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Color

お前は何色だ?
いつだろうある日突然そう聞かれた。それは親からだったか、それとも学校の先生からだっただろうか、確かではない。
けれども、その日以来僕は毎日その質問をされ続けた。
先生はどちらを選ぼうと君の自由だと言った。彼らは異様に自由を強調した。自由だ。自由だ。自由だ。と

けれども僕には分からなかった。

学校では次第に友達が、色を選び始めた。その数が増えるたびに僕は焦りを感じた。それはなんの焦りかは分からなかったけれども、居心地が悪かったのは確かだ。

うちでは親が同じ質問を繰り返した。
彼らはアドバイスらしきものをくれた。けれども、それらを選ぶ意味なんて教えてくれなかった。

それでも、僕は決められなかった。両親はついに僕を病院へ連れていった。
けれども、医者にも分からないと言われた。


そして、ある時僕は学校で唯一の”色のない”生徒になった。
先生はいつしかその口調を強めながら、僕に迫ってきた。お前は何色か?
僕は分からないと答えた。
すると僕はぶたれた。
彼らは、彼らより歳をとり、髪の少なく、小太りで、偉そうな人のところへ僕を連れて行った。
彼は僕にまた質問した。
お前は何色か。どちらを選ぼうと君の自由だと。
そしてこういった。
君がどちらを選ぼうとそんなの正直我々はどうでもいい。問題は君が選ばないことだ。と


僕は選ぶことが怖いのだ。


気づくと、そこには親もいた。彼らの憐れみの視線が痛かった。

僕は答えた。

その瞬間、皆が僕を褒めた。両親も安堵の表情を浮かべ、教師もホッと肩を撫で下ろした。
僕もなんだか嬉しかったのを覚えている。やっとこの状況から逃れられる。やっと自由になれると。

それからしばらく時間が過ぎた。僕は恋をし、ある女性と結婚した。

もうじき、僕たちの子供が生まれる。
そして僕はいつの日か彼女にこう聞くのだろう。
君は何色なのか?と。

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