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牛乳キャップの違いと資料的価値

◯です。この記事は過去のブログで公開していた記事のリライト記事です。(2020/09/28の投稿)

それを二つの記事に分割してこの場で公開していきます。

今回は牛乳キャップの様々な違いと、資料的価値を過去と現在のキャップを見比べながら伝えていこうかと思います。

モノは日々進化していきます。

ユーザーに喜ばれるために。長く愛されるために。忘れられないために。

それは、牛乳キャップも然りです。

牛乳という製品の歴史を物語る資料、そして牛乳の顔としてのデザイン。

牛乳の進化と平行して、牛乳キャップも多くの人に長く愛されるために進化しています。

その進化の過程を見落とさないため、そして忘れないためにも深く観察して見ましょう。


僕は大前提として、牛乳キャップに資料的価値を見出しています。

資料的価値とは、どのような意味なのかということも頭においてこの記事を読んでみてください。


表記の違い①

今回は、ぼく自身が収集した牛乳キャップを見比べて考察していこうと思います。

こちらが収集した牛乳キャップです。

蒜山

蒜山酪農カフェ・オ・レの2013年キャップ(左)と2020年キャップ(右)です。

ここから、どこが進化したでしょうか。

答えは、無脂乳固形分の値です。

よーくみてみると、2013年から2020年にかけて、1.6%減少しているのです。

無脂乳固形分とは、水分と乳脂肪分以外の成分のことを指します。いわゆるタンパク質やビタミンなどがこれに該当します。

じゃあこの無脂乳固形分は味にどのような違いをもたらすのかというと、甘みです。

無脂乳固形分を増やすことで、より牛乳らしさが引き立つのだとか。

ちなみに牛乳には、無脂乳固形分が8%以上入っていることが規定されています。しかし、この蒜山酪農カフェ・オ・レは乳飲料のため、8%以上という決まりはありません。

話がそれてしまいましたが、この場合だと無脂乳固形分が減ったということになります。

無脂乳固形分は風味に影響を与えます。となると、蒜山酪農カフェ・オ・レは牛乳の風味が若干減り、コーヒー風味が増えた、ということになります。

時代が経つにつれて、大人の味になっていったんですね。

自分も牛乳も大人になっていく。

この蒜山酪農カフェ・オ・レは、人の味覚の成長に合わせて改良されたってことも考えられると思いませんか?


表記の違い②

葛巻

くずまき高原牛乳(上段:左・旧 右・新)と、くずまき高原コーヒー(下段:左・旧 右・新)の2種類です。

一方は2020年に入手したものなのですが、片方は入手時期が不明です。

これじゃ変遷がわからないじゃん!となるのですが、参考までにぼくが収集を始めたのが2004年頃なので、2004年以降〜現在に到るまでの変遷としてざっくり見ていただけると幸いです。

まずはくずまき高原牛乳から見ていきましょう。

もはや間違い探しみたいになってきました。

消費期限から賞味期限に記載が変更、電話番号の削除、そして生乳100%の横に(国産)の文字が追加されています。

消費期限は、その日までに早く消費しなければならない期日であり、一方で賞味期限は、美味しく消費できる期日ですね。

特に成分には変更がないのに、なぜ消費期限から賞味期限へ変更したのでしょう。

答えは技術力の進歩だと考えています。

くずまき高原牛乳は、岩手県乳質改善大賞を2年連続で受賞しています。

詳しくはこちら

このような製法の進化が発達した経緯により、より長持ちさせることに成功し、消費期限から賞味期限に表記を変更したのだと思われます。

現在は75度15分間殺菌、ノンホモジナイズド製法にて製造されているようです。殺菌方法はどちらのキャップにも同じ記載がされていたので、ノンホモジナイズド製法の進化か、あるいはそれ以外の技術の進歩があったことがわかります。

電話番号の削除は、表記情報の整理の一環でしょうか。

表示社名の記載は、住所あるいは電話番号、あるいは両方という決まりです。

なので住所のみでも何ら問題は無いのです。

最後に国産という文字。これは、2018年11月に改定された原料原産地表示制度において記載が規定されたための追加です。

これにより、牛乳も国産の文字を表記しなければならない義務ができたのです。

なお、この規定は現在経過措置期間であり2022年までの表記が求められています。国産表記の無い牛乳キャップは、後々に歴史的資料価値を得るかもしれません。

コレクター的にも、レアキャップになるかも?

さて、次にくずまき高原コーヒーの違い。

このキャップには、相違点がたくさんあります。

・公正マークの追加

・国産の表記追加

・消費期限→賞味期限

・電話番号の削除

・コーヒー抽出液→粉末コーヒー

・乳脂肪分 2.0→1.5%

…こんなにありました。

ただ、この中でも消費期限から賞味期限への変更、電話番号の削除は先ほどのくずまき高原牛乳と同じ理由だと思われます。

公正マークは、飲用乳の表示に関する公正競争規約により、正しい表示がされている製品を対象につけられます。いわゆる安心のマーク。

認定審査が受かったということです。安心の証明の進歩もわかります。

次にコーヒー成分の変更。抽出液から粉末に変更されています。

抽出液であることと、粉末であることの違いについて定かな情報は得られなかったのですが、粉末に変更されたのは、殺菌処理後にコーヒー成分を追加できるというメリットがあるからでは無いか?とぼくは考察します。

コーヒー味の牛乳を製造する際、抽出液は殺菌処理の前に入れるそうです。そこで抽出液は、乳成分の凝固や沈殿を防ぐためにpHの調整をするようです。しかし、その影響でコーヒーの香り成分は失われてしまうようです。

一方、粉末はミルメーク然り飲める状態の牛乳に溶かすことができます。殺菌処理後に混ぜることで、香り成分を維持しつつコーヒー風味を出せるのでは無いでしょうか。

あくまでも推察なので確かでは無いですが、このような考察で落ち着きたいと思います。

最後に乳脂肪分の変更。

乳脂肪分は、牛乳のコクを増します。

少量ですが減らしたことにより、コーヒーの風味を高めているのです。

このように、見た目はそこまで差異は無いように見えても、違いはよく見るとたくさんあるんです。進歩のあかし。


次回に続きます。

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