見出し画像

AI学習用データについて今のところの理解

Instagramを開くと知り合いが、「Meta社が勝手に私達の画像をAI学習に使っている。そんなこと同意していないのに。これからはCaraを使う」といった趣旨の投稿をしていた。
お恥ずかしながら、それまでMeta社やXが投稿された画像をAI学習に使っていると公言していることを知らなかったので、大いに動揺した。
瞬発的に「なんてひどい!」と思った。

そして色々と検索して、一応Facebookから自分のデータをAI 学習用データとして使わないでという要望を出すことができること、でもすごく分かりにくいところにそのフォームがあること、更に場合によっては要望が通らなかったり、フォームに実際のプロンプトを提示しろという項目があったりすることを知った。
なんとかそのフォームにたどり着いたものの、やはり私が見てもプロンプトを書かないといけなく、でもプロンプトをどう調べたらいいか分からないし、仮にプロンプトで引っかからなくても、今後使って欲しくないという問題なのに、と思った。
大体において、分かりにくいところにフォームがあるところに悪意を感じるし、AI 学習用に使うことを決めた時点で同意書出すなりして各ユーザーに連絡すべきではないのかと思ったし、フォームを探す方法を記載したXの投稿の返信欄には怒りの声で溢れていた。

そこでふと、Instagramの利用規約ってどうなってるんだ?と思った。
そもそもAI学習とかの前に、SNSの類は私たちの情報を握っていて、それで商売だってしてる。
そして利用規約を読んでみると、利用者はInstagramに著作権は譲渡していないものの、使用許諾をしていることになっていた。それも割と広い範囲で、使用、配信、変更、複製、派生作品の作成といったところまで許諾していることになっている。
AI学習についての言及はないものの、もはや学習用データに使われても文句は言えない状態である。

これで自分の「Meta社ひどい!」という怒りはしゅるる〜と萎んで、むしろ己の無知さに気付かされた。
そもそも、それまでだって散々自分のデータが使われていたのに、AI学習に使われてると聞いた途端に不快な気持ちになるのはなぜか。

それは、自分が一生懸命描いた作品を勝手にシステムに取り込まれて、それを元に自分の努力の数%にも満たない労力で、自分の作品に似た絵を生成する人がいると考えるからではないだろうか。
でもこれをAIが絡まないで考えると印象が変わる。
自分が一生懸命描いた作品を、どこかで見かけた人がとても気に入ってくれて、それをベースに絵の勉強、私の作品が教科書だからどこか似た作品を作成。
あまりに似ていたらもやもやするかもしれないけれども、オマージュ程度であれば、結構嬉しいかもしれない。

そもそも自分だって、先人たちの素晴らしい作品をたくさん見て勉強して、ちょっとずつ影響を受けて今の作品に繋がっているのだ。
AI学習の結果であれ、自分で勉強した結果であれ、エッセンスが含まれる程度であれば、どちらも問題ないはずなのだ。
でもやはりAIとなると抵抗感が強くなってしまう。

もしかしたら「手軽さ」にひっかかりを感じるのかもしれない。
そして学習データに使われるなかには、人間同士の学習であればあったリスペクトが感じられないのも大きな要因だろう。一切合切のデータの一部に、自分の苦労の結晶を入れてほしくない、みたいな。

因みに文化庁が出している「AIと著作権」というのを読んでみたら、学習用データは著作権者への不利益とはならないということで、原則として著作権者の許諾なくデータ生成をしてもいいとなっている。
更に、そうして学習したAIを使って生成された画像などのデータに関しては、従来の著作権の考えが適応されるようである。
つまり、できあがったデータの類似性、依拠性をもって、それが著作権侵害しているのかを見るらしい。
ということは、自分の作品を使って学習用データを使われてもそもそも文句は言えず、また、自分の作品そっくりの作品が生成されたらどうしようという心配はまた別次元のもので、仮にそれが発生したら著作権侵害として訴えることができるようである。

今日のところはこれで一応理解したが、今後も折に触れて考えていかないといけないテーマだと思った。

いいなと思ったら応援しよう!