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特許法 判例 製パン器事件 平成8年(ワ)第12109号 大阪地裁


(1)間接侵害の「のみ品」

 タイマー機能を使ってパンを焼くと特許発明を実施することなる。一方、製品には、タイマー機能を使用する方法と、タイマー機能を使用しない方法とがありました。裁判所では、タイマー機能を有する製品を購入した使用者が、製品を「タイマー機能を用いない方法でのみ」使用し続けることは実用的な使用方法であるとはいえないと判断し、間接侵害を認めています。

 より具体的には、特許法101条2号が間接侵害となる範囲をその発明の実施に「のみ」使用する物(専用品)の生産等に限定したのは、そのような性質を有する物であれば、それがが生産等される場合には特許権侵害を誘発する蓋然性が極めて高いからです。したがって、それら専用品の生産等を規制しても特許権の効力の不当な拡張とならないと解されます。その発明の実施に「のみ」使用する物とは、その物に経済的、商業的又は実用的な「他の用途がない物」であると解されます。

(2)外国への譲渡目的の「のみ品」

 間接侵害の「のみ品」の実施は、日本国内での実施に限られます。外国で使用されるものにまで特許権の効力を拡張すると、日本の特許権者が本来当該特許権によっておよそ享受しえないはずの外国での実施による市場機会の獲得という利益まで享受しうることとなります。これは、不当に特許権の効力を拡張することになるからです。


(3)不明点、課題

 経済的、商業的又は実用的な他の用途がない物の具体的定義がなされていない。


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