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思い入れの強い作品

9月27日から始まる、絵本のグループ展に向けて準備を進めている。
このグループ展は、去年卒業した絵本の学校の同期で開催するものなのだが、絵本の学校卒業生ということで、絵本の発表を目標にしている。
会社勤めをしている人がほとんどなので、新作となると難しく、卒業制作で作った絵本を出す人もいる。
そんな中で、卒業制作の絵本は絶対出したくない私は、なんとか新作を出そうと奮闘している。

なぜ卒業制作で作った絵本を出したくないのか。
キャラクターや物語の発想自体はとても気に入っていて、なんなら構想は何年も前から考えていたものなので思い入れも強い。
でもできあがってみて、話の持っていき方や、構成などに「いまいちだな…」と思ってしまったのだ。
思い入れが強いせいもあるかもしれないが、”こんなんじゃなくて、もっと良いはずなんだ”という気がしてならない。
幸いなことに、卒展に来てくださった方や同期の皆は、「可愛い」とか「絵がきれい」だとか言ってくださった。そのたびに、「いや、もっと良い作品のはずなんですよ……」と苦虫を嚙み潰したような気分になってしまっていたのだ。
ということで、いつかもっともっとバージョンアップさせて、つくり直したいと思っているところである。

それ以降に、もう1冊、年始にかけて絵本を制作した。
公募に出したものの残念ながら落選したのだが、個人的には結構気に入っている。
ただ、正直なところ卒業制作で作った絵本ほどの思い入れはない。
とはいえ、日の目を見ないのは可哀想なので、9月末のグループ展に出そうかなと思っている。
そのために印刷にかけようと、昨日今日とで久しぶりにデータを引っ張り出してきて、入稿データを作成していた。
思い入れはないと書きながらも、やっぱり自分の作品は可愛いものである。

その時に気付いたのは、この作品に関しては過去の自分のあら探しをしていないということだった。
絵本に限らず、過去の自分の作品を見ると、どんなに気に入っているものでも、少なくとも1点は「ここはこうすればよかったな」と思うところがある。そしてそれは成長の証なんだろうなと思っている。
もちろん、今回入稿した絵本も、よくよく見れば改善ポイントは多々ある。
でも、いつもはすぐさまあら探しが始まるのに、「まぁまぁなかなか頑張ったよな」と思いながら、割と穏やかな気分で眺めていたのだ。

それはなぜだろうか。
なんとなく、思い入れが薄い作品だからかなと思っている。
この絵本を作った時だって、全身全霊かけてめちゃくちゃ頑張って制作していた。なんなら睡眠時間削ってまで絵を描いていたし、初めてのデジタル絵で苦労もしたし肩も凝った。
制作した時のことを考えれば、色々と思い出は出てくる。
では私の考える”思い入れが強い作品”とは何なんだろうか。
その前の卒業制作で作った絵本と比べて考えると、思い入れが強い作品というのは、完成前から作品の誕生にワクワクしていて、頭の中では「すっごい作品」というイメージがあるかないかの違いのような気がする。
だからこそ思い入れの強い作品は、できあがって自分の力不足で脳内にある「すっごい作品」のイメージから離れているとがっかりしてしまって、リベンジをしたくなるのだろう。
それに対して、思い入れが薄い作品は、これからできるであろう作品への期待値が低いような気がする。だから出来上がったらそこそこ満足して終わるのだ。

どちらの作品も、人様の前に出しても恥ずかしくないレベルに頑張っている。
でも自分を次のレベルへと持っていってくれるのは、思い入れの強い作品の方な気がしている。
後から見て「うーん……」と苦い思いをしても、自分の脳内にある「すっごい作品」にたどり着こうともがくのも力になるし、苦い思いをした後に、どうしたら「すっごい作品」に近づけるのか考えて進んでいくのも成長に繋がるからだ。

そんなわけで、できるだけ思い入れ強く作品を作りたいのだが、問題はどう思い入れを強くするかである。
幸いなことにグループ展のために作っている絵本は思い入れ強い方なのだが、これが今後の課題かなとも思っている。

因みに上の絵は今回のグループ展に出そうと思っている既に完成している絵本である。
そしてついでながらグループ展の宣伝をさせていただくと、以下を見ていただけると幸いである。

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