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この道より我を生かす道なし この道を歩く

フリーランスの庭師です。

28歳の時、転職を機に東京の調布市つつじケ丘に引っ越しました。

引っ越しから数日後、片付けもほぼ片付いたので近所を散策することにしました。すると10分も歩かないうちに『武者小路実篤記念館はこちら』の看板を見つけました。その時は、「えっ!本当に?」と驚いたものです。

と言うのも、私は武者小路実篤先生の小説はかなり読んでいて、少なからず私の生き方に影響を及ぼしていると思っているからです。

武者小路実篤と言えば、ご存じの方も多いと思いますが、有名な昔の小説家です。学校の教科書にも載っていますね。

私は小学生の頃から本が好きだったので、10代、20代は様々な小説を読みました。SF小説や推理小説、そしてハードボイルドが多かったのですが、文芸作品もかなり読みました。

その中で最も影響を受けたのが武者小路実篤先生です。『真理先生』『馬鹿一』の二作品は、若かった頃の私には無い発想だったので、とても感銘を受けたのを覚えています。

そんな武者小路実篤先生の記念館が、引っ越した
先のすぐ近くにあったので、また何か私の人生に関わることなのかな?と感じました。

早速その記念館に行ってみると、お土産物の中に武者小路実篤先生が書いた色紙を見つけました。(お土産物なので、もちろんコピーです。)

『この道より我を生かす道なし 我が道を歩く』

良い言葉だなと思い即座に購入しました。そして色紙額に入れ、パソコンデスクから見える位置に飾りました。

それから長い年月が経ちました。

IT関連の仕事を辞め、造園会社に入社して庭師になり、やがてその会社も辞めることになりました。その間何度か引っ越したのですが、色紙は常に見えるところに飾っていました。

造園会社を辞めたあと、この先どうしていこう… 庭師も辞めて別の仕事に就こうか?と悩んでいた時、色紙のこの言葉が目に止まりました。そして

「ああ、俺はやっぱり個人邸の庭の手入れが好きだな。荒れた庭を綺麗にしていくのは楽しいし、お客さんの喜ぶ顔を見るのは幸せだな。うん、『この道より我を生かす道なし』だな。」と思い、庭師を続ける決意をしました。

そして妻の後押しもあって、庭師として独立開業する運びとなりました。

フリーランスは経済的に不安定ですし、庭師の仕事も楽しい事ばかりではありません。猛暑の中の作業や真冬の雨の中の作業は厳しいです。ですが、庭が綺麗になっていく様とお客さんの笑顔が見られると、達成感と幸福感に包まれます。

あの言葉の後押しがなかったら、もしかしたら庭師を辞めていたかもしれません。やはり運命的な出会いだったのだろうと思っています。

皆さんも様々な経緯で今の仕事に就いていると思いますが、『この道より我を生かす道なし この道を歩く』と思える仕事に就いているでしょうか?

そう思える仕事に就けることは幸せだと思います。逆に、辛い状況でもこの言葉を胸に、明るい未来に向かって頑張るのも良いのではないでしょうか。

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