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女性だけの寿司店❺寿司学校出たら高卒シンママだけど海外移住出来たよって話


夫に職場にまで来られては大変だと思い、それまでの仕事は辞める事にしたため、海外の就職も探しながら並行して日本での就職先も探さなければならなくなりました。


まぁ、女性というだけでなく私の経験不足っていうの理由の方が断然大きくはありますけど。

まぁ、片手くらいは不採用でしたね。

そんな中私が採用されたのは
お手軽寿司チェーンが運営する別形態の店舗。
女性だけの寿司店でした。

それまでの女性店長が辞める事になり、
たまたまそこに店長候補として採用されるわけです。

見習いで店長候補…?
どういう状況?

そして何故
女性だけなの?


女性のみの寿司店メンバーは
若い女性社員Aさん。
英国で寿司を握っていたパートの女性。
接客係のベテランパート2人。
キッチンの中国人女性の王さん。

その上に常にその店舗にいる訳ではないのですが、何店舗か掛け持ちの本部の男性マネージャーやらが統括しているわけです。

何故ド素人の私が店長候補?
前からいる社員Aさんがいるのに?
そしてパートなのにやり手がいる?
これ、めっちゃやりにくくないか?

とは思ったものの
私中高女子校、
三姉妹の末娘。
女子の中でやっていくの得意というか逆に居心地いいタイプ。

そしてどんな仕事でも周りと同じ仕事ができるようになるまでの数ヶ月は納得いかない事でも絶対服従で不満を誰にも口にしないという経験上のマイルールがありまして。

まぁ、しばらく様子伺いながらやっていこうと。

入店前に本部の人たち、女性寿司店の社員女性Aの数人で顔合わせが有りました。

  • その店舗のマニュアル等の説明、問題点など。

  • まず開店から一年経ってるのに売り上げが悪い。
    チェーンの中でも実験的店舗なので売り上げが悪いようなら閉める。そうなった時はその後は他店に配属する。

  • 女性だけという事でタチの悪い男性客が来るというもの。何かあった際は本部、あるいは必ず近くの店舗にいる男性が駆けつける。

  • 社員女性Aさんから聞かされたのが、
    パートさんに問題があり、お客様からパートに対する苦情が多く店の雰囲気も悪い。
    自分が言っても聞いてもらえない、前任店長とも手を焼いていたが店長の方が辞めていったという事。

まぁ、Aさん若いし1人社員だし大変な状況ねー、と思いながらも、
まぁ完全従順無口で働く予定なのでどうでも良いかなと。

そして、この程度の寿司を3分程度で握って欲しいんですよ、
ランチがてら食べてみてください、
と、元々は寿司職人の本部の方が私に寿司を握ってくれました。

うまーい

全て違うネタの10貫の上寿司。
寿司学校でも時間制限付きで練習したなぁ。
…補習させられたなぁ…
出来るように頑張らねば。

そして本部の人達が、
問題の多い店でAさん1人では大変なので期待しています!と言い残し帰っていったのですが
見送っている時、
社員女性Aさんが私にそっと言ったのです。

「私の時は寿司なんて出してくれなかったのに」

ん?


さて、それから実際に店舗で働き始め、
私はキッチンの王さんから仕事を教えてもらうところからスタート。
まぁ、寿司屋なのでサイドメニューくらいしかなく、このあたりは難なく。

寿司カウンターに立つのは
Aさんと英国帰りの(面倒だから英子さんとしましょう)2人です。

私はいつカウンター仕事を覚えるかというと
近くに改装するグループ店舗があり、
そこの男性寿司職人兼マネージャーが改装の間の数ヶ月この店のマネジメントをする事になっていて、
改装が始まり次第、私の寿司修行が始まるという事なんですね。

それまで間はキッチン、裏方の業務など寿司以外の事を出来るようにしておくと。

キッチン仕事を覚えたら次ははホールやレジ、売り上げ報告など。コレも学生の時飲食でバイトしていたので慣れたものです。

パートさん、王さん、みんな感じ良くて働き者。
めっちゃ優しく丁寧に教えてくれる…。
聞いてた話と違ってましたね。

まぁ、薄々わかってましたけど。

閉店時、清掃するのですがAさんはいつも
「王さん、私のところ掃除しておいて」

やっぱりAさん。
クセモノはお前かい…

Aさん、本部から人がが来る時はおもむろに働き始め、それ以外の時は控室から出てこないとか…

その後飲み会で王さんやパートさんから怒涛の愚痴を聞かされる羽目に。
店長がAさんに注意して以来が店長やパートの悪評を本部に言っており、
まぁ、売り上げも悪いし店長が上層部に何を言っても聞く耳を持ってくれなかったそうな。
そして店長の方が辞め、前のパートさんも違う店に行かされたっていう。
…そしてAさん…
元小学校の教師だとか。

すごいな。こわ。

まぁ、そんなギスギスした中ですけど、
新人見習いの立場だし、どうでも良い事で。
何よりどこだって良いの。

寿司を握れるようになりたいだけだもの。

そんなこんなで改装店のマネージャーが私の寿司教育係兼店の立て直しにやってきました。

まぁ、私が寿司を練習、魚を捌くところを見て最初はマネージャーに言われましたよね。

え?寿司学校に行ってたの?
(それの出来で?)

その店で扱うネタについての魚の扱いや握り方などこのマネージャーに丁寧に教えていただきました。
店が休みの日でもマネージャーにも出てきてもらい練習を見てもらいました。

でも、この店はチェーン店なので半分くらいのネタは切り身で、シャリもそのままやってきます。
なのに何故か華やかさが必要なのか可愛い鯛だけは毎日やってきます。

鯛が一番苦手なのに。

それらと格闘しつつ一月ほど経った頃でしょうか。

本部の方達を前にランチの10貫盛りの試食テストをする事に。

OK出ました。

カウンターデビューさせてもらえるようになったのです。

私の寿司、
お客さん、食べてるよ!
お代払ってくれてるよ!
なんか、ホントいいんですか?
すいません!ありがとう!
そしてなんかゴメン!

その後は少しずつ隣で握る英子さんの寿司の早さと綺麗さを見習いながら
ディナータイムも忙しくなければ握れせてもらえるようになってきたのです。

店の方は、この男性マネージャーがきてから、(当たり前の事だけど)全員に清掃に割り振ったり暇な時でもちゃんと何かしら作業をする事などを指示が与えられました。

それまで掃除を全部他の人に押し付けてきたAさんもグリストラップという下水前の排水口掃除までさせられるようになるという…。

パートさん達もイライラせずに仕事できるようになった模様。

ある日、珍しくAさんが私に
「にわさきさん、私がカウンターにいるからキッチンに回ってもらっても良いですか?」と。
お、Aさん今日は働き者モードじゃん、と
何も考えず、普通にキッチンに下がって裏の業務をしていたのですが、
しばらくすると本部から上役が来てキッチンにいる私を呼ぶのです。

にわさきさん、何でキッチンにいるの?店長候補がカウンター出ないでどうするの。
あなたカウンターに立つ気がないらしいじゃないですか。と。

Aさんよ。
何がしたいんだ?

まぁ、それはあとで男性マネージャーが本部に説明してくれたらしいのですが。

この話をすると女だけの職場って大変だよねーって言われるけど。そうじゃない。

女性だけなら前の店長が注意した時に彼女が辞めるなり仕事するようになってたと思う。男の人が入るから面倒くさい。

男も女も楽してうまくやろうとする小狡い人はどこでもいるし、まぁ、そっちの方が断然お得だし。

でも女は男に嫌われてる若い男がいても、男の敵は男ね!
オジサンに嫉妬されてる!とかは思わないもんね。

レストランも裏に入れば男の方がえげつないやり方で嫌がらせする方が多いくらいだし。

安全面もあり女性だけの寿司店ってやっぱりなんか色々ハードル高いなー、と思っていたら…。

その後すぐ閉店が決定しました。

最初の数ヶ月は何があっても従順に働く予定が、その数ヶ月で終わりを迎えてしまうという…!

私は普通の寿司店舗に移動する事になる模様。

閉店が決まって以降、その前から店の雰囲気が良くなっていたので売り上げが閉店の日まで上がり続けて行くという皮肉…。


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