自分の人生で解決できなかったものを何かに投射する。
映画でのラブストーリーに感情移入し、スクリーンに映る「愛」を経験するように。

それは、子どもにかける期待となってあらわれることもある。
自分の人生の問題を子どもの人生で成し遂げようとする。それが過度な期待となると、支配的になり怖い。

愛する技術を身に付けることは、自分の人生の問題に自分で向き合うことにつながる。

感想

子どもが生まれたことをきっかけに、本書を手に取った。

子どもに捧げる愛。
そして、子どもから受け取る愛。

「愛する」とはどういうことだろう?
子どもの成長過程において愛の大切さを様々な理論を通じて学び、
愛する技術を身に付けることは、その対象問わず必要であることを知った。

本書を読み進める中で、
自分自身も体験としてわかる部分、よくわからない部分、色々あった。

自分が人生経験をどれだけ積んでいるかで、
愛の成熟度をはかることができる。

今後の人生、経験を積むたびに新たな気づきを得られるであろう。
時が経って、また読み返したい。

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