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【表現評論】メモリーズオフ ゆびきりの記憶  コアレビューその29 織姫ルート5(終)【全作再プレイシリーズ】

●メモオフシリーズ、その他作品、様々なネタバレが含まれます。

⚫︎前回の記事

⚫︎ちなつを切れないなおくん

切れない方も悪いんだけど、智紗もちなつもまあまあしつこいというか、執着がすごい。逃がさん……お前だけは……って感じですよ。七英雄もあきれとったわ。ちゃんとセーブしとかないと。唯笑カナタちはやみたいにあっさり引く方が愛なのか。ほたる智紗ちなつみたいにひたすら執着する方が愛なのか。意外としつこいやつの方がすぐに次の相手を見つけそうな気がする。やっぱり信頼できるのは唯笑さんなんだよなぁ。そして執着しつつあっさり身を引けるいのりが最強なんだよなぁ。攻守最強の女。

⚫︎毎日女の家に通う男

毎日女の家に通って夜飯を食うヒモ男。昼間は嫁の弁当を食うヒモ男。そして生徒をヒモにする女教師。すごく健全な関係です。

⚫︎織姫の家

バスタブの電球を交換するときにちゃんとボイスがお風呂リバーブになっている。芸が細かい。ミスってずぶ濡れになった直樹君は服を乾かしてもらってそのまま風呂に入ることに。シャツの襟が汚れてるぞと言われた後の織姫のセリフがめっちゃ気になる。

「ううん、それは別にいいんだけど……男の子の洗濯ってやっぱりダメだなーと思って」

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

やっぱりということは、これが初めてじゃないってことですよね。つまり過去にダメなやつがいたってことだよなぁ。過去って言ったらアレしかいないよなぁ。いちいちアレがチラついてくる仕掛けになっています。それとも深読みしすぎなのか。いや、深読みではない。これはそういう仕掛け。アレって何って? そらもうアレよ。おーん。

なんか二人でめっちゃ楽しそうにしてるけど、そろそろ来るぞ。突き落とすターンが。メモリーズオフ専門家なので容易に流れが想像できる。今回はメモリーズオフの専門家である西住さんにお越しいただきました。西住さん、よろしくお願いします。よろしくお願いします(頭を下げる)。

⚫︎先生と生徒

いいふいんき(なぜか変換できない)になってきて、直樹君が割と唐突告白します。え? ここでもう言っちゃうの? ちょっと突き落とすターン早すぎない? 専門家だけどここまで早いとは想像できなかった。想像できなかったというか、前にやったはずなんだけど、ガチで何も覚えてない。

「俺……もしかしたら……」
「うん」
「……姫ちゃんのこと……好きなのかも知れません」

「……ダメだよ、そういうの……」
「ダメって……?」
「だって…………先生と生徒だもん……」

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

こんだけ盛り上げといて今更? 毎日家に呼んでおいて流石に? すでに生徒と先生の関係は超えかけてるんだが。おまいうとしか言いようがない。いや、自分が痛い目見たから言ってるのかもしれないけど。それで痛い目見てもわざわざ先生になるほどの情熱があったんですかね。マジで何一つストーリーを覚えてない。純也さんって結局どうなったんだっけ。

「うん。私…………芹澤くんの気持ちには応えてあげられなもん」
「……じゃあ、なんで? なんで俺に、こうやっていろんなことをしてくれるんですか?」
「だって、それは…………可愛い教え子だから……」

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

嘘くせ〜。じゃあファンクラブの関口君にも同じことやるんですかって話よ。絶対やらんでしょ。先生が嘘ついていいんですか! と私は言いたい。でも大人は嘘つきだからね。いや、大人は嘘つきではない。ちょっと間違えるだけ。僕はよく間違えます。

「……俺、誰かと比べられたりするの、慣れてないですから」
「比べるだなんて、そんな! そんなことしてないよ!」
「じゃあ、もしかして、俺、その人の代わりですか? 寂しいからって、黒板係の時みたいに俺を便利に使ってるんですか?」
「…………!」

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

若林源三の噛ませ犬じゃないんだ! とブチ切れて机を破壊した若島津並にブチ切れる直樹君。そこまでではない。でもさ〜、比べてたかどうかはともかく、黒板係は直樹君が買って出てたんだよね。なんで便利に使われてた被害者ムーブなのか。売り言葉に買い言葉。この後織姫に頬を思いっきり叩かれます。他にビンタしてくるヒロインいたかな。多分いたと思うけどはっきりしない。専門家とは一体何なのか。りりすは確かあったけど、ビンタ以前に暴力まみれだし。鷹乃とかやってそうだけど、イメージだけで冤罪の可能性が高い。師匠は薙刀で殴ってくるのでもっと酷い。ヒロインがヒロインをビンタするのは普通にあった。響→環とか、りかりん→葉夜とか。

「なんにも……なんにも知らないくせにっ……っ」
「知らないですよ。先生の好きな人の話なんて……っ」
「だったら、あなたはなんなの……?」
「え……?」
「どうして私に告白なんて出来るわけ? 天川さんがいるのに……っ」
「……!」
頬を叩かれた痛みなんかかよりもっと激しい痛撃が心に突き刺さった。
一瞬にして、昂っていた気持ちが冷める。
……俺……先生になんてことを……っ!
「もういい! 大っ嫌い!」

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

何にも知らないのはそう。だってあなたが話さないし。知るわけないですやん。直樹とちなつがイチャついてるのを見て、姫ちゃんが内心ピキってたことが伝わってくる。ビンタされた上に、もういい! 大っ嫌い! とまで言われたヒロインは他にいない。キッズじゃないんだからさ〜。お姉ちゃんなんて大嫌い! って言ってるメイちゃんか。

⚫︎ホラー展開

トボトボと家に帰宅する途中、なぜかちなつと遭遇します。ちなつの家とは全く反対の駅にいるのに、なぜか待ってたと言うちなつ。

「なおくんのことなら、ちなつ、なんでも分かってるんだから……」

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

全部バレてますやん。温度が三度くらい下がったよ。夏にはちょうどいいかもしれない。会ったついでに関係をはっきりさせようと、お前のことは恋愛対象ではないと伝えますが、無敵のスター状態なので通じない。

「一緒に映画を見て、楽しかったですか? ご飯を食べておいしかったですか? お花をあげたら先生は喜びましたか?」

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

このセリフ、言い方がどんどんブチ切れていくのが怖い。全部バレている。こんなもんどうやったらバレるのか。少なくともちなつ一人では出来なさそう。ちなつはなおくんは先生に騙されていると、謎の週刊誌の記事のコピーを渡してきます。

とある高校の数学教師が、自分の教え子2人と恋仲になったあげく、三角関係のもつれから包丁で殺されかかったのだという。

その教師は命こそ助かったものの3ヶ月の重傷。
教職を追われ、その後の行方は知れないという。

また、教師に傷を負わせた女性とは
三角関係にあった恋敵のことも包丁で刺した挙句、
自らも腹部を切って自殺を図ったということだった。

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

山岸いずみがこの記事を持ってきたらしい。興信所で織姫のことを調べていたら、記事が出てきたとか。おおよそのストーリーはこれで思い出した。5pb.お得意のミスリードの嵐で織姫が刺したように思い込ませてるけど、全部いずみのフカシで、刺したのはいずみだったはず。そもそも三角関係ですらなく、いずみの一方的な思い込みじゃなかったっけ。やっぱりあたおかだった。

そもそも、この話おかしいんだよね。調べてたら見つかったのが本当だとしても、興信所の人間がなぜそれをちなつに渡す必要があるのか。意味がわからない。ちなつは純也が好きだったのは元々織姫の方じゃない生徒だった、それを織姫が無理やり奪おうとしたって言ってるけど、誰から聞いたんだよ。完全に嘘情報を吹き込まれてるぞ。いずみとちなつ、あたおか同士で共鳴しあっている。

「あの人は、そういう女なのです。そしてーーそして、今度は、ちなつからなおくんを奪おうとしています!」

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

主人公の性格がルートによって違うというのはお約束ですが、ちなつもまあまあ違うよね。リサルートのちなつならそんなこと言わない。ちなつだってなんでもしてあげられる、もっとすごいことだってしてあげられると。完全に重い女と化している。どちらかといえば、こっちの方が本質に近そうだけど。

ちなつに行動が全部バレていたのがいずみが隠し撮りしていたからで、いずみはこの写真を校長に見せて織姫を退職させると言ってるらしい。もう真犯人バレバレですやん。流石に直樹君もいずみの正体に気づく。織姫から助けてとメールが来たので部屋に向かう。いずみは元々織姫の友人だったようですが、写真を学校に見せると織姫にも伝えていました。それが復讐だと。織姫はいずみにメールアドレスを教えてもないのに、なぜかメールが送られてきています。これはちなつがいずみに教えたんでしょう。

⚫︎織姫に悲しき過去

純也さんはバスケ部の顧問でした。お前、部活の顧問が部員に手を出すとか、より罪状が深まったわ。やっぱりこいつは許されない。いずみの方は純也と付き合ってるという妄想に取り憑かれていたらしい。このキャラはカオスヘッドみがある。織姫もこいつ二股クソ野郎かよと勘違いして純也と関係がおかしくなったと。で最終的に織姫は勘違いに気付いたけど、その時に織姫純也二人ともいずみに刺されたというのが真相です。なぜ刺したのかは若干不明だけど、まあ二人が実は付き合ってたと気付いたからなのか。もしくは最初から気づいてたのに、親友の織姫が隠してたからおかしくなったのか。実はいずみも被害者なのかもしれない。なわけあるかい。ただのあたおかおばさんです。ゴシップ記事はもっとちゃんと取材しろよ。刺されたのは純也だけじゃなかったじゃないか。織姫にとってはガチで悲しき過去だけど、純也が教え子&部員に手を出していたという罪状は真実です。間違ってもいい先生ではない。そして織姫もいい先生ではない。いい先生であれと言ってるわけではない。

⚫︎ブチ切れいずみ

それからなんだかんだで織姫と抱き合ってお互いの愛を確かめ合っていると、部屋にいずみがやってきていい写真撮れたわーと言ってきます。そっからブチ切れいずみとよくわからんバトルを繰り広げ、最終的には刺されて病院送りになりました。いずみは川を逃亡中に足を滑らせて死亡。なんとも後味の悪い結末です。写真を収めた携帯も川に浸かって故障。悪が滅びたと考えると後味は悪くないのか。いいところがひとつも見当たらないいキャラだった。同情の余地も無い、ただのあたおかおばさん。

⚫︎ちなつの言葉

私もあのあたおかおばさんと同じだったのかも知れねえ、逆だったかも知れねえという感じで、直樹のことは諦めたようです。より狂った人を見て正常に戻るパターン。

⚫︎最後の伏線回収

織姫が腕のアザを見て驚いた様子を見せます。昔勇気の石をくれた少年が直樹だったという伏線回収が入る。これは本当なのか。結局明言はされませんでした。

⚫︎先生と生徒 その2

織姫は直樹のことが好きだけど付き合えない。先生と生徒だから。それを破ろうとすれば今回と同じようなことが起きるから。と至極真っ当な答えを返してきます。織姫先生は純也さんとは一味違った。まあ生徒を家に呼んでる時点でダメなんだけど。一線を超えなかったから純也さんとは違うだろ。純也さんもその後行方知れずなので、きっちり報いは受けているんだけど。

直樹は織姫の返事を受けて、卒業したらまた告白しますと返します。

「待ってて、くれますか?」
「……う……うん……」
「その時まで……他の誰かのものにならないって、約束してくれますか?」
「ならないよ……あなた以外のものになんか……絶対にならない」

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

とか言ってさ〜、明日には他の男と付き合ってるのが女なんだよね。信君も言ってた(言ってない)。でも織姫は大丈夫。なぜか。それは先生だから。先生は嘘つかないはず。終わりとしてはいい着地点じゃ無いですかね。これで付き合いますとか言って終わったら西住さんブチ切れですよ。純也さんも化けて出るわ。

ED後のエピローグで卒業直後の描写が出てくるけど、これいるぅ? 待っててくれますかで終わってよかったと思う。いや、終わってよかった。いや、でも呼び名変わるのを見るとあってよかったのかな。これは難しい。蓬莱の玉の枝を持ってくるより難題。

恒例のタイトル画面変化。

先生っぽい

⚫︎織姫ルートまとめ

いやぁ。織姫が可愛いルートでしたね。先生と生徒という禁断の関係で、最初から最後までギリギリの線は越えなかっただろという点は特に評価したい。織姫の先生としての倫理観が恋愛に負けなくてよかった。織姫は先生と呼んでもいい。つばめは先生とは呼ばない。あえて言えば人生の師。師匠ではない。師。師匠は雅がいるし。

いずみとかいう強烈あたおかおばさんが出てきて、少しイノサンフィーユ路線への萌芽が見えるルートでもありました。このブチ切れあたおかキャラをメモリーズオフに求めているかといえば、少なくとも僕は求めていませんが、織姫ルートでは気になるというほどではなかった。いずみは完全にシンプルな悪人だったんでね。死亡したところで特に思うところがない。

最後が若干急展開すぎたのが少しだけマイナスポイントですかね。織姫が刺したんちゃうんかみたいなミスリードからもう少し物語を膨らませていれば傑作だった気がする。でもそれは要らないかなぁ。それを突き詰めすぎるとイノサンフィーユになるんでしょうね。ということはメモリーズオフとしてはこの急展開でよかったんだわ。前言撤回。マイナスポイントはありませんでした。

あと織姫のCGはすごく気合が入ってましたね。最後の怒涛のCGラッシュ、どれも出来が良かったように見える。姫ちゃんさいきょ。キャスティングも光ってました。年上の小さい先生でこれ以上合ってる声ないんじゃないかってくらいハマり役。


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