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ポエム・今年の冬は春キャベツが流行る、そしてぼくは原色の蝶になる

校長先生は「ミクロマン」(1999年のアニメ)が大好き
人形の方には興味ゼロ
いつでも、どこでも、「ミクロマン」(1999年のアニメ)を想像している
でも、あまり本編は観ない
想像だけが楽しい

でも、そんな想像も、どこかからコンビーフの焼けるにおいがしてくると、消えてしまうんだ

その後は、コンビーフを食べる自分を想像する

でも、コンビーフもあまり食べたことは、ない
奥さんが出してくれないからだ
(ちなみに奥さんは虚構の存在である)

校長先生の奥さんは、キャベツが大好き(虚構の存在だけど)
いつも、まるのままのキャベツを食卓に、出す
エアーで

校長先生はだまってそれを食べる

肉も、魚も出ない

もちろんデザートも

ふと、「饅頭が食べてみたいな」と思うこともある

でも、それはかなわない

校長先生の小遣いは、月20円

月に一度だけ、駄菓子屋の10円ゲームをやるのが、校長先生の楽しみだ

後は、何も無い

学校では、花壇に興味があることになっている

子供たちが、花壇を世話して、校長先生に見せに来る

「よく手入れしたね。だからこんなにきれいな花が咲いたんだ」

校長先生は、仕方なく言う。
子供たちは満足そうに戻っていく。

しかし、校長先生の精神的飢餓感は、癒えない。

校長先生は、妄想が趣味だ。
妄想には、金がかからないからだ。

今日も、妄想する
もう「ミクロマン」(1999年のアニメ)の妄想はやめだ
これからは、もっと他のことを妄想しよう

そして思い出したのが、子供の頃に大事にとっておいたネジのことだった

あれは何のネジだったんだろう?

しばらく謎だった
インターネットで調べたことがある

なんてことのないネジだった

調べなければよかった
校長先生は後悔した

家に帰ると、だれもいない
奥さんは妄想の産物なんだから、当たり前と言えば当たり前

校長先生はテレビをつけた
春キャベツが反乱を起こしたところが、映し出されていた

校長先生は、ソファーに身体を沈みこませ、目をつぶった

コンビーフのにおいを想像した

コンビーフは春キャベツと合うだろうか? と考えた

しかし、コンビーフの妄想はかき消されてしまった

ふと目を開けると、つけっぱなしのテレビにストリップが映っていたからだった

「みなさん、地球は春キャベツの反乱によってもう終わりです。せめてストリップでも観て、最期を待ちましょう」

アナウンサーの声が入った。

チャンネルを変えると、男のストリップがやっていた。
「あっ、男のストリップだ」

そう思った瞬間、校長先生の後頭部に、侵入してきた反乱軍の春キャベツが体当たりした。
しかし、「ミクロマン」(1999年のアニメ)が助けてくれた。

ありがとう、小さな巨人、ミクロマン。
ありがとう、小さな巨人、里中くん。
(完)

スキ(ハートマーク)を押していただけるとはげみになります。
というか、承認欲求も満たされないのにテキスト書きませんよ。
おれはヘンリー・ダーガーじゃないっての!!(あそこまでスゴイ人でもないが)


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