離婚母子家庭の子供の貧困について

養育の問題になると、このように養育費を支払わない鬼畜としての元父親という主張が現れる。

実際はどうかというと5年に一度全国ひとり親調査が行われている。これは厚生労働省が行なっていたものだが、こども家庭庁ができてからはこちらに移管したようである。で、古いデータは厚労省が提示するのをやめたのでちょっと今はわからない。

最新版は令和3年版である。もう以前のnoteで何度も提示しているが埋め込ませてくれないのでurlだけである。(https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/f1dc19f2-79dc-49bf-a774-21607026a21d/9ff012a5/20230725_councils_shingikai_hinkon_hitorioya_6TseCaln_05.pdf)

ここには養育費の支払い状況の項目もあるわけである。

世帯収入で見ると、令和3年の母子世帯の収入は373万円であり、父子世帯の収入では606万円である。離婚していない家庭での世帯収入は813.5万円である。(これは表16ー(1)ー6の下の(参考)欄に記載されている。この表からも離婚すると母子世帯では収入が減少して貧困に陥りやすくなることがわかる。

特に母子世帯では母単独の収入は正規職では344万円であるのがパート・アルバイトでは150万円に激減するので、後者の家庭では貧困が顕在化しやすいのではないかということは十分に示唆されるわけである。(表16ー(2)ー1)

これは父子家庭でも同様で、父親の収入は正規職では523万円であるのがパート・アルバイトでは192万円に激減している。(表16ー(2)ー3)

恐らく、父子家庭でも父親がパート・アルバイトの家庭では貧困が顕在化することがあるだろうけれど、表7ー(3)−1及び2を参照すると、母子家庭では正規職が48.8%、パート・アルバイトが38.8%であり、父子家庭は正規職が69.9%、パート・アルバイトが4.9%であることから母子家庭での貧困が目立ってしまう可能性が高いのではないか。

また、子供の年齢との関連では末子の年齢が小学校入学前と入学後で母子家庭、父子家庭のいずれにおいても50〜70万円程度年収が下がっているので、小学校入学後は学童保育を利用したとしても育児の負担等で収入を減らさざるを得ないというのが現実なのではないか(表16ー(5)ー1及び2)母子家庭であっても父子家庭であっても年収が再び増えるのは末子が高校生になってからである。

このことはちょうど小学生くらいに子供たちが貧困を実感するという原因の一つではないかと思われるわけである。高校生になると高校入学のための資金需要という関門を突破しさえすれば、親たちも育児負担が減って収入を増やすことが可能であろうし、子供たちも必要があれば自分たちでアルバイトして稼ぐことも可能になるわけである。

こういう事情があることは特に子供が小中学生の時には別居親が子育てにコミットして養育費も支払う必要があるということの理由にはなるのである。

まあ、極端な別居元父親は「そんなら収入の多い父親に親権を渡して養育させればお金も潤沢になるし…」と言い出すのであろうが、そうなると母親の方が「お前が父親ヅラをする権利などない!この子は私が十月十日お腹の中で育てた大事な我が子!お前の子供なんかではない!この鬼!悪魔!モラハラDV野郎!お前に親権などやるものか!お前には二度と子供に会わせるものか!養育費だけは要求額をきちっと払え!お前の全財産をよこしやがれ!」と言い出すので感情的になった父親は暴れ出すし、それでもまあ裁判には負けるので最後は男の方が逃げて消えてしまうということになるのだろう。今では少数の弁護士さんが父親の離婚裁判を請け負ってくれるようになったが、かつては父親が離婚裁判を弁護士に依頼しても「勝ち目のない裁判ですから」と断られてしまい、弁護士抜きの本人裁判をせざるを得なくなった(当然ボロ負けした)という事例はネットに転がっていたものである。

こうなれば母親は精神的勝利を得て満足かもしれないが、子供は貧困のままに置かれてしまうので不満が溜まってしまうということであろう。母親は「あの悪い父親がお前には一銭も養育費を払わないからお前は貧乏のままなのよ。恨むなら父親を恨みなさい。」と言いさえすればよかったわけである。

実際の養育費の受給状況は表17ー(3)−1にあるように現在養育費を受けている母子家庭が28.1%で過去に受けたことがあるが14.2%である。ちなみに過去に受けたことがある世帯の72.1%は離婚後4年目以降の世帯である。(表17ー(3)ー5)

表17ー(3)ー7にあるように、養育費の取り決めをした家庭に限ると養育費を受け続けている母子家庭は57.7%になり、過去に受けたことがあるという母子家庭は21.5%になる。取り決めをしながら一度も養育費を受けたことがないという母子家庭は19.2%と2割を切っている。

これを考えると、協議離婚で養育費を取り決めずに離婚しちゃっていることが離婚後の子供の貧困の一番大きな要素になっていることは明らかであろう。表17ー(2)ー7を見ても協議離婚で母子家庭の養育費を取り決めている率はわずかに43.6%に過ぎないわけである。(それ以外の離婚裁判などでは80%を超えている)ネットではフェミさんのような人が「離婚した元父親は養育費の取り決めなどなくても自発的に全収入を養育費として支配者たる女性様に献上せよ!それが奴隷の責務だ!」と騒いでいる人がいるけれど、そんなの養育費の取り決めもなしにお金をホイホイ献上する人はいないのである。

これを考えると養育費や離婚後の別居親と子供の親子交流などはきちんと離婚後共同養育計画を策定して同居親も別居親も守るようにした方がいいと思うけれど、フェミさんやシングルマザーたちがそれすら反対していることはもう理解不能ではある。

元父親はいくら養育費の取り決めをしてもモラハラDVの鬼畜だから守らないのだあといくら叫んでも解決にはつながらないのである。取り敢えずは取り決めをした人の8割は途中でやめた人がいるとはいえ、少なくとも1回は養育費を支払っているわけである。それをもっと有効に養育費を支払ってもらう方法も考えることもなく、「離婚別居父親は鬼、悪魔、鬼畜のモラハラDV野郎なので消えてしまえ!」と騒いでいるだけでは離婚母子家庭における子供の貧困は少しも改善しないのは自明なのである。

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