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中之島で和な一日

久しぶりに友人と着物を着てお出掛けしてきました。
行先は中之島。中之島香雪美術館と中之島美術館です。

久しぶり過ぎて帯の結び方にわたわたし、遅刻する!と友人に連絡しようとしたら、友人も同じ理由で「遅刻するかも…」と連絡が来て、思わず笑ってしまいました。

ということで、各美術館・展覧会の感想です。

「館蔵 刀装具コレクション 武家の嗜好品」@中之島香雪美術館


まず向かったのは中之島香雪美術館でした。
大分前から存在は知っていたけれども初訪問です。
神戸の御影に本館があり、朝日新聞社の創業者である村山龍平氏のコレクションを所蔵している美術館ということです。
今回の展覧会テーマである”刀装具”に興味を惹かれて訪問してみました。

正直に言うと、刀剣にはあまり興味がないのですが、ポスターにもなっている刀装具がすごいなというのと、先日同じ友人と京都にある清宗根付館に行って、改めて日本の工芸の素晴らしさに感銘を受けたので、”刀装具も絶対すごい!”という期待してのことでした。

結論から言うと、その期待は裏切られませんでした。
むしろそれ以上でした!!!

武士が持つ刀に付けるものだからか分かりませんが、根付よりも芸の細かいものばかり、意匠も凝ったものばかりでした!
何よりも根付よりもずっと小さい!!!
この時こそ単眼鏡が欲しいと切実に思ったことがないってくらい小さい!!!
刀に付いていると思えばこのサイズ感で当たり前なのかもしれませんが、ポスターなどで見る精密な模様を見ていたら、まさかこんなに小さいと思いませんでした。

村山龍平氏が武士の家出身ということもあって、鑑賞性の高い華やかなものよりも、実用性を重視した質実剛健なものを好んでコレクションした、ということですが、モチーフは私が思っていた”武士らしさ”と違うものが多かったのも驚きでした。
龍、虎、平家物語のような合戦モノのモチーフなどはイメージしていましたが、意外と小鳥(小禽)や花、栗鼠、蝶々など美しかったり可愛らしかったりするのも多々ありました。ポスターにもあった猿と兎が碁を打ってるのなんて、めちゃくちゃ可愛い!
解説によると、刀は”かたいもの”なので、かたいものにかたいモチーフを持ってくるのは野暮で、花鳥風月のような”やわらかいもの”を持ってくるのが風流だったそうです。
ついつい昭和な”男らしさ”のステレオタイプに引っ張られて武士のイメージがついてしまいますが、能やお茶をたしなんだりと風流だったんだなぁと気付かされました。

「大阪の日本画」@大阪中之島美術館


さて、今回着物を着てきた理由というのが、大阪中之島美術館開館1周年記念イベントとして、着物を着てくるとポストカードがプレゼントされるからでした。
ランダムに配れるポストカード、私は北野恒富の《鏡の前》でした。北野恒富大好きなのでラッキー

「大阪の日本画」という面白い、且つ大阪の美術館ならではのテーマ。
大阪出身というだけではなく、大阪で活躍した画家がテーマでした。
よく考えたら、関西の日本画といえば京都画壇の人ばかり観てきた気がして、今日初めての日本画家がたくさんいました。
興味深いなと思ったのが、船場派と言われる画家たちは、船場の裕福な商家が太いパトロンとなり、帝展などに出展することがなかったということ。もしかしたらあまり大阪の日本画家たちを知らないのは、このように生活に根付いているからこそ、個人宅に入り公の目に入らないからなのかなと思いました。

着物を着てきて日本画を眺めると、より一層、日本画に描かれる着物の素敵さを感じられる気がします。
そんな立派な着物を着ているわけではないので比べるなんておこがましいけれど、着物を着ているからこそ絵の中の着物により注目してしまいました。「あーなんて素敵な着物…」とうっとり。。。
北野恒富が描く正統派の着物もめちゃくちゃ素敵であれば、中村貞以の《失題》の着物もすごく斬新でかっこよかったです。

前期と後期とで展示ががらっと変わるみたいなので、後期も観たいなと思いました。

因みにこんな着物コーデでした。

絵葉書は特典でもらったもの

以下、自分のメモレベルの素敵作品の簡単コメントです;

北野恒富《観音》
めちゃくちゃ細かい装飾で覆われた観音様。美しいの一言に尽きる。

北野恒富《鷺娘》
白い着物に、アクセントのようにサーモンピンクが配されていて可愛い。

小林柯白《道頓堀の夜》
暗闇の中に幾何学模様のように浮かび上がる窓の光。その上下には芝居小屋の櫓と、水に浮かぶ不定形な窓の光。雰囲気や構図がかっこいい。

中村貞以《失題》
着物のかっこよさ、不思議な顔(目の下が水色)、全体的なフォルムの面白さで独特な雰囲気を発している。

菅楯彦《舞楽青海波》
真ん中に舞う2人を配し、周りを円形に装束を来た人が囲む。壮観!かっこいい!顔がもう少しかっこよければなぁ(失礼)

波多野華涯《玉蘭海棠図》
海棠の派手なピンクの中で、玉蘭(木蓮)の白がブランクのような白さで空間を作っているため、リズムを感じる。

金森観陽《南蛮来》
南蛮人が檻に入った虎など持ってきて、それを様々な人が見ているという感じ。皆の服装・ポーズがいちいちかっこ良い。

幸松春浦《魚游》
水が全く描かれてなくて水を感じるのがすごいし、水底の丸い石に、魚が描く軌跡で温かみを感じる。

島成園《影絵之図》
日本画というと影を基本描かないジャンルのなかで影絵のテーマ。その影の描き込み具合が絶妙で、日本画特有の平面感を出しながら影を描いている。

橋本花乃《七夕》
子供たちのそれぞれの着物が可愛いし、目線を右から左へ誘導させる流れも心地よかった。

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