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PDCA式勉強方法

中小企業診断士試験に限らず、他の資格取得や何かの試験への合格を目指して勉強している方へ。

今回は、私の中小企業診断士の二次試験の受験を通して行った具体的な内容を例に、PDCAを回しながら学習を進める方法を紹介します。
※本文中、実施例については引用で記します。

PDCAってなに?

PDCAは、計画的に行動して、行動した結果を評価して、評価をまた次の計画に活かそう、という考え方です。
「スパイラルアップを目指そう」や、「継続的改善を!」と書かれていることが多いですが、どちらも、どんどんよくなり続けていくとてもポジティブなイメージです。
自分の学習も、そんなふうに進んだら良いと思いませんか?

私が中小企業診断士の二次試験に一発合格できたのは、PDCAの考え方をベースにした勉強方法が効果的だったからです。
PDCA式勉強法にはちょっとだけコツがあります。

※中小企業診断士試験の受験生の方であれば、企業経営理論のテキストにPDCAの項目がありますので、そちらもご確認ください。

長丁場の試験こそPDCAを意識する

取得までの目安勉強時間が50〜100時間、択一式で解答が明確、という試験であれば、大苦戦をしていない限りは、PDCAを意識する必要はありません。
テキストや問題集を1〜5周すれば合格可能なのであれば、管理に工数をかけるよりも、問題集を1周でも多く解く方が効果的です。
しかし、中小企業診断士などの士業のように、

  • 目安勉強時間が800時間を超える(長丁場になる)

  • 複数の科目の受験が必要

  • 記述式、論文式など答えが明確でない

といった試験であれば、ある程度の管理コストを払ってPDCAサイクルが回る学習プロセスを作ることで、学習の効果が高まり、モチベーションも維持しやすくなります。

PDCAを回す鍵はC(チェック)にあり

学習にPDCAを取り入れる上で一番の関門となるのがC、つまりCheckです。Checkは行動の結果を評価するフェーズにあたります。
サイクルの最初でモチベーションも高い時期に行うP (計画)、動いてしまえばなんとかなるD (行動)まではできても、適切なタイミングでの振り返りができず、サイクルが回っていない例が多いようです。

自分のことかな?と落ち込む必要はありません。

品質保証という仕事柄、各部署のー年間計画を見せていただく機会がありますが、毎回のようにコメントさせていただいていることの一つが「チェックをして、次の活動(アクト)につなげてください」なんです。
業務として毎年の計画を作成し、計画に基づいて活動しているはずの人たちですら、Checkは苦手で、計画遅れをそのままにしていたりします。
それだけCheckをするのは難しいんです。

一方、Checkが疎かになると、Plan Do Plan Doを繰り返してしまっている、Do Do Do Doになってしまっている、という状況になります。

もちろん、Doはとても大事です。
1問問題を解けば1問分の学びがあり、1問分の経験値は溜まります。でも1問に1問分しか学べないのって、ちょっともったいないと思うんです。
中小企業診断士の二次試験だけでなく、様々な学習において「特に振り返りが大事」と言われるように、自身の出来栄えを改めて見直し(Check)、必要な学習に的を絞って学習を進める(Act)ことで、効果的に苦手に対策し、得意を伸ばしていくことができます。

実際に手や頭を動かし、達成感も味わえるDoと異なり、できなかったことにも向き合わなければいけないCheckには抵抗感が生じやすく、疎かになりがちです。
このため、PDCAのサイクルを回すためには、ネックになりやすいCheckを意識して管理をしていくことが必要となるのです。

Checkを効かせるための3要素

前述のように、何も意識しないでCheckを行うことは、仕事でも難しいことです。
Checkをうまく機能させるためにも、Checkをルール化して日常の中に組み込みましょう
Checkのルール化として、次の3つを事前に決めておくと良いでしょう。

  1. Checkの準備

  2. Checkの頻度、タイミング

  3. Checkの内容

このうち、1.Checkの準備にはCheckのハードルを下げるポイントについても記載します。

1.Checkの準備

Checkの準備というのは、自身の回答を記録して、模範回答などと比較しやすい状態にしておくことです。

あなたは今、中小企業診断士二次試験に向けた学習を進めるにあたって、自身の勉強記録をつけています。
次の①〜③のうち、自身に必要なのはどちらでしょうか?

①実施日、ふぞろい採点での得点のみを記録
②実施日、ふぞろい採点での得点、実際の回答を記録
③実施日、ふぞろい採点での得点、所要時間、得点に繋がったキーワード、反省点、実際の回答を記録

言うまでもなく①が最も省力的で、③が最も高コストな方法です。
情報量で比較すると①<②<③の順です。
一般的に、コストをかければ、情報量は増え、より細かな情報が得られます。
しかし、記録する情報を細かくすればするほど、手間がかかります。

できるだけ細かく!と考える方もいらっしゃるでしょう。
モチベーションが高い学習初期は何ら問題ないかもしれません。でもそれは直前期やスランプの時期にもできるやり方でしょうか?
手間がかかるというのは、実施のハードルが上がるということ、最終的にやりきれなくなるリスクが上がるということです。

管理コストの増加は、肝心の勉強時間を圧迫します。
ですので、自身にとって必要十分な情報が収集できる最低限の管理コストでの運用を狙う必要があります。
管理コストに見合ったメリットが得られないのであれば、管理方法を見直した方が良いです。

中小企業診断士の二時試験勉強中に、私が実際に管理したのは②でした。
翻訳アプリのOCR機能を利用して手入力を減らした他、解いた後の紙も捨てずにまとめて保管することで、いざとなったら情報を取得できる安心感を自分に与えて、細かく入力したい気持ちを抑えていました。

最終的に何と何を比較したいのか、で、何に何を記録するのかは決まってくると思います。

私は、ごく短い隙間時間しかない、勉強する気持ちが盛り上がらない、といった時は無理に事例を解くのではなく、自分の回答をエクセルへ入力していました。
(手書きしたものをエクセル入力する作業だけでも、自分の文章の癖や、文章の分かりにくさを客観視することができます。)

2.Checkの頻度

Checkは、少し時間をおいてから改めて振り返る作業です。
とはいえ、溜めすぎても、都度都度でも大変てます。頻度を減らしすぎると、結局Checkをしないことになりやすいので、最低でも月2回は行うことにしていました。

中小企業診断士二次試験(記述問題)の勉強では、解いた直後は記憶が鮮明で、冷静に見つめることができないので、3日くらいはクールダウンの時間を取るようにしていました。

のっている時はどんどん問題を解けば良いのです。集中できるときは、集中して進めればいいのです。
だけど、モチベーションがどうしても上がらない時や体調が優れない、残業で疲れている、というような時って誰にでもあると思います。

月2回が最低ライン、できれば週1回、を目標に、モチベーションが低下している時や隙間時間を利用してCheckを行っていました。
(実際は月3〜4回、1回/10日くらいだったと思います。)

3.Checkの内容

1、2で日頃から情報を整理してCheckに取りかかりやすい状態ができていれば、あとは簡単です。
エクセルで横に並べた文章を比較するだけです。

Checkする内容としては、

  • 毎回点数の低い設問はないか?

  • 前回より著しく点数の低い設問はないか?

  • 毎回抜けてる視点はないか?

  • 毎回書いてるけど点数につながらない記載はないか?

  • 時間をおいて読んだ時に、文章のわかりやすさはどうか?

ちなみに私は社長に直接話をさせて、目的意識を共有するのが好きでしたね(ポエム)。

次のActを考える

前述の通り、CheckとActが難しい理由の一つに、「できなかったこと」と向き合う必要がある、ということあります。
しかしCheckを行うことで、「できたこと」を可視化することもできるのです。
そしてCheckが出来ていれば、次のActを考えることはそれほど難しくはありません。

各Checkの後の対策としては、例えば下記のようなことをしていました。

【得点率の低い設問への対策】

  • 解説書の読み込み(複数読む)

  • 解説書を見ながらの設問解釈

  • ふぞろいのキーワード項目を使って自分で文章を作ってみる

【点数が下がった設問への対策】

  • 抜けたキーワード、視点の抽出

  • 解説書の解答作成プロセスの見直し

  • なぜ抜けたのか?の分析(自身の設問解釈の見直し・比較)

事前準備でめんどくさいを減らそう

PDCAサイクルを回し始めるとわかりますが、このサイクルはすぐ止まろうとしますし、実際に止まってしまいます。
止めないためにはどうしたらいいのか?
行動経済学にもナッジという考え方がありますが、止めないように事前準備をすることが大切です。

二次試験の過去問演習は、紙で行っていました。
印刷した二次試験の問題が手元にないことで待ちの時間が発生しそうだったので、一次試験終了後の早い時期に、事例Ⅰ〜Ⅲの過去問10年分×3回分を目安にプリントアウトしました。

過去問を解く順番は、年度、事例、難易度の情報、過去の演習結果、過去の実施日などをもとに決めていました。
都度、探すのは面倒なので、解く順番を決めるときに、印刷した過去問を並べ替えておき、上から順に解けば良い状態にしてありました。

どちらも些細なことですが、こういった些細なことができているだけで、悩む時間が減ります。
自分自身にとってボトルネックとなりやすいこと、めんどくさいと感じることの手間を減らしておくことで、スムーズに演習に入れる準備をしましょう。

実際に行なっていた流れ

最後に、私の中小企業診断士二次試験対策を例にPDCAを考えてみます。
※当時全てを明文化していたわけではなくいので、なんとなく、こうしようかなと思っていたレベルのことも含みます。

【Plan】
大計画

  • 事例Ⅰ〜Ⅲは10年分を3回解く

  • 1日2事例解けるようになる

  • 事例Ⅳは毎日触る

小計画
(進捗状況によって、翌週やることを決める)

【Do】
問題を解く。
ふぞろいで採点する。
解説書を読む。
不足点していた点を書き出す。
模範回答を写す又は不足点を含めて解答を作成してみる。

【Check】
管理表に入力する。
(2回目以降)前回、自分が書いた回答と見比べる。
各受験校の模範回答と見比べる。

【Act】
書けていない視点を含めた解答を作成してみる。
解説書を読み込む。

【Plan】
CheckとActの結果を次の小計画に反映する。

実際にはあまり意識せずやっていたこともあります。
慣れないうちは書き出す、リスト化して消し込むなどするのがよいと思います。

ミスノートやファイナルペーパーは作らない

よく聞かれるので、ついでに答えておきます。
私はミスノートやファイナルペーパーは作りませんでした。

そもそも私は誤字や誤記多いので、自分が書いたものが信用できません。
情報を使いやすく整理するには時間がかかるので、その時間で過去問を解く方がよいと判断しました。
理解が浅い項目やよく間違える項目は、テキストに付箋を貼っていたので、ミスノートやファイナルペーパーの代わりに、試験当日は付箋を貼ったテキストを持ち込みました。

客観的な事実を自信につなげる

当日や直前期に緊張が高まるのは普通のことです。
緊張のあまり、自己評価を過小にして不安感を強めてしまうと、「当日、本来の力を発揮できなかった」なんてことにも。
自身の学習の経緯を見える化しておくことで、自身のを客観視でき、自信にもつながります。

QC検定1級の勉強をしていましたが、管理表を作成しなかったことを後悔しました。難しい試験には、PDCAを意識した取り組みが大事!

本稿がどなたかの参考になれば幸いです。

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