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RPAに踊らされる前に業務の見直しを

RPA、RPAと最近とみにその名称を良く聞くようになってきた。カンファレンスやセミナ、それ用のツール群の宣伝など、久し振りに現れた稼ぎワードの喧伝に業界は忙しいようだ。そして大体「AI」とセットになっているケースをよく見かける。

もちろん新しい工夫や技術がユーザの役に立ち、それで業務効率が上がり、ひいては何らかの業務改善やコスト削減などに役に立つのは良いことだ。

しかし、ソフトウェア開発に銀の弾丸が無いように、業務改善にも銀の弾丸は無い。

こういったバズワード的なモノが現れると日本企業はこぞって飛びつき、また関連企業も稼ぎ時だとばかりに売り込もうとする。こんな光景がここ20年ぐらいで何度繰り返されただろうか。

もちろんこういったツールが役に立たないと言っているのでは無い。実際にフィットして大幅に業務改善を果たせる企業もそれなりにあるだろう。また売り込む側の人間としても、こういった形でお金が回るようになるのは正直ありがたい。

しかし、闇雲にツールを導入する前に、他にも十分やれることがあるのではないだろうか。

なぜかこういったケースで無視されがちなのが「既存業務の見直し」である。それはもう、綺麗さっぱりと、そんなことが存在しないかの如くスルーされることが多い。

同じRPAを導入するにしても、既存業務の見直しを行うか否かで導入に対する難易度(ひいてはコスト)がぐっと下がるケースが多い。下手をするとそんなツールを導入しなくても十分なぐらい効率化されるケースも多々ある。

導入する企業としても、売り込む企業としても「RPAを導入して改善!」的な見栄えの良いアピールをしたい、という本質でない側面が大きいのも、心理的には分からないでもない。

担当部署や担当者が上に実績として報告をあげる場合でも「VBAでマクロ作ってうんぬん」「既存業務の流れを見直してうんぬん」より見栄えもするだろう。またこのケースだと褒められるより「今まで何やってたんだ?」と逆に叱られる場合もあるだろう(実際にあった)。

しかし、何度か書いているように「なんでもかんでも作ったり導入したりすれば良い訳では無い」というのが自分の基本的なスタンスだ。それを導入する前に出来る事は無いのか?より効率的に導入するには?を問うと、どうしても既存業務の見直しは避けられない。そしてこういった提案をすると、ほぼ最初は例外なく顧客に怪訝な顔をされる。

自分たちの業務は「お客様が今欲しがっているモノ」を安易に売るのでは無く、ある程度長めのスパンで顧客に幸せになってもらう事だと考えている。幸いにしてこの趣旨を理解してくれる顧客もいらっしゃる。大変有り難いことだ。

どんなものでも導入したらそれでお終いではなく、メンテナンスを続ける為の費用も継続して発生する。世界が刻々と移り変わるのと同様に、業務を取り巻く環境も変化していくのだから。その際にできるだけ業務がシンプルに調整されているほうが、適応能力が高くなるし、コストも低くなる。また新しい人に業務のトレーニングをする際のコストも下がるだろう。

これらの事を踏まえて、安易にツールに飛びつく前に是非既存業務の見直しを行って欲しいと願う。

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