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【表現評論】メモリーズオフ6 T-wave  コアレビューその26 りりす&トライアングルルート10(終) 【全作再プレイシリーズ】

●メモオフシリーズ、その他作品、様々なネタバレが含まれます。

⚫︎前回の記事

⚫︎まさかのその10

いや〜。長かったですね。かつてこんなに長いルートがあっただろうか。必要な長さだったのだろうか。とにかく重厚(?)長大なシナリオであったことは間違いないです。レビューとしても、今まで一番テキストが長くなったのは雅師匠のルートですが、それよりも遥かに長くなっています。しかし同じようなこと(智紗がかわいそうとか亨がかわいそうとか)を延々と書いていた記憶しかない。薄めたカルピス。

⚫︎記憶喪失

なぜか信が記憶喪失の解説を始める。記憶喪失は#5でやったばっかりですよ。しかも#5はガチだったけどこっちは虚言だし。美海の話をやった後にこれはいかんでしょ。

⚫︎嘘くさい

初手から記憶喪失のやつがこんなこと言うか? っていう感じの発言を連発してます。これとか。

「だから、いつまでもわたしにこだわってたらダメだと思う。それは無駄な執着だから」
「わたしはきっと、塚本君の想いには応えられない。そのつもりもない」

メモリーズオフ6 T-wave

だから大切にすべき人を大切にせよと。いつまで智紗とくっつけようとするんですかね。もう終わったんだよ。箱崎さんとは。尻尾を出すのが早すぎる。もうちょっと上手く化けないと。最初から記憶喪失があからさまな嘘だとユーザーに気づかせる意図は何だったのか。当時もわからなかったし今でもわからない。今度はりりすがピエロになってるよ。

⚫︎久しぶりに箱崎智紗さん

智紗はりりすと会うなり不機嫌になって帰ります。今のりりすと話しても意味がないと。相変わらずくっつけようとしてるからね。ブチ切れなかっただけ偉いですよ。こんなもん詐称だと気づかないのは志雄君くらい。

⚫︎私立澄空学園高等学校

前に公立っぽいって話をした気がしますが、普通に私立でした。でもやっぱり浜咲の方が充実してそう。りかりん葉夜雅ほたるいのりと家が太そうなキャラ多い。澄空はクロエパイセンしかいない。

⚫︎記憶喪失が嘘とわかる瞬間

まあ最初からあからさまに嘘なんですが、決定的に嘘とわかる瞬間があります。志雄君が昔作った鉱石ラジオの話をしている時の会話。

「……覚えてないよ、そんな昔のこと」

メモリーズオフ6 T-wave

全部忘れてる人は、そんな昔のことなんてワードは絶対付け足さないでしょ。昔も今も軽重がないんだから。

⚫︎ちょっと呆れる箱崎さん

りりすに構い続ける志雄君にちょっと毒を吐く箱崎さん。

「塚本君は、どうしてそんなにりりすちゃんのことを信じられるのかな?」
「……え?」
「でも……そんなにも、りりすちゃんのことが好きなんだね……」

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え? お前あの記憶喪失とかいう嘘まだ信じてんの? マ? 恋は盲目にもほどがあるだろ……という智紗さんのありがたいお言葉です。

⚫︎嘘バレ

智紗からのクリスマスプレゼント(コスモスの押し花)で記憶喪失の嘘バレが発覚します。コスモスは母親の事故にまつわる花なので、それを見て動揺してる時点で嘘やんという話です。なぜ智紗がそれを知っているのかはまだ開示されない。

志雄君は内心でいや〜、俺も最初から嘘だと思ってたんだけどさ〜と言い出します。

確信はなかったけど、りりすの記憶喪失が狂言だってことは想像がついてた。だって、あんまりにも滑稽だし現実的ではないだろ、記憶喪失なんて。

メモリーズオフ6 T-wave

結果論で語る解説者モードになっているよ。後から言うほどカッコ悪いものはない。それに気づいているような伏線もなかったし。しかもシリーズに前例はいるし、後にも出てくるので、記憶喪失自体は(メモリーズオフ内では)現実的です。ただりりすの嘘があからさまなだけ。

⚫︎ラストの海辺

雨の中、母親が死んだ海で向き合う二人。昼ドラかな? 船越が現れそう。志雄のお母さんを殺したのは私だと主張するりりす。実際、溺れた人物は別の人だったわけなので、そんな話はないわけですが、りりすによるとこうらしい。

「だってあの時、海に行きたいってワガママ言い出したの……私だったじゃない」
「それに……あの時だって、志雄がお母さんに取られちゃいそうで……それで……」

メモリーズオフ6 T-wave

いやいや、そこまで言い出したら世の中どこまで責任を負えばいいのよ。と言いたいんだけど、実は結構考えさせられる場面です。これも初代リスペクトですかね。彩花の死と母親の死が重なっている。迎えに来てくれと頼んだから亡くなった、海に行きたいとわがまま言ったから亡くなった。近いものがあります。ただね、個人的には、彩花が亡くなったのは智也の影響が大きいと感じますが、りりすのケースはりりすの影響があるとはあまり感じません。この違いはどこにあるのか。因果関係とは一体なんなのか。

違いはおそらく亡くなった事実との深さです。海にいったこと自体は亡くなる要因とはほぼ無関係で、溺れていた子どもの方が亡くなる要因として大きいわけですよ。りりすが関係している事実は海に行ったことだけなので、亡くなった事実とは関係がだいぶ遠いと言えます。

で、智也の方が呼び出した事実と亡くなった事実がかなり近いところにあります。呼び出さなければ亡くならなかったは直で繋がっていますからね。だから影響は大きいわけです。りりすの場合は海に行かなければの間に、溺れている子どもがいなければ、という事実が挟まっているので、関係が遠くなっています。因果関係と罪の大きさと言うのは、その関係の近さで決まるんじゃないでしょうか。

でもなぁ。彩花の場合も信号無視の車がいたことが原因なのではと言われればそうなんですよね。だから直の原因は溺れた子どもと同様に、そこにあるわけですが、それでも智也の方が影響が大きいように感じるのはなぜか。やっぱりどっちも変わらないのかもしれない。う〜ん。仮に自分が彩花の父親だったら少しは智也を恨む(一番恨むべきは運転手)かもしれないけど、志雄の父親だったらりりすを恨むってことはない気がしますね。年齢の問題かな。当時の智也は中三だけど、りりすはキッズだし。キッズのちょっとしたわがままでこうなるとは誰も思いませんよ。因果関係には判断能力も含まれているのかもしれない。

まあとにかくそういう罪があるから志雄君とは一緒になれませんよと。一緒にはなれないけど、大切な人を奪ってしまったから、大切な人を与えたかったと。オチとしては贖罪の物語だったようです。じゃあなんで普段から蹴ってたんですかね。おかしない?

あれこれと言いあって熱でぶっ倒れた志雄君は、母親の最後の言葉を思い出します。

「お父さんとりりすちゃんと、仲良くね。お母さんはみんなが笑顔でいてくれるのが一番だから……」

メモリーズオフ6 T-wave

この言葉を思い出して、父親とも和解し、りりすとのわだかまりも溶けて、万事解決しました。ハッピーエンド。

⚫︎謎結婚式

付き合いだした記念に式を挙げろという亨の提案により、謎の式を挙げる一向。最後まで謎のシナリオでした。ウェディングドレスを着た唯一のヒロイン。このくだりいるぅ? ただ流石に最後の一枚絵はT-waveで一番気合が入ってた。まだ終わってないけけど。これでりりすルートは報われたということでいいんじゃないかな。あとED曲も神です。プリミディア。

⚫︎タイトル画面が変化

あの真っ白なやつから変化しました。

ビフォー
アフター

りりすが登場。智紗をクリアすると二人になるのか。

⚫︎りりすルートまとめ

いやぁ。記憶通りに理解不能なシナリオでした。2ndと違って評価が上がったわけでも、想君と違って評価が下がったわけでもありません。記憶通りに理解不能なまま。記憶喪失詐欺も特に深い理由はなかった。シナリオがとにかく長く、これは必要ないのでは、というシーンも多かったです。りりすの行動は筋が通らないものが多かったので、整合性を考えているとなかなか苦しい時間が多かった。あとなんで昔と性格が変わったんですかね。全くスルーされてたけど。素が出てきただけでは納得し難い。志雄君に幸せになってほしいなら、昔のまんまでいた方が良かったのではないか。色々と謎は残る。

でもこんだけ長くプレイしているとりりすにもシナリオにも謎の愛着みたいなものが湧いてきますね。愛着は中身やクオリティとはあまり関係がない。やっぱり時間の共有というのは重要ですわ。幼馴染が無条件に尊いのも時間を長く共有しているからだし、自分にとってメモリーズオフが唯一無二の存在であるのも、25年の時間を共有しているからですよ。時間の共有は何よりも大事だと気づかせてくれたルートです。うまくまとまったか。

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