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「大阪の日本画」再び@大阪中之島美術館

本日(3月20日)、明日が祝日の月曜日でしたが、せっかくなので有休を取って「大阪の日本画」を観に、大阪中之島美術館に行ってきました。
本来、月曜日がお休みなのですが、本日は開館してました。この日に休み取る人を見越してでしょうか?ありがたい…

前期に行ったのですが、後期に大好きな作品が出展されると知り、これは行くしかないなと思ったわけです。

因みにランチは最近見つけた「IL BECCAFICO」に行ったのですが、相変わらずこれが1000円と思えない素敵なランチでした。
ランチは1種類しかないのですが(ボリューミーら前菜&パスタ)、めちゃくちゃオススメです。ついでに予約をオススメします。

全体的な感想

平日だったせいか、前回よりは人が少なくゆったりと見れました。

大阪が経済的にとても豊かだったのがよく分かる作品群。
モデルが着ている着物が絞りがいっぱいな豪奢なものというだけではなく、モダンな雰囲気を感じたり、なんだか根底に流れる明るさみたいなものを感じました。

例えば生田花朝が描く大阪の川は、とっても明るい青色で、その上に浮んだ船に乗り込む人々は愛嬌のある顔をしていて、あっけらかんとした雰囲気を感じます。

文人画も、教養人がすすっと描いた感じとは程遠い、ものすっっっごいエネルギーを感じました。なんというか見ている内に呑み込まれそうな、正直、こっちがぐるぐる巻き込まれて気分悪くなりそうな、そんな勢いがあってちょっと他で見ない感じ。

改めて、東京や京都と同じように、「大阪画壇」という一つのジャンルがあるなと感じました。
対抗意識とかではなく(そもそも私は大阪人ではないんですが)、東京や京都とはまた違った雰囲気の作品群だった気がします。
地理的に近い京都と比べても、あんなごてごてとした(いい意味で)絞りだらけの着物とか、あんまり見ないような…

また、大阪には女流画家が結構多かったみたいで、名前だけでは判断がつかないものの、キャプションで画家の説明を見ると「〇〇の長女」などと書かれており、「女性か!」となることしばしば。
船場の商家のお嬢さんとか、教養として絵を習うことが多く、そこから画家になることもままにあったよう。
12月には「女性画家たちの大阪」という展覧会が開催されるようなので、そちらもとても楽しみになりました。

本日のBest:北野恒富「いとさんこいさん」

後期も行かなきゃ!となったのは、この北野恒富の「いとさんこいさん」を見たさからでした。
実は、2017年にあべのハルカス美術館で開催された北野恒富展でこの作品は見たことあったのですが、めちゃくちゃ好きだったのでもう一度!となったわけです。

いや~~~~何度見てもいいですな~~~
本当に素敵…
これだけで来た甲斐あった。

”いとさん””こいさん”は船場の商家で使われていた船場言葉。
いとさんは”お嬢さん”を意味し、こいさんは”小さいいとさん=小いとさん”が縮んでできた言葉。
なのでここに描かれているのは、お姉ちゃんと妹ちゃんなのです。

2人とも柄が同じ着物を着ていますが、お姉ちゃんは黒地の着物できちんと座っており、妹ちゃんは白地の着物で、なんと寝っ転がっています。しかも下駄を放り出して。

2人の表情がまた素敵で、お姉ちゃんはちょっと恥ずかしそうにそっと微笑んでいて、妹ちゃんは頬杖ついて口をきゅっと結んでいます。
お姉ちゃんはおっとりとした優し気な感じなのに対して、妹ちゃんは強情っぱりで甘えん坊な感じが出ていて、本当に秀逸。

あまりに可愛いので、所蔵元である京都市京セラ美術館の作品紹介ページ貼っておきます。是非見てください!↓

あーかわいい!

印象的だった作品

「いとさんこいさん」への愛を叫んだ後ですが、フォローしておくと、これだけが良かったという訳ではありません。
ということで、その他印象的だった作品を、ほぼ自分用メモレベルで付け加えておきます。

北野恒富「護花鈴」「淀君」「茶々殿」
同じ人物を描きながら、それぞれ違う年代の彼女を描いたからか、3つとも全然印象が違った。
因みに「護花鈴」というのは、桜に鳥が止まったりなんかして花を散らさないように、鳥除けとしてつけた鈴とのこと。桜と鈴って、なんだかとても風流な組み合わせだなと思いつつも、顔が怖いのよ…

菅楯彦「春秋難波人 堀江阿弥陀池」
正直なところ、菅楯彦の屛風絵などはあまり好きになれなかったのだが(顔が…)、こういったもう少し気楽な感じの絵はとっても好きだった。
この絵は隅から隅までとても可愛くて、一生懸命拝んでいる若い母親らしい女性の隣で子どもがわーわーと騒いでたり、仲良しな二人の女の子が歩いていたり、碁を打っているのをもう一人が覗き込んでいたり…
ほのぼのした雰囲気で、いつまででも見てられる。

菅楯彦「南郭春宵」
こちらも上と似たような作品だが、もっと大きい。
全体的に黄色っぽい地に、薄い水色が空に敷かれている。柳の柔らかい緑色(まだ夏の柳のように真緑ではない)、桜がやさしい色を出しており、空には月がぼんやり浮んでいる。
その中を人々がのんびりと歩いている感じが、春の穏やかで優しい雰囲気を出している。

内田稲葉「浪速天神祭船渡御之図」
前期もあったけれどもその時は感想書いていなかったので。
整然と並行で並んだ無数の船が、たなびく煙やのぼりの曲線を強調するようで、もしくは曲線が船の直線を強調しているのか、画面にリズムを作っていて面白い。

庭山耕園「白雁鶏頭図」
雁というよりなんとなくアヒルっぽい雰囲気を感じるのは、まわりの花が鮮やかな色で、どことなくメルヘンチックな雰囲気を出しているからか。
割と小さくまとまっている感じがしたけれども(もしかしたら隣の鷲の絵がド迫力だったからかもだけど)、船場の商家で飾られたと考えると、部屋のいっかくがぽっと明るい雰囲気を出しているのが想像できて、この規模感がいいのかもと思った。

中村貞以「夏趣二題」
最初の方に飾られていた中村貞以の作品と比べると、同じ人が描いたと思えないくらいの作風の違い。
モダンな髪型をした女性が、外国の女優さんが載っている雑誌をめくっているのと対象に、その前では三味線を弾いている女性が配置されている。でもその三味線を弾いている人の袖口を見ると、レースの襦袢を着ているのが見えてモダン。何気ない演出がかっこいい。
難を言えば、顔が意地悪そう…

中村貞以「猫」
かわいい!
若い女性が黒猫を抱いている。女性は白いレースの洋服を着ている。
真っ黒な髪の毛と黒猫、白い肌、白いレース、白い靴下、そしてピンクの頬と首元のピンクのリボン、と色数を最小限に留めている。それが彼女の清楚な感じを出している。また頬とリボンのピンクが初々しさを出している。
目も印象的で、黒目がちでいながら目じりがすっと上がっているので、凛とした佇まいも感じられる。

三露千鈴「秋の一日」
若いお母さんが幼子を抱く。
子どもがとっても可愛いのはもちろんだけれども、お母さんがとても若い初々しい感じで、それでも母性を感じる優しい眼差しなのが素敵。
母性を感じる母親像はよく見るけれども、この作品みたいに、初々しさが出ている若い母親像はなかなか見ない気がする。
この画家が22歳という若さで亡くなったのを知ると、このお母さんの若々しさがはかなさに繋がる気がして、なんだか切なくなってしまった。

最後に…2回目、観に行かれる方へ

ご存知かもしれませんが、2回目観に行くときに、前回の半券を持って行くと200円引きになります!
因みに、チケット売り場のところには何も書いていないので忘れずに!!!
(なぜか出口と、1回のパンフレット置き場にしか、その案内がない…)

私は知らずに普通に買い、出口でそれを知りました…
たまたま半券あったので、ダメ元で持って行ったら、そもそも前回は招待券だったので、招待券は対象外とのこと。はずかしーーー

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