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夢で授かった金言

「死んでからお参りに来たがる人はほんとうの友達ではないから、そんなの断ってしまいなさい」

 と、夢の中で誰かに言われた。
 真理だと思い、すぐダーリンに伝えた。ワタクシが死んだ後に誰かがお参りに来ると言っても、すべて断ってほしいと。

 「どうして」と彼が尋ねるので、夢の中で言われたことと、夢の中で言われたことであることを、正直に伝えた。そして、付け加えた。
 「だから、もしもワタクシが病気で入院して余命いくばくもないとわかったら、ワタクシが会いたいという人には会わせてほしい。手間をかけるけれど、その人に連絡してほしいな」

 ダーリンは少し考えるような間を取って、「誰に言われたのか知らないけど、確かに理に適ってるな」と、答えた。

 ワタクシの夢の中でこれを言ってくれたのは、誰だったのか。残念ながら、わからない。この夢について覚えているのは、この言葉を言われたということだけだ。補足するなら、この人はおそらくは男性だった、くらいだ。それもぼやけているのだが。

 夢の中の誰かが授けてくれた言葉だが、目から鱗が落ちたような新鮮さを感じた。正しく金言。

 だから、改めて思った。「いつかまた会いたい」と思っている人には、積極的に会う努力をしなくてはならないと。ぼんやりと「また会おうね」と言っているだけでは、いつまで経っても「いつか」は来ないのだ。そうして、二度と会えないのだ。

 蛇足だが、ワタクシはダーリンよりも長生きできる自信を持ち合わせていない。彼はワタクシよりも少しばかり年長だし、この国の平均余命は女性の方が遥かに長いのだけれど、それでも、ダーリンが事故にでも遭わない限り、賭けにもならないくらいの確率で、ワタクシは先に死ぬだろう。

 遺伝子が違い過ぎる。

 彼の親戚縁者と、ワタクシの親戚縁者とを比べると、生物学的分類が異なるのではないかと思うほど、彼の親戚たちは長命なのだ。
 だから、ワタクシはこの金言をダーリンに託すのだ。

 会いたいとか、言いたいとか、相手があってこその欲求は、当たり前だが相手がいてこそ果たせるものだ。死んでから墓に向かって吐くくらいなら、生きているうちに吐き出したい。

 


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