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【表現評論】メモリーズオフ6 T-wave  コアレビューその24 りりす&トライアングルルート8 【全作再プレイシリーズ】

●メモオフシリーズ、その他作品、様々なネタバレが含まれます。

⚫︎前回の記事

⚫︎ようやく文化祭

長かった。とりあえずりりすのバンドが発表ステージの決勝で歌うところからです。OPが流れるけど、歌ってるのは声優本人ですかね。多分。村田あゆみさんではなさそう。何気にスタッフロールみたいなの流れたけど、終わりなん。これ。感動のエンディングだったのか。

しかしこの手の演出には毎回思うんですが、素晴らしい演奏だとか歌だとか言われても、一枚絵が動いてるだけなんですよね。ビジュアルノベルでバンドを取り扱うのは無理がある。ピアノはかろうじて違和感なかったけど。せめて音源はライブ仕様にしてほしい。ボーカルは変わってるけどCD音源まんまではないのか。

というわけで、優勝したステージ上でりりすに告白しようとすると、りりすが逃亡しようとします。逃亡するのはともかく、順番おかしくない? 智紗に断り入れる方が先なんじゃないの。智紗に断り入れる前に告白されても、なんと返せばいいんですかね。はいって言ったら智紗に申し訳が立たないし、いいえと言っても智紗に怒られそうだし。逃亡するしかないよ。そりゃ。徹頭徹尾、自分のことしか考えていない主人公です。高校生なんでこんなもんですかね。累さんみたいに達観しすぎてるのもどうかという。少なくとも志雄君はヒーローではない。じゃあ他にそんな主人公いたのかよと言われると、いないんだけど。やっぱり一蹴君くらいかなぁ。

逃げようとするりりすを智紗が引き止めます。やっぱりこういう展開か。そりゃ途中がめちゃくちゃでも、智紗が許せば全部丸く解決しますよ。女に目が眩んだ春人君も、CUM研のメンバーが許してくれたことで全て丸く解決しましたし。でもそれでいいんですかね。主人公なんもしとらんやん。智紗にとんでもない仕打ちを続けても、間違って行動を取り続けても、最終的に相手がいいよって言えば全部解決。ダメでしょ。それじゃ。俺は納得しねえぞ。こんなもん。お前が納得する必要はないって? それはそう。

そこから智紗に断りを入れて、りりすに告白して、りりすがそれを受け入れて(るように見えるけど実際は受け入れてないで)終わりました。キャラソンはいいよ。キャラソンは。りりすが歌ってるようには聞こえないけど名曲。

終わったように見せかけてここからが本題です。マジで長くない?

⚫︎トライアングルルート

#5のリバースカットが好評で味を占めた? のか、過去に戻ってりりす視点に切り替わります。起点は智紗が志雄のことが気になると言ってきた辺り。割と告白の直前に言って来たんですね。前々から知ってたわけではないのか。

立ち絵が複数用意されている真ヒロイン

「でも、前に言ってたよね? りりすちゃん、塚本君と付き合ってるわけじゃないって。ただの幼馴染だって」

メモリーズオフ6 T-wave

いや、それはずるくない? 僕は一貫してりりすよりも箱崎さん派ですが、その物言いはちょっとずるいでしょ。りりすの好意は薄々わかってるはず。わかっててもなお俺によこせと。そこまで言うならしょうがないけど。

⚫︎OP

トライアングルルートのOPが流れます。これも名曲ですね。智紗のルートと同じ曲で、歌詞だけが違う。T-waveは曲いっぱいです。フルアルバム作れるくらいありそう。ゆびきりなんてめちゃくちゃ少なくなかった? OP2曲とED2曲だけじゃなかったっけ。

⚫︎声入りの志雄君

優男っぽい声。一番最初にも入ってたっけ。T-waveが長すぎて一番最初の記憶がすでに薄れて来ている。

⚫︎リバースカットの意義

#5のリバースカットの優れたところは、物語の裏でにある新情報が開示されるところと、表では見えてこなかった麻尋の人間性の深い部分に迫れるところだと思いますが、トライアングルルートはそれがないですね。ただ視点が変わっただけ。りりすは表で見たそのまんまだし、特に驚きの新情報もないし。かろうじて家族の話が出て来ますが、それだけではなんとも。というか新情報がリバースカットの本質ではないんだな。新情報と言うだけなら、トライアングルルートにもそれなりにある。ただリバースカットの本質は、麻尋の人間性が表から見るものとは全く違っていて、より可愛く見える、より好きになれることですよ。りりすの内面を開示するのはいいけど、想像通りの内面で、全然ギャップがない。視点を切り替える狙いがどこにあったのかはわかりませんが、リバースカットと同じ効果を狙ったのだとしたら、あまり意味をなしていないですね。

⚫︎カラオケでバッティングした辺りの話

夜に智紗と電話しているりりす。

「やっぱり……塚本君は、りりすちゃんのこと、好きなんじゃないのかな?」

「それでりりすちゃんも、本当は塚本君のことが好きで……」
「あ、はは……。何言ってんのよ、智紗。そんなわけないじゃない」

「でも…………もし、もしも塚本君がりりすちゃんのことを好きだったら、わたし、諦めた方がいいのかな……?」

メモリーズオフ6 T-wave

って言っても、智紗も最初からそれは知ってたんじゃないですかね。少なくともりりす→志雄は絶対気づいてたでしょ。そんなもん気づかない人間だとは思えない。問題は志雄→りりすの方は知らないというか、気づけるほどの関係性がなかったことにある。近づけば近づくほどそれが明らかになるわけで、う〜ん。やっぱりりすが全部悪いな。最初から志雄を紹介しなければみんな幸せだった説。

⚫︎人をなんだと思ってるのか

亨を駅まで呼び出したりりす。亨に付き合ってほしいと言い出しますが、オチはこれ。

「あ、ち、違うの! あのね、付き合ってほしいのは確かなんだけど……え〜っと、つまり……恋人のふりをしてほしいのよ!」

「つまり、俺と本当に付き合うのは……」
「ごめん、無理」

メモリーズオフ6 T-wave

温厚な西住さんでもキレるよ。流石に。亨の代わりに俺がキレるわ。智紗が変に勘ぐってるから、それをかわすために付き合ってるふりをしろと。ここまで人を舐めてるヒロインは初めてですよ。修司先輩に対するあすかよりも酷い。どいつもこいつも亨を何だと思ってるのか。ごめん無理じゃないんだよ。ちょっとは見返りを用意しろ。

「……ちょっとそれは残酷すぎやしねえか?」

「俺がキミのこと好きだって知ってるよな? なのに志雄たちを騙すために『恋人のふり』をしろ、と」
「そこで俺の気持ちは考えられてないよな」
「それとも俺のこと、りりすちゃんの頼みだったらなんでも二つ返事でOKする便利屋、だとでも思ってる?」

「冗談だよ、りりすちゃん。怖い言い方してごめん」
「もちろんOKだよ。俺なんかで良ければ」

メモリーズオフ6 T-wave

流石の聖人でもちょっと本音が出る。まあそのくらい言っても許されるよ。そのくらいどころか、しばらく暴れ回っても許されるレベル。ちょっと愚痴っただけで、最後には全てを受け入れる亨。

「それに俺は、智紗ちゃんよりりりすちゃんの方が、志雄にはお似合いだと思うけど」

メモリーズオフ6 T-wave

もう何にも言えねえよ。りりす、お前当たり前じゃねえからな! この状況! って言いたいわ。どうせすぐバレる嘘なんだけど。

⚫︎私引かないから

校門の前で智紗とりりすの会話。亨と付き合う嘘は智紗には秒でバレてます。そんなもん信じるのは志雄君だけだよ。

「だってりりすちゃん、塚本君のことが好きでしょ?」

「私、引かないから……」

メモリーズオフ6 T-wave

どちらかといえば智紗の内面が知りたい。それは最初からわかってたのに、なぜ志雄君に告白しようと思ったのか。親友よりも男を取ったのか。

⚫︎志雄には幸せになってほしいから

りりすの内面ではこのようなことを再三言ってるわけですが、なんだかな〜。それなら別に無理に智紗とくっつける必要なくない? と思わなくもない。こいつらが早くくっついてくれれば私が苦しまなくて済むという打算が働いているように見えますね。亨にも何か焦ってない? と指摘されてたので、多分正しい。実は智紗とのキスシーンは見られていた。見られていようがいまいが、全く大勢に影響しないという。自分が志雄とくっつかない理由は過去のトラウマにあるらしい。メモリーズオフ要素来たな。

後夜祭になって再び志雄の視点に。やはり評価というのは何かとの比較の中で生まれるものですね。いかに#5のリバースカットがきちんと作られていたのかよくわかりました。

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