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かつて、小さな魔女に日本中が夢中になった日

幼かった私が観て感じていたこと。
大人になって改めて観て感じたこと。

32年前の今日、宮崎駿監督の「魔女の宅急便」が公開された日だそうだ。
のちに、当時の日本アニメの映画興行記録で1位に輝いた大ヒット作品。

当時の私は、後のテレビのロードショー等の放映で
何度も何度も流れていたので、家族で集まってよく観ていた。

小さい頃はキキの魔法に心惹かれ、空を飛びたい、猫としゃべりたい!と無邪気に思っていた。
キキに感情移入し、困難に当たっても、くじけそうになっても
しっかりと前を向いて生きていく力強さに憧れた。

それから月日は流れ

日本で祝日が続く時期にはだいたい放映されている宮崎作品。
ある祝日、夫が見たいというのでテレビのチャンネルを合わせた。
大人になってからすっかり見る機会もなくなって、内容もボンヤリとしか覚えてなかったが、今更すすんで観る気にもなれなかった。

「魔女の宅急便ね。子供の頃、飽きるほど観てたから」
そう思っていたが、いざ見始めると全く違った視点になっている自分に気づいた。

キキのお父さんの「大きくなったなぁ」と言う感慨深い言葉に涙し
遠くなる鈴の音に聞き入るお母さんの姿に涙し
右も左も分からない町で試行錯誤しながら生きていくキキの姿に
「私にもこんな時代があったなあ」と感慨深くなった。

当時はトンボに冷たくする様子を見ても、今一つピンと来ずに
「仲よくすればいいのに」と思っていたが
改めてみると、複雑な乙女心が垣間見えて、なんて繊細な表現だろうと
くすぐったい気持ちになった。

海辺の町を象徴する浜辺で波を打つシーンのアニメーションの美しさにすら感動を覚えた。

キキや他キャラクターの感情だけではない、もっとたくさんの表現が目に飛び込んできたのだ。

今は、大人も子供も楽しめると言うコンセプトのもとに作られている作品は多くあるが、
この魔女の宅急便もまた、そういった作品の1つであるのだろう。

改めてみると、一つ一つにの表現に気を払い、とても丁寧に作られている
アニメーションなんだと
子供の頃夢中になっていた時とはまた、まったく別の視点の感動を得られた。

30年以上経っても忘れ去られることのない理由は、きっと大ヒットしたからではなく
何度も見た物語を、改めてなぞるだけではない体験をさせてくれるところにあるのかもしれない。


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